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並行世界のアガスティア  作者: 羊1世
Fate of the lost oath
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第18話 謝罪

「どうぞ、粗茶だけど」

 警邏隊の出張所は、まるで喫茶店のような雰囲気で、外のオープンテラスには2人ほどの隊員が常駐しています。そのまま店内に案内されると、喫茶店のような空間が広がっており、カヌスさんに案内されたテーブルに座り、お茶とお菓子のおもてなしを受けました。ていうかこれ喫茶店をそのまま居抜きしたよね?

 まずは一息つきたかったのか、カヌスさんはお茶を一気に飲み干すと、改めてこちらを向いて説明を始めました。

「まず、島の中央にダンジョンと各種施設があるのは知ってるよね。北に城、南に神殿、東にフリーマーケット、西に運動場が集まってる場所のことだけど。今まで島の住人たちはその施設と自宅を往復するだけって感じ。だから中央の施設周りの商店街には誰も店を構えなかったし、人通りもなくて治安が悪くなっちゃうんだよ」

 カヌスさんはため息をつきました。商店街の区間を見回るには人手も時間も不足しているようです。


「でもさ、警邏隊が拠点を構えている北地区から東地区、とりわけ大通りに関しては治安を維持できるようになってきたんだ。で、一部の住人たちが共同で大通りに面した店舗を買って、商店街を作ってるんだよ」

 確かに、治安がいい地区に集中すれば人も集まりやすく、商売もしやすくなりますし、警備もしやすくなります。一石二鳥ですね。

「それとさ、今度西地区の人たちと合同で運動会をすることになったんだ。抗争よりもずっと楽だし、こっちから提案したんだよ。それにこの運動会でどっちが上か、はっきりさせるのさ……」

 カヌスさんの瞳が怪しく光りました。今だけ熊よりも眼光が鋭いです。


 私がぴえんと震えていると急にカヌスさんは『それと本題なんだけど』と言ってこちらに頭を下げてきた。

「3層の合同レイドに関してはごめん!特に君たちの班にはすごい迷惑をかけてしまった!」

 カヌスさんに急に謝られるものだから円香と私は二人してびっくりしてしまいました。

 「いやいや、カヌスさんが悪いわけじゃないですし」

 「誠意が足りないわ!!!ヒロなら執事服を着て語尾ににゃんってつけるわよ!」

 何言ってんだ円香は!カヌスさんが苦笑しながら頭を上げて『参ったね、ところでヒロってだれだい?』と聞いてくる。

 ヒロさんについて説明すると『彼らとは関わらないほうがいい、トラブルメーカーだから』とカヌスさんが乾いた声で注意をした。


 「でも謝るってことはあの時何が起こってたのか大体把握できたってことなの?」

 円香がカヌスさんに質問するとカヌスさんは頷いてもう一度お茶を飲んだ。



 


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