第17話 フリマ氷河期
次の日私たちはちょうど晴れていたこともありダンジョンへ金策をしに行き、その帰り道にフリーマーケットによることにしました。
「わあ!前来た時よりも店が増えて……ない!むしろ減ってる!」
前に来た時より賑わっていない、出店している店が目に見えて減っているのもあるし人通りも少ない。
「梅雨だったし雨ざらしで出店しようって人いないのかもね」
円香が私の独り言に答えてくれる。そう言われればそうか。
私はきょろきょろとあたりを見渡し目当ての店を探す。
昨日ヒロさんが持ってきた木彫りのチェス、あれは実はユーザーメイドなのだ。
あのチェスを見て私も欲しいと思いメニューの一覧を探したのだが見当たらず持ってきた本人に聞いたところフリーマーケットで購入したことを教えてもらった。
確か店名は……。
「えーっと、ウッドエンチャンターリブラっと」
店を探すがぱっと見てもチェスやオセロとかを置いてある店は見当たらない。
まあもっと奥のほうにあるのかな?そう思いその場から歩き出そうとすると後ろから声をかけられた。
「何か探し物でもあるのかな?」
聞き覚えのある声が後ろから聞こえ振り返るとそこにはカヌスさんがいた。
「なるほど木彫りの商品を買いに来たんだね」
カヌスさんに買いに来たものを伝えると、『ちょっと待ってね』と彼は言い出店の一覧らしきものをペラペラと確認する。
どうやら目当ての店が出店されているのか確認してくれているようだ、ありがたいね。
しばらくして確認を終えたカヌスが資料から目を上げてこちらを向く。
「うーん、どうやらその店は一昨日あたりから出店されて無いようだよ?」
なんてこったどうやら私がチェスやオセロを手に入れられる日は来ないのかもしれない。
「次の出店はいつになるかはわかるのかしら?」
円香が次はいつお店が出るのか聞いてくれた、確かに今ある在庫がはけて出店を一時やめただけかもしれない。
それを聞いてカヌスは少し顔しかめて、すぐ戻しながら答えた。
「どうかな……2週間前の一件以来警邏隊の信頼も少し落ちちゃってね、出店する人が減っちゃったのもあるから……」
なんということだ、3階のレイド攻略失敗以来警邏隊が取り仕切っていたフリマは規模が縮小気味だそうだった。
「あとは中央に売られている商店用の物件が最近安くなったらしくてね、もう僕らもここにきて2か月以上たったわけだし一部の人は店舗を買って自分だけの城を手に入れてそこで商売をしているのさ」
どうやら私の家の土地だけでなく島の中央も絶賛地価が暴落中らしい、おかげでお店を購入できる人が増えたらしい。
「でもカヌスさん、前の島の中央らへんは無人地帯が多くて結構治安が悪いって言ってませんでした?」
円香がフリマから出てった人たちの行く末を案じ……てというかこの島ってそんなに治安悪いの?
それを聞いてカヌスは少し悩んだのち『立ち話もなんだから』といってフリマの外の警邏隊が東地区に借りた出張所に案内された。




