第16話 見当たらない神様
私は命からがら脱出し轟々と燃える家を見ながら呆然と立ちすくんでいました。
「ほんっとうにごめんなさい!」
なんだかすごい遠いところでリゼが頭を何回も下げて平謝りしている気がしますが……。
「げほ!ゲホ!あんた何考えてんのよ!」
ドアがあった場所からわたあめを抱いた円香が出てきて、開口一番にリゼに文句を言います。
「ごめんなさい!私ここまで威力を強くする気はなかったの……」
「当り前よ!スキルなんて使うなって言ってんのよ!」
謝るリゼに円香が食い気味に突っ込む、まあ確かに魔王とはいえ流石に家の中でやっちゃうのはいただけないよね。
「ティア、今日泊まるところどうする?あ、あのもしよかったら私の家でも……」
何やらリゼがもじもじしながらこの後の身の振り方を聞いてくる。
私は円香を見て『泊まっていい?』と聞くと円香も不承不承ながら『しょうがないわね!』と答えてくれました。
「ということで泊まるところは気にしなくていいです。ただ、あの少し言いづらいのですが……」
結局リゼが今度何か弁償してくれるということで手を打ち私は円香の家に居候することになりました。
「はあ……今日は災難だったわね?」
円香がため息をつきながらソファーに座る。
あの後魔王御一行からチャットが来て全員無事?を確認できた、そろそろ帰るところだったし『酔っ払いを連れて帰る手間が減ったのでむしろありがたい』とか言っていたそうだ。
リゼと紅蓮団にどんな因縁があるのかは知らないけどこれを機にお互い大人しくしてほしいものだ。
ところで前に不法侵入したことのある円香の家だがやはり他人の部屋は落ち着かない。
しかも私の家に円香の家具も持ってきてしまったためすっかり寂しい部屋なので私と円香は手持無沙汰で何をしようかとそわそわとしてしまいました。
「梅雨が終わったら」
何を話そうかと椅子で思案していると円香が口を開き私は円香の話に耳を傾けることにしました。
「ティアの家で寝泊まりするのはやめようと思ってたけど……、思いがけない形で同居生活が続きそうね」
その話を聞いてそろそろ梅雨が終わる時期だなと思いました。
「そうですね、ところでこれからどうします?レイドPTがないと3階以降はなかなか難しそうですけど」
「そうね、色々情報収集してるけど今のところ3層以降に進むメリットがあまりないわね」
円香は多分チャットで梅雨の間も色々と情報を集めてたのだろう、しっかりしていることこの上ないね。
「ただ、2年後のことも考えたらスキルを育てるに越したこともないのよね、でもどれだけ探しても2年後に転移する世界のことはさっぱりわかんないわね」
うーん2年後に転移する世界のことか、一個だけ心当たりあるんだよね、ていうか前の世界のことだけど。
「ねえ円香、10階まで行ったら神様が褒美で何かくれるとかそういうの無いのかな?」
私の疑問に円香は頬に手を付けて悩む、あれれ?何か考えるようなことあるのかな?
「んー、いい線行ってると思うけど、どうなんだろう。神様は初日に見て以来誰も見てないのよね」
あれー?前の世界は普通にサポートで働いていた神はこの世界にはいないっぽい?
「そうなんですか、じゃあスキルとか取り間違えちゃったらどうするんでしょうね?」
円香は私の質問にため息をつきながら答えてくれた。
「まあ、死ぬわけじゃないしゾンビアタックしてポイントを稼いでやり直すしかないんじゃない?」
確かに前とは違うからサポートする必要がないのか。
けれど私にはこの世界で神様の手が入ってないのにどこか一抹の不安を感じてしまうのでした。
「もう夜も遅いし寝よっか」
円香がそういって私と同じ部屋に入る。
あれ?なんで?
「ティア、あなたベッド買うポイントないでしょ、しばらく一緒に寝るしかないわよ」
ベッド高いもんな……。
久しぶりに一緒に寝るせいで寝る前の会話の違和感はすぐに忘れてしまいそのうち私は眠りについてしまった。




