第8話 神殺し
「おー?どいうことだー?リオっち俺両方とも斧が欲しいぜー?」
間抜けそうな声と顔でカズが俺に聞いてくる。
「……お前、イソップ物語知らないとは言わせねえぞ……」
俺が振り絞るように声を出すとカズは『わからん!』と元気よく答えた、まじかよ……。
「ヒントだ、自分に正直にすれば斧は自ずと2本手に入るさ」
ヒロが見かねてヒントを出す。そうそう、正直に答えれば斧が2本手に入るんだよな。……ちょっとまて2本じゃなくて3本じゃね?
その言葉を受けてカズは『そっか!』といい女神から金の斧をひったくるとその斧で次の瞬間女神を殺した。
「こいつ殺せば2本とも手に入るじゃーん!」
「なにやってんだあああああ!」
女神さまが血をだらだら流しながら泉の底に沈んで……いかない!ばりばり遺体が残りやがった!
「よくやったカズ、お前ならその珍答にたどり着くと思ったさ」
ヒロがしたり顔でうなずいてるけどお前らマジで何なんだ!?
「馬鹿が!正直に普通の斧を落としたっていえば3本もらえたのに何やってんだお前!」
俺が食い気味にカズにいうとカズは驚いて止まった、さすがに殺さなくていい方法があったからこいつにも多少はある良心が痛んだってもんだろ。
「マジかよリオっち、なんで3本もらえる方法教えてくんなかったのさ!よく見たら俺の斧ねーじゃん!弁償しろ!」
「ふざけんな!誰が女神急に殺すと思うんだよばーか!てめえこそその足りない頭今すぐ泉にぶち込んで3倍にしてやろうか!?」
「カズの頭は3個に増えたくらいじゃ何も変わらないよ?そんなこともわからないとはリオも今すぐそこの泉で頭を冷やすといいよ?ぷぷ」
「てめえヒロそれはどういう意味だ!?本当に冷やしてほしいのか!?それとも馬鹿だから3倍に増やせってか!?やんのか!?」
こうして俺らはダンジョンの中なのも忘れて口論を続けていたのだが……。
「まあそこにお前らが来たってわけ」
目の前で魔王ことリオが『分かってくれたか?』と言わんばかりに嘆息をついているけれど正直長かったので半分くらい寝ていた。
糞長い話をする奴とは関わるな、これは、エターナルゼミで習ったやつなのでとっとと帰ろう!
私は瞬時にそう判断したが円香が面白がって逃げようとしない。困った子だ。
「ねえねえ金色の斧は普通のより強かったりするの?」
「いんや?全く変わらないっぽい見た目がかっけぇーからいいけどよ」
それどころか金髪の危険人物と雑談を興じる始末だ。円香さんはよぉ帰りましょうよ。




