第5話 不意の遭遇
気づいたら森の中に転移していました。
「まさか……?」
どうやらあの石碑は各階層のエントランスだったようです。
「まったく、何してんのよ!」
私の近くの空間が急に発光したと思ったらその光からプリプリ怒りながら円香が出てきました。
「石碑を使って入っちゃったら各階層の入り口近くにランダムで転移されるんだから気をつけなさいよね!」
どうやらPTを組んでいなかったら危うく一人ぼっちで森に放り出されるところだったらしい。危ない仕様だ。
「ここまで来ちゃったらしょうがないわね……」
環がうむむむと唸りながら私を見てこう言った。
「少しだけ3階で狩りをしながら2階に戻って本格的な狩りをしましょ」
まあ3階に来てしまった以上2階へ降りる入り口まで戻る際にオオカミやマイコニドを狩らないのは効率が悪い、だろう。
ただ少し……。
「そう不安がらないで? 大丈夫だよ、警邏隊の人らがあの一件で生まれた遭難者を救助するために一度3階に行ってくるって言ってたしあれからもう2日くらい経ってるからもう安全になってるわよ」
そう言われても森は怖い、けどここを動かないと話は始まらなかった。
びくびくと震えながら、私たちは森の中をマップを頼りに入り口のほうへ進むことにしました。
マップを開けばそこまで入り口から遠くもなく安全に2階へ降りられそうだった。
「じゃあ進むわよ?」
円香はそう言ってずんずんと進んでいった。私は手を引かれて強制的に進めさせられたのだが……急に円香が立ち止まるからぶつかってしまった。
「ちょっと、なんで急に立ち止まるんですか?」
抗議の最中に円香は私の口を手でふさぎ、屈むようにジェスチャーしてきた。
いったい何があったのだろう、屈みながら円香のいる先を見つめると血まみれで倒れた女の人とその周りで男の3人組が言い争っていた。
これ……あかんやつや。
目配りをしてそっとその場から立ち去ろうとするも、マイコニドが近くにいて私たちの近くの木の枝や草をかき分ける音でガサガサと大きな音が立ってしまった。
「これは、逃げられそうもないわね……」
円香は呻くようにつぶやいた。ここで逃げ出してもモンスターに襲われて散り散りになって円香だけ捕まったら……そう思ったら逃げられないね。
今隠ぺいを使えば私だけは逃げられるけどそれはするつもりはない。一緒に円香と死に戻りをしようとあきらめるとこちらに気づいた男たちが案の定こっちに近づいてきた。
「こんにちは、何も見てません!だから許してください!」
第一声で土下座をした私に男たちは困惑していた。後ろからも困惑した声が聞こえた。
「ちょっと待ってくれよ!何か勘違いしてないか!」
見た目が魔王みたいで100人くらいヤっちゃってそうな奴がこちらの警戒を解くべく必死に話しかけてくる。
一番怖そうな見た目だけどどうやら中身はそうでもないのかもしれない。熊も見た目はともかく、中身はいいやつだったし勘違いしていたらしい。
希望が見えてきた私は頭を上げた。
「じゃあそこの女の人は殺してないんですか!」
なーんだ!勘違いだったんだね、うふふふふふ!
そうすると魔王は気まずそうに目をそらした。
あげく隣にいた金髪の優男が急に舌をだして手に持っていた黄金の斧を舐めずりまわした。
「いや?俺が殺した!」
やっぱ勘違いじゃないじゃん!




