第4話 夜に歩く
外に出ると雨が降っていました。
街灯に照らされた所で雨粒が反射して見えてはいるがそれ以外は存外暗く家からじゃ庭の外のレンガで舗装された地面はほとんど視認できない。
私は雨に濡れてしまうため家から出るのと戸惑っていると見かねた円香がメニューをぱぱっと操作し傘を手渡してきました。
「まったく、傘も買うポイントもないくせに出かけようだなんて」
少し呆れた声で言われたのでムッとして『まだ2000ポイントはある!』と豪語するも逆に『2000ポイントしかないの!?』と驚かれてしまった。
「一体何に使っちゃったの?5万ポイントは貯めてたはずじゃない……」
円香がしつこく聞いてくるため私は正直に白状した。
「ゲインってスキルを取ったんです。森を踏破するのに取りました」
円香が私を仰天した顔でこちらを見ていた。『せっかく環のために取ってあげたのに』と心の中で私は言い返すも口に出す気にはなりませんでした。
「ま、まあ、死ぬのは怖いもんね?でも安心しなさい?しばらく3階になんて行かないでおきましょう」
円香にそう言われると少し悲しくなる、少し気まずいままダンジョンへ向かう道程を進み到底1時間とは思えないような時間をかけてダンジョンまで到着しました。
少し前なら会話に困ったらわたあめを撫でているだけでも気がまぎれたのですが……癒しペットももういませんでした。
「ティアー?ほらダンジョンに入るわよ?」
円香に促されてダンジョンに入ると見慣れた入り口に見慣れないものが設置されていました。
「なんだろうこれ?」
今までのダンジョンの入り口には党の入り口から少し歩く廊下がありそのまま正面を歩いていくと1階への入り口のドアがありその廊下の左側に2階~9階からの帰還の石碑がありました。
右側には何もなく松明が設置されているだけだったのですが今は右側にも石碑が設置されています。
せめて光ってなければよかったのですが、無駄に光っていた入り口手前から2つ目の石碑に私は気づいてしまい……
私はふらふらとそれに近づくと不用意にそれに手を触れてしまいました。ここは安全なダンジョンの入り口その認識が迂闊にも不明な物体に触れるという愚を犯させました。
「ティア! ダメ!」
円香が大声で私を静止するのもむなしく、私が驚いて振り返ると円香がこっちに急いで駆け寄っている光景から一転し、まぶしく光って目が開けられなくなり光が収まったと思ったらそこは見知らぬ森の中だったのでした。




