第3話 Y〇AS〇BI
部屋にこもった私は少し考えて夜中にこっそりダンジョンに潜って何食わぬ顔で朝までに帰ってくるという夜中に出稼ぎ作戦を思いつきました。
『ティアーご飯食べるわよー?』『ティアー、お風呂入りなさい!』
などと口うるさかった円香を何とかやり過ごし深夜物音がしなくなり円香が寝静まったであろうタイミングを見計らい私は外に出ることにした。
「スキル:隠密」
私はボソッと唱えると扉をゆっくりと開けて静かに1階に降りようとしました。
「ティーアー!」
後ろから思いもよらない大声をかけられた私は驚きのあまり足を踏み外しずっこけてそのままお尻で階段を下りて行ってしまいました。
「ちょっと大丈夫!?」
上の方から心配そうな円香の声が聞こえます。私は涙目で上をにらみつけることしかできませんでした。
「だ、大丈夫です……」
呻くように返事をするとほっとした円香が上から降りてきます。
「そんなことよりこんな夜中にどこに行くつもりなの?」
トイレに行くつもりだった。とは問屋が卸しそうもないほど完全武装な私は言い訳がすぐに出てくるはずもなく……
円香が手を差し伸べて私が立ち上がるのを手助けしてくれます、ありがたく手を取り私は起き上がりましたが、円香は手を放そうとしません。
「……、手を放してほしいんですけど?」
手を放してもらえず、少し苛立ちながら私は手を振りほどこうとしたが、円香は放してくれず手をぶんぶんと振り合うだけに終わった。
「ティア、こんな夜中にどこに行くつもり?なんで何も言ってくれないの?」
円香は私を睨みつけ絶対に手を放すような素振りは見せません。私は当初の目的が果たせなかったこともありすぐに口を割ることにしました。
「ポイントが心もとないのですこし散歩がてらダンジョンに行こうかと……」
円香がため息をついて『すぐに支度するからちょっと待ってなさい』と言ってきた、30秒くらいでいいかな?
ここで置いて行ってもいいのだが置いていった場合の言い訳やこじれ具合を考えるとその場から動くこともできないので私はその場で立ち呆けて円香が帰ってくるのを待った。
「あら、なんでそこにたちっぱで待っちゃってるの? 椅子にでも座って待ってれば良かったのに」
円香に呆れられたが、まあしょうがない、いまはあまり動く活力がないのだ。私はキノコです。
何時までたっても外に出ようとしない私に円香はしびれを切らし手を取ると私を強引に引っ張って『さっさとダンジョンに向うわよ!』と言ってきました。




