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第8話 帰還

「じゃあ、ここでお別れだね。またどこかであおうね。」「じゃあなー」

 悲しすぎる惨劇のあと私たちは迷宮の外、ダンジョン前の広場に戻ってきていた。

 広場に戻っている途中の迷宮の帰り道、歩きながら彼らはこんな私を見かねてか自分たちとPTを組まないかと誘ってきてくれた。

 少し考えたのち私はそのありがたい提案を断ることにした。理由はいくつかある。

 まず個人的な気分として彼らとPTを組みたくないのだ。別に彼らが嫌な奴らだとか生理的に嫌だというわけではない。

 ただ、彼らの前で恥をかきすぎた、色々と。せっかくの新天地の生活なのだからもう少し見栄が張れるPTがいい。

 結局すぐやらかして次のPTでも似たようなことになってしまうとかいう突っ込みはいらない。

 そして次は直近の生活のためにPTを無理に組む必要がないためだった。

 現状1階だけのスライム狩りポイントは稼げそうでさらに2階のエレメントというモンスターもさして難易度は変わらないという話だった。

 もちろん1年後以降のことも考えるともっと上の階に進むことは必須であるだろうがこの町の構造上、商店街なんてものを設置している以上神は戦闘のスキルだけを獲得してほしいとは考えていなさそうだった。

 3つ目の理由は先ほど少し述べたが必ずしもダンジョンを攻略することだけがポイントの獲得につながらないと考えたからだった。とはいっても先立つものや初期資金が必要なため最初からダンジョンに挑まないといけないなんてことはないだろうが、もし商いでもできるならダンジョンを攻略する際にいい防具や武器、もしくはお得意様なんかが出来たらその人たちに護衛料を支払って安全に挑めるならそれに越したことはない。

 4つ目の理由はこれが最大といってもいいが、ダンジョンの情報がある程度出てから挑みたいと考えたからだ。もしもここでPTを組んだらすぐにでも3階、4階へと進まなければいけないことになるかもしれない。私にはPT方針の発言権はないに等しいだろうからだ。もちろんあとから入った新参だからという理由でだ。聞くに値しないという理由では決してない。

 そして私の想像では多分1週間程度で転生者たちの間でダンジョンのモンスターの情報とかはある程度共有されることになると思ったためすぐに上の階に挑むPTを組むという選択肢よりしばらくソロでダンジョンに挑んでいったほうがいいのではないかと考えた。

 1階は思ったより遥かに難易度が低そうだったし、傷心の私はしばらくスローライフしていいんじゃないかな……。なまけ癖が出たわけでは決してないんだ。

 

 「今日はありがとうございました。またどこかであったらよろしくお願いします。」

 私はそういって頭を下げた。外はすっかり夕方で少し薄暗く相手の表情や服の汚れなどは視認しづらくなってきていた。もしこの町に街灯があるならそろそろつきそうな頃合いだった。

 3人組は手を振って東へと向かっていった。3人組はPTだけでなく居住区も仲良しだったらしく3人全員が東の居住区に帰っていくそうだ。小さなころ公園で友達と時間になったから家に帰るとき自分だけ向きが逆だった、もう少しだけ友達と一緒におしゃべりしてられる一緒の方角の子たちを少しうらやんでいたあの頃の気持ちを思い出した。

 気を取り直してメニューを開いて確認すると私の居住区は南のほうに設定されているようだった。これで東に設定されてたら泣くところだった。

 正確に測ったわけではないのだけど歩いた距離とマップの動いた距離からおおよその島の大きさなどを計算してみた。

 この島は4000人が住むには少し広すぎるような気もするけれど例で出すと大体3㎞くらいが中央のダンジョンと家の間を往復する距離だった。

 「家端っこすぎない?歩くの1時間くらいかかりそうなんだけど。」

 自転車でも欲しい気分だ、毎日家から歩いてダンジョンに向かうのは少し億劫な気がする。

 全員が同じ条件なら我慢できるのだが残念ながら私は運が悪いほうだったらしくマップに表示されている家の位置は島の端っこのほうだった。

 海の景色が一望できる素敵な配置だと思う。通勤に1時間もかかりそうなことに目をつむればとってもいいんじゃないかな?

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