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閑話7 〇〇〇〇の場合

 「やあ、今日も君一人なの?」

 目の前の少年とも少女とも言えそうな可憐な君の声を聴き私は重い腰を上げてそちらに向かう。

 今日も君は浮かない顔をしていてそれが私は無性に悲しい、他の大多数の人がするように君を慰めたいのだが私にはそれができない。

 ただその気持ちを君は汲み取ってくれて私の頭を代わりになでてくれる。少し悲しげな笑顔しか見れないのだがそれでも私は嬉しくなった。

 「そういえば昨日言った数学の小テストの話なんだけど、先生が忘れちゃってね、結局無くなったんだ」

 私をなで、君は嬉しそうに今日学校であったことをつらつらと話す、学校では友人がいないらしくこうして放課後私と二人でお話をするのが日課であり、唯一の癒しのひと時なのだと君はまた悲しげに笑いながら私に話してくれた時のことを思い出す。私は口下手ながら精一杯にリアクションをして君の話が面白かったと何とか伝えようとする。

 それを見て君が今日初めて心から笑ってくれたことを感じ取りそれが私には誇らしい。この笑顔が見れるのはきっと世界で私一人だけなのだから。

 「おっといけない、今日は大事な日だったんだ、もう行かないと」

 そういうと名残惜しそうに君は立ち上がり私とさよならをする、なんだかもう2度と会えないような嫌な予感がしたのだがそれが気のせいであったことを明日も明後日もその後も変わらず君と会えたため勘違いしていた。

 

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