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閑話2 環の場合②

この話は第17話の環視点です。

「わーい、昨日から何も食べてなかったの、ありがとう。」

 そういうと私は目の前のご飯を品定めする。あっちのサンドイッチも美味しそうだけど、それよりもこの目玉焼きがのったパンに私は目を奪われた。

 こ、これって……!

 私は私の手前の方にあったサンドイッチを無視し、机の上に大きく身を乗り出して奥の方にあったラ〇ュタパン、映画で見たいつか食べたいパンを手に取り先ほどの少女を笑えないほど大きな口を開けてかぶりついた。

 卵焼きを一度で食べきるというぜいたくはせずバランスよく食べたのだが……?なんだか甘いな?

 「この目玉焼き甘くない?味付けって塩コショウとかじゃないの普通。」

 私はつい文句を言ってしまった。ご飯をもらったくせに文句を言うなんて何様なんだろう。

 案の定彼女は気を悪くしたようで『この味の良さがわからないなんて、おこちゃまね……』というとすまし顔で紅茶を啜っている。

 私もその後久々のまともなご飯で机の上にあったサンドイッチも瞬く間に完食してしまい、気づくと少女の分のご飯をすべて横取りしてしまった。

 しまった、と自分の犯した罪と、浅ましさが嫌になったが、少女はニコニコとこちらを見つめているだけだった。

 あわてて『ごちそうさまでした。』とお礼を告げ、口周りに違和感を感じいろいろとくっついていたため……袖で拭ってしまった。

 少女は『お粗末様でした』と満足げに頷いてきた。

 ご飯を食べてお腹が落ち着くと、自分がしたことに驚いてしまう、初対面の人間にご飯をせびって、あげく全部食べてしまうなんて。

 せめて自己紹介をと思ったが、思考がまとまらず相手のことをじっと見てしまう、彼女は勘違いしたのかすごく不手際な様子で紅茶を入れてくれた。

 机が水浸しになったがそれを気にせず布巾でふき取って私にお茶を渡してきてくれた。ご飯や色々に免じて私はそれについては触れないことにした。

 「ありがとう、飲み物までいただいちゃって、ところで自己紹介がまだだったわね。」

 私はとりあえず自己紹介をしようと思って、そして思ったより喉が渇いていたので少しだけのどを潤すためにもらったお茶を飲んで、しょっぺええええええええええ。

 思わず、吹き出す。なんだこれ!しょっぱ!なんで!?すっごいしょっぱい!紅茶ってお砂糖を入れるものじゃなかったっけ?!

 私は紅茶を入れてくれた少女をにらみつける。何の罰ゲームでこんなしょっぱいお茶を出してきたのだろうか?

 彼女は『布巾をとってきます……』とこそこそと立ち上がりこの場から逃れようとしている。

 やはりこのお茶の塩は間違えて入れたのものだったのだ!そういえばさっきの目玉焼き!私の中ですべてのピースがつながる。

 「あんたやっぱり塩と砂糖間違えてるじゃない!!!!!!!!」

 さっきの目玉焼き、やっぱり間違えてたのね!

 すると少女は慌てて晩御飯も食べて行かないかとごまかす様に提案してきたが、そんなのでごまかされるように見えるだろうか?

 私はこのドジっ子に何を食わされるのかわかったものではなく、さらに声を荒げてしまった。

 


 

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