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第66話 襲撃者

 前門の男、後門の狼ともいえる危機的状況の中私たちは幸いなことに目の前の男が柵を破壊した場所と思われる場所以外は見張りの人間が何とか対処をして野営地の中にオオカミが入り込み統制が崩れパニックになるという最悪の状況だけは防げていた。しかし破壊された地点からオオカミが続々と野営地に入り込もうとし、それを防ぐはずだった人間はすでに地面に倒れこんでいるかオオカミの胃の中に美味しく頂かれている状況なので崩壊するのは時間の問題かと思われた。

 しかし動こうにも先ほど剣士の女の子が一蹴されたのもあり私一人だけが動いても軽くいなされるだけだ。幸い私は隠蔽が高く人に認識されずらいはずだ。森で索敵をした時気が遠くなるくらいやった動きを模倣する、ゆっくり、ゆっくりと動く。

 こうして私はテントの裏にまで身をかがめ、息をひそめ、見つからない様に移動しそして相手からの視線を切った瞬間後ろの方にできる限り音を出さないように駆け出した。

 野営地の中央では混乱していたレイドPTの人間が何人もたむろしていた。

 「オオカミが四方八方から襲い掛かってきてるんだ!」「けどオオカミならみんな対処できるはず!落ち着いて迎撃すれば大丈夫だ!」「幸い、まだどこも突破されたって報告はない!」

 今外側で必死に戦ってオオカミから野営地を守っている人たちを差し置いて何人もの人間がここにいるのは、悪く言えばリーダーが不在で指揮系統が麻痺していて何をすればいいのかよくわかっていない人間がこれだけいるとも言えますが、よく言えばどこかが突破したときに即座に行動できる予備戦力があると言えます。そしていますぐにでも対処しなければいけない問題があるためこれは不幸中の幸いとでもいうべきでしょう。

 「大変です!正体不明の男が柵を破壊してオオカミが野営地の中に入ろうとしています!もともと見張っていた人たちは全員死んでしまいました!今すぐ止めないとあそこからオオカミがなだれ込んできます!」

 私は出来る限り手短に中央にいた人たちに状況を説明し助けを求めました。

 彼らは私の報告を受けてもどう対処すればいいのかわからない様子だったのでとりあえず着いてきて一緒に男を取り押さえてほしいと頼みましたらとりあえず着いてきてくれました。

 私達はそのまま破壊された柵の所に急行するとそこには柵を破壊しながらオオカミを相手取っている男の姿がいました。

 このオオカミと男の襲撃はタイミングがいいので男がオオカミを差し向けたと思っていたのですが、どうやらオオカミを完全にコントロールできていないのかなんなのかわからないですが彼もオオカミから敵として認識されているようです。

 「あの男が柵を壊した男です!」

 私が大声でついてきた味方に伝えると柵を目の前で破壊されている光景に危機感を感じたのか想像よりスムーズに男に対して攻撃を仕掛けました。

 しかし襲撃者の戦闘スキルは高く、6人近くで同時に攻撃したにもかかわらず剣はいなされ、攻撃をかわされ柵にぶつけられ、また壊れた柵の地点からこちらに来るオオカミに対処させられと点で連携が取れず瞬く間に数を減らしていきました。

 気づけば残り3人になっています。私も攻撃に参加していたらと思いましたが今の戦闘についていけてない時点で役に立たず死んでいた気がします……。

 ただ多勢に無勢だったようで転んだ一人が足に剣を突き刺しよろめいた瞬間大柄の男が無理やりつばぜり合いをし襲撃者を地面にたたきつけて何とか取り押さえることに成功しました。

 「早くだれかロープをくれ!取り押さえたぞ!」

 ようやく一安心かと思ったその瞬間、大柄の男の胸から剣が生え倒れこんでしまいました。

 「いてえんだよ!ふざけやがって手前ら!皆殺しにしてやる!」

 襲撃者が大声でわめきます、すでに装備はボロボロで体中から嚙み傷や切り傷で血まみれになっている男は私た怨嗟の念をぶつけてきます。いったい私たちが何をしたというのでしょうか。

 既に襲撃者の周りに私以外の生存者は2名だけとなっていましたが……遠巻きに見るだけで行動が起こせません。男には何をするかわからないという恐怖があり気圧されたというのもありますが、しかしそれよりも覚悟がなかったためでしょう。

 ロープで取り押さえるという選択肢が取れなくなった以上、男を殺すしかないからです。けど私達転生者にそんなこと……できません。

 しかしここでこの男を放置するという選択肢はありませんでした。HPPOTで回復され柵を壊して回られたらこの襲撃者と無理心中する羽目になるからです。

 私は震える手を押さえできる限り何も考えず、できる限り気配を消してゆっくり、短剣を持って男に近づこうとしました。

 ただ男まであと10歩ほどの距離で柵を飛び越えたオオカミに男はあっさりとかみ殺され、この事態は収束へと向かったのでした。

 

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