第63話 違和感
あの後早歩きで進んだ結果2日目のキャンプ地に夕方前にはついてしまい、まだ明るかったがこれ以上先に進むと戻ってきた伝令が困るかもしれないということで私たちは野営の準備を始めた。
「オオカミの数はとりあえず40匹以上には今日はなりませんでしたね。」
ロンナに担々麺を食べながら話しかけてあげる。明らかに表情がすぐれず、食欲も低そうだったからだ。
「大丈夫かな……こんなことならこんなのに参加しなければよかった。」
どんどん暗くなっていく雰囲気に耐えられそうもない、何か面白いギャグでもかまして気分を上げないと。でも何も思いつかない……うごごごご。
「淡々と、坦々麺を……」「みんな集まってくれー!」
思いついたギャグを放とうとした瞬間、武からまた集合の合図が来て集まることになった。少し残っていた麺を一気にすするとすでに向かっていたロンナを追いかけるため私も立ち上がった。
「第3PTに出していた伝令が今戻ってきたから内容を伝える。どうやら第3PTでも同じようにオオカミの規模が増えたらしい。多分第1PTの方でも、そして4、5の方でも増えているんだと思う。今第3PTから伝令が出て行って4と5に連絡を取るらしい。よって伝令が返ってくる明日まで1日はここの野営地で待機する、以上だ。」
どうやらこのオオカミの群れの増加は森全体で起こっている異常状態の可能性があるようだった、そして私たちはそれに対する答えを一つしか知らなかった。
「やっぱり、モンスターパレードってのは存在したんじゃないのか?こんな大人数で3層に挑むんじゃなかったんだ……」
各々が持ち場に戻るまでやテントに戻るまでにそんな独り言やら相談をしているのでしょう、周囲からぼそぼそと聞こえてきました。
私も言いようのない不安を感じながらしかし少し違和感を感じていました。何かがおかしい、そんな気がするのですが言葉にうまくすることができません。
「ねえ、おねーちゃん。外にちょっとオオカミ狩りに行かない?なんか誘われちゃって」
持ち場に帰ると環が待っていて中世の貴族みたいな誘いをトイレに誘うかの如くしてきた。私は特に断ることもないので頷いた。
「じゃあ行くわよ」
そうして環と私を含め5人で外に狩りに出ることになりました。
外に出るPTメンバーは剣2人と小刀1人だった。ていうか武とつっ君さんとメアリーさんじゃん。
なにか陰謀のようなものを感じる、もしかして私たちはスパイとして処理されてしまうのだろうか?まあ少し離れても道沿いなら人目にもつくだろうし気のせいでしょう。
しかしオオカミ狩りは森の茂みをかき分けて探索するという人目にすごくつかないやつだった。森に迷ったことにされて消される危険性があるため私はしばらくして事を起こされる前に思いのほか見通しが悪く奇襲される可能性が高いから獣道に移動しないかと提案した。早くここから逃げないと。
その提案を武は快く受け入れてくれて今度は獣道沿いに探索することになった。来た道の方だったけど。こっちはしばらく誰も通らないからダメなんだよ!
いつやられるかぶるぶる震えながら過ごしていたらメアリーさんがボソッと何かをつぶやいて武と話していた。聞き耳を立ててみる、誤解なら解かないといかないからだ。
「んー、やっぱりオオカミの群れは多くて10匹程度ね。」
確かに今遭遇した群れは幸運なことに10匹程度しかいなかった。しかし彼らはそれを想定していたかのような口ぶりだった。
思い返してみるとオオカミの群れは多い時と少ない時で別れていたそして奥に進めば進むほどその差は開いていた。けどそれは一体何を指示しているのだろうか?
「そろそろ帰ろうか、明日は待機だとはいえリーダーがあまり野営地から離れるのもまずいしね。」
気づけば2時間は狩りをしていてあたりは暗くなり始めていた。私達は頷いて帰ることにした。
結局これは一体何だったんだろう。




