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第61話 2日目

 次の日の朝、あの後運のいいことにオオカミの襲撃がなく見張りの当番が終わり次のグループを起こして交代した後寝た私ですが、枕はわたあめを使用したおかげで変わってはいないのですがやはりテントで寝るのはいろいろと違うため少し寝不足かつ起床時間前に起きてしまいました。

 隣で寝ているロンナと剣を使う……だれだっけ、とにかく1番目の見張り当番の女子グループのテント内で一緒に寝ていた二人を起こさないようにゆっくりと体を起こして外に出ることにしました。

 外に出ると日が少し上り始めたらしく焚火の明かりだけでなく森全体が薄暗い木漏れ日が差し込んできていました。

 特にここは広場で他より木の数も少ないのでお昼になったらきっと昼寝するにはちょうどいいでしょう。

 空を見上げてみるとなんと驚き、雲が出ていました。エターナル島にきて初めて見ました。どうやらダンジョンは外とは違うらしくてちゃんと雲が出るらしいです。もしかしたら雨も降るかもしれません。

 少し間抜けな顔で空を見上げていたせいか、『ぷっ』と誰かが笑う音がしました。少しむっとした顔で笑った人に抗議することにしました。

 「おはようございます、人の顔を見るなり笑うなんて、ずいぶんな挨拶ですね?」

 「おはよ、しょうがないじゃない、おねーちゃん、1日ぶりに見たんだから。」

 環は挨拶ついでに減らず口を叩きまくることにしたらしい。厳密には半日くらいだし別にこのくらい合わないことなんていっぱいあったのだから笑うのは我慢するべきだろう。

 でもダンジョンでこんなに話さないことは初めてかもしれない。今までずっと一緒に潜ってきたから少し心細いと思う一面はあったし見かけたら無性に安心した。これって寂しかったってことじゃないよね。

 「環、空に雲が浮いてますよ。もしかしたらここでは雨が降るかもしれないですよ?」

 ばれないように環に先ほど発見した衝撃の事実を伝えてみた。環がその言葉につられて上を向く。確かに少し笑うのもわかるかもしれない。

 「本当だ!雲なんて久々に見たわ!でもあと2日は晴れててほしいわね!」

 環が元気よくこちらに言ってくる。昨日の夜ロンナと話したことは今は話さないでおこう。きっと今日は5匹くらいの群れが20回くらい襲ってくるかもしれないからね。

 「あんまり大きな声でしゃべっちゃだめですよ、寝てる人がいるんですから。」

 雲を発見してテンションが上がって少し大きな声でしゃべる環を窘めてあと5分で起床時間だと知らされた。あと5分だから大きな音出していいってわけじゃないでしょ。

 「でもおねーちゃんも子供ね、雲見つけたくらいではしゃいじゃって」

 環はまたまた不思議なことを言う、確かに少しテンションは上がったけど別にそこまではしゃいでいない。何なら環のほうが声が大きくなった分はしゃいだ方だろう。

 「なんでそう思ったんですか?」

 「だってテントから出たときは眉間にしわが寄ってたのに空を見上げてからはずっと嬉しそうにしてるわよ」

 ええ……そんなことあるかな?朝起きたときは慣れないテントでの睡眠や昨日のロンナとの話が頭の中に残っていて確かに険しい表情をしていたかもしれないけれど別に雲を見たくらいじゃあそこまで嬉しい顔にはならないでしょう。

 多分それはきっと、と思った瞬間『そろそろ時間だよ』と環が言って話が終わってしまった。

 また森の中を索敵する仕事が始まるのかと少し憂鬱になりながら私は自分のテントに戻ることにしました。

 

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