第57話 1日目①
「おーいこっちこっち!」
ロンナが手を振ってる。1階2階で何かが起こるわけもなく、ただただ普通に歩いていただけで3階までついてしまった。
3階に着いたらもう陣形を組んでその場で待機と言われていたのでここで環とは3日ほどお別れた。
「じゃあ呼ばれてるから、行ってくるね」
環に手を振ってお互いの持ち場に分かれる。寂しがってないかな?
「こっから20分ほど待機だってーめんどいね」
ロンナは地面に豪快に座ってぶー垂れている。今第2PTが到着し終えたところなのであと3PTも待たないといけない。迷宮は通路が狭くて多分5人くらいしか同時には進めないだろうし転んだり戦闘が途中で起こっても大丈夫なように少しづつ間をあけて向かっているはずなのでちょっとだけ待機するのはしょうがないのだ。
ディーとリュウは男同士ですでにつるんでいるようだ、なんてことだ女同士3人でつるまないといけないだなんて。
舞はせっせと装備が足りてないかポーチを確認したり、刃こぼれを確認している。こっちはしっかり者なのかな?
「まいーもうやめなよー何回目だよー、ティアも言ってやってよ。もう広場から10回はやってるよー」
どうやら極度の心配性のようだ、ロンナは完全に呆れてもう突っ込む気力もないようだ、どうしようか。
「もういいんじゃないですかね?」
とりあえず声をかける、すると舞が驚いてお尻から転んでしまった。
「ちょっと、ティア急に話しかけないでよ、貴女存在感なさすぎ……」
……泣きそうだ、ロンナは向こうから見つけてくれたのに舞はどうやら近くに来て話しかけるまで気づかなかったようだ。
沈黙が痛すぎる、こんな時話題を振るのはいつも環だったのだがついさっき別れてしまった。今までの私ならここで天気の話題を振るしかなかった、がしかし私には今ワイルドカードが手札に1枚存在する。今ここでその手札使わせてもらうぜ、いけ!わたあめ。
そうして私はわたあめをローブから取り出し舞に向かわせた。ここから『きゃーこのひつじかわいいー』となり『そうですねえ』と適当な相槌を交わせばミッションコンプリートだ。
わたあめが舞に近づく、舞は近づいたわたあめに気づき、そして無視した。そんな馬鹿な……。
傷心のわたあめは今度はロンナに近づき、ロンナは『飼い主はあっちだよー』と私にわたあめを突っ返してきた。私の最強のカードは今ここに完全に封じられたのであった。
こうして第5PTが集まるまでの20分間ロンナはぼーっとして舞は何回も何回も装備を確認し、そして私はわたあめをずっとなでながら過ごした。
女3人集まれば姦しいとはいったい何だったんだろうか。




