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第52話 再確認

私たちはドロップアイテムを回収して男とさっさと別れた。男は私たちと即席PTを組みたそうだったがオオカミに襲われた理由がちょっと奥に行き過ぎたからだったとほざく危機管理のなっていない人とPTを組むのはお断りだった。それに環に聞きたいこともあったのでさっさと二人きりになりたかった。

 「それで、どうでした?オオカミは。」

 マップを開いて入り口付近まで戻ってきてもうほとんど安全だろうと判断した私は環に気になっていたことを聞いた。さっきの戦闘を見る限り全然平気そうだった。

 「そうね、思ったより平気だったわね。カヌスさんが言ってた今月末にあるっていうレイドPTに参加しちゃおうか」

 環はあっさりと答えた、戦闘中もしっかりと技も出せていたし2匹に襲われた時も特に問題なく捌けていた。

 あんなに怖がってたのにいざ戦闘となればそこまでではなかったらしい。案ずるより産むがやすしとはこのことだろうか。

 そしてそれは環が一人でもやっていけることを意味していた。

 正直あの日10階まで一緒に行っておんなじ世界に飛ばしてもらおうと約束したときから私は本当に10階まで行けるだなんて思っていなかった。それは環もそうだと思っているだろう。

 ただ一緒にダンジョンを攻略して1年後に飛ばされた後も一人でも生きていけるだけの力と意思を持ってほしくてあの時約束をしたのだ。

 だから今の状態の環なら正直3階への挑戦をすぐにする必要はもうない。そう思って環に伝えようとしたのだが。

 「おねーちゃん何か勘違いしてると思うから先に言っておくけど私今もダンジョンに潜って戦うのはすごく怖いし、今だって、すぐ帰って2層でのんびり稼いで過ごしたいと思ってるわよ。

 けどそうしないのはおねーちゃんが10層まで行こうって言ったからだからね?私ご褒美が無かったら頑張れないから。」

 環がおかしなことを言う。そこまでして私と一緒にいたいのだろうか。照れるなあ。

 私がニヨニヨしていると環がくそでかため息をついた。なんだよこの野郎、照れるなって。

 「いい?私が言いたいのはあくまでおねーちゃんの説得に応じたのは10層まで行って1年後一緒の世界に行こうって話だからってことよ?

 6層とかでバイバイとか言い出したら私また引きこもるからね?」

 環がダイナミックな引きこもり宣言をする、なんということだ。更生したと思った妹は実は全然更生してなかったのだ。

 「つまり、第一回複数レイドPTには参加決定ってことですか?」

 「そうよ、1年じゃあ10階まで行けるのなんて上位の人間だけかもしれないじゃない。トップランナーである必要はないけど大人数が参加するレイドPT程度の攻略速度は維持するべきだわ。」

 そうこうしているうちに3階の入り口に戻ってきた。ここにあるポータルを起動したら帰りだけ1階の出口にワープできるのだ。行きもこれ使えたら楽だったのにね。

 行きだけはダンジョンを走破しないといけない以上、上層になればなるほどかかる日数は多くなっていくだろう。そう考えると本気で10階まで登りきるつもりなら、だいぶ頑張らないといけないんだろう。

 ダンジョンの出口から出ると環がすたすたと速足でレイドPTの申込書の所に向かう。追いついたころには私と環の名前がすでに申込書に書き込まれた後だった。

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