第5話 激闘VSスライム
1500ポイントこれが一日にかかる最低限の費用である。
メニューにある日替わり定食のポイントが500ポイントだからだ。
ちなみに日替わり定食の上に100ポイントで購入できる完全栄養食とやらは試しに購入してみたらカロリーメイトのようなものだった。
ダンジョンに入る前に昼ごはん代わりに食べてみたのだがこんなもの毎日食べてたら身も心もそして喉もぱさぱさになってしまう、文化的な食事をするためにも私はダンジョンに潜ることになった。
ダンジョンの1階は迷宮だった。ところどころの壁に松明がかかっており、薄暗かった。
そしてなにより4000人もこの中に入ったとは思えないほど静寂だった。私が足を一歩進めるたびに足音がうるさいくらい反響している気がするしそれを聞きつけたモンスターがそこの角からすぐにでも殺到してくるんじゃないかとびくびくしながら歩くことになった。
「もうおうち帰りたい、見知らぬ我が家に帰りたい。」
迷宮の壁に手を添えている私はもう涙目に違いない。けどこれは不安からそうなっているわけではなく迷宮で迷わないための右手の法則と目にゴミが入っただけだった。
「トイレ行きたい、帰ろっかな~」
急に催してきた気がしてきた。そして男から女に変わったともなれば必然、其処ら辺で立ちしょんもできないのだ、つまりトイレのために家に帰ったほうがいい、いや帰らなければいけない。
「……」
無言で足音だけが響くとすごく怖く何か独り言をしゃべっていないと落ち着かなかったのだがレパートリーが尽きた。
「おらぁ!かかってこいもんすたー!はよでてこい!」
カラ元気でいきり散らしているが声が震えまくっているのが自分でもよくわかる。メニューで買ったナイフをぶんぶん振りかざしながら私は着々と迷宮を進んでいた。
しかし20分近く歩いていたのだがその後もモンスターに会うことは一向になかった。
「なんでこんなにいないんだろう」
私は1つの仮説を立てることにした。つまるところ4000人も入ったせいでモンスターが全滅したんじゃないかと。よし今すぐ帰ろう。
「帰るか」
そう一言つぶやいてメニューを開き帰ろうとした。しかし衝撃の事実に気づいてしまったのだ。
メニュー開いたせいで壁から手を放しかつ今までどっちの方向から来たのか忘れてしまったのである。
「あれ、どっちからきたっけ……」
いやな汗が体から出てくるのがわかる、迷宮の中で遭難してしまったのである。
そしてそんな状況のせいで周囲の索敵はおざなりになっており後ろから近づくモンスターに直前まで気づくことはできなかった。
「えーっと松明が右側にあった気がするけど」
私は松明の位置を確認するために振り返り、しゃべりかけた言葉を言い終わらないうちに目の前のモンスターと目を合わせることになった。
スライムがそこにいた。どろどろとしていて真ん中に核があるスライムだった。目はなかったけど絶対に目が合った確信があった。
だってびっくりしたような感じでスライムがビクッ!と震えたからだった。かわいい。そして弱そうだった。30㎝もないような大きさだし。
「ゲームとかのお約束だったよな、一番最初の敵は雑魚敵ってことは!」
私は目の前にいたスライムにナイフを勢いよく振りかざそうとした。これなら倒せる。
そう思ったのもつかの間、私は足元の小石につまづき、スライムに向かってこけた。