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第49話 固有スキルについて③

うむむ……わたあめをじっと見てみる。わたあめもつぶらな瞳でこっちを見返してくる。

 するとわたあめがすっとローブに入って、私のローブは羊毛製に変わった。

 「おお、おおおおお!?」

 驚く、いやこんなのでいいだろうか?いや今までうんともすんとも言わなかったスキルが発動したのだ、これで一歩前進だね。

 「やったわね!」

 環も喜んでくれる。

「おめでとう」

「おめでと」

「おめでとう」

 カヌスさんや双子もぱちぱちと私のスキル発動を喜んでくれている。

 「ありがとう!」

 私もうれしいので感謝を述べた。

 どうやら無事?スキルが発動したけど……

 「なにこれ……」

 結局防具の防御力がちょっとだけ上がっただけじゃないか。

 「ふーむ、防具やもしかしたら自身の装備に特別なエンチャントか能力を付与するのかな?例えば君が考えた通りの効果を付与するとか。」

 カヌスさんが唸る、そ、そんな気がしてきた!

 「でもMPは消耗してないみたいですね。」

 私はステータスを確認してMPが消耗されてないことを確認した。

 「じゃあ1日に使える回数が制限されているタイプなのかも、そうなると別の要因で今まで使えてなかったんだろうね。ステータスのINTとかそこらの数値かな?」

 カヌスさんはさらにスキルの詳細をつめようとしてくれている、すごくありがたいね。

 「案外その日の幸運の力で決まったりとか?」

 「なんてったってメリーゲート!」

 「もしかしたら笑顔が大事なのかもしれないね!」

 双子と環がぎゃあぎゃあ後ろからヤジを入れる。

 うるさいんだけど、正直その発想はなかった。笑顔笑顔……。ニチャァ。

 しかし何も起こらなかった、そもそもさっき発動したときも別に笑顔なんかしてなかったし、関係ないやそれ。

 「おっとそろそろお暇しようかね、そろそろ1時間たってしまう。」

 楽しい時間はすぐに去ってしまうものだ、どうやらもうカヌスさんのわたあめをなでる権利はそろそろ時間切れのようだ。一回も撫でてないけどね。

 「ありがとうございました、いろいろあったけど、これで3階攻略に一歩近づきました。」

 最初は襲われたりして心象最悪だったけど、その後は情報をくれたりしてまあ許してあげないこともないんだからね!

 「へえティアちゃんと環さんは3階を攻略するつもりなんだね、だったら1か月後に僕ら警邏隊が主導で行う3層攻略レイドがあるからそれに参加してみないかい?」

 環のほうをこっそり覗き見る、目で頷いてきた。カヌスさんに続きを話してもらうようにお願いする。

 「来月の終わりに30~50人規模のレイドPTを5つ3層に派遣して大規模な3層攻略を行う予定なんだ。参加する人数が150人くらいいるはずだから普段の何倍も安全に3層を攻略できる予定ではあるんだ。

 だから君たちさえ良ければまだまだ参加申請は受け付けているからそれに参加してみないかい?僕たちとしても変な人たちが参加するより礼儀正しくて適切な判断を下せる人たちが一人でも多く参加してもらえると嬉しいんだ。」

 話を聞く分には初めて参加するレイドPTとしてはうってつけのものだ、カヌスさん達も……多分信用できるし危険も1レイドで行う攻略よりも段違いで少ないだろう。

 「わかりました、二人で話し合って前向きに検討したいと思います。」

 環が話を聞いて答えてくれた、もう決まってるようなものだけど、それでもまだ環が3階に耐えられるかわからない。無理せず攻略するのが私たちのモットーなのだ。なにまだ時間はあるさ。

 「ありがとう、それじゃあ今度こそ失礼するね、ばいばい」

 「じゃあねー」

 「またこんど」

 そう言ってカヌスさんたちは立ち去って行った。向こうが手を振っているのでこちらも手を振って応じる。

 ところでローブからわたあめが出ない、どうしよう。

 「おねーちゃん、早くわたあめ出してよ、ひつじ喫茶できないじゃない。」

 環がせかす、いつの間にか次のお客さんも待機しているじゃないか。まずい、むむむむむ!、でろ~!しかし出てこない、どうしようこれ……。

 さっき別れたばかりだけど恥を忍んでカヌスさんに聞きに行く羽目になった、対象この場合なら羊毛製になったローブから離れてみたら?ということだったので脱いで離れてみたら無事わたあめが出てきてくれた。

 しかし問題はまだあった。出てきたわたあめを抱いてローブをまた着るとなんとまたローブにわたあめが入ってしまうのだ、どうすれば……。

 「仕方ないわね、おねーちゃん、しばらくカウンターの下にでも引きこもってて!わたあめの視界に入らなければいいから!もしくはそのローブ脱ぎなさい!」

 しばらく悩んだ結果、ローブを脱ぐのは恥ずかしいのでカウンターに引きこもる羽目になったのだ。これがマリアナ海溝よりも深いわけの全貌であった。

 

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