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第42話 わたあめの真価

「いけ!わたあめ!」「めぇ~」

 目の前に飛び出してきた野生のスライムに対して私は手持ち羊のわたあめを繰り出した。

 「わたあめ!たいあたり!」「めぇ~」

 わたあめの渾身の体当たりがスライムに炸裂する、するとお互いやわらかい身体なのが幸いし体当たりの衝撃を完全に吸収しきった二つの軟体が完全に静止した状態で1分ほどその場で相撲を取った、両者譲らない完全な拮抗状態、はた目から見ると全く動かないほどの両者の押し合いは高度な攻防なのだろうか、それとも動いてないだけ?

 しびれを切らした環がスライムをしばく、瞬間スライムは核へと変貌し、急に支えを失ったはずのわたあめは微動だにしなかった、そういうことなのだろう。

 「おねーちゃん、わたあめに攻撃能力は多分ないよ……」

 ちょうど今私もその結論に至ったところだった、こいつが私の固有スキルってまじ?

 「おねーちゃんに任せてたらいつまでたっても検証できないわ!お遊びはここまでよ!何のために屋根のある迷宮に来たと思ってるの!」

 環がわたあめを持ち上げこちらに近づけてくる。いったい何をするんだー!

 「ほら!ちゃっちゃとわたあめとローブ合体させなさい!ここなら屋根があるから好きなだけ飛んでいいわよ!」

 そう言ってわたあめを私の体に押し付けてくる、くすぐったくて笑ってしまう。

 「ひゃ!や、やめてよ~」

 「変な声出さないでってば!ほら早く、ちゃっちゃとやっちゃいなさい!」

 3人でしばらくじゃれついて戯れた、いや環の目は結構ガチだった、これマジで何か起こらないと一生わたあめこすりつけられるって。

 しかしそんなことは起こらなかった。すべてのことには等しく終わりが訪れるのだ。

 おほんっと男の人の咳払いがした。ギギギとさび付いた人形のように首を咳払いの下方向へゆっくり向けた。

 そこには2人組のPTがいた、あの、すいませんみなかったことには……。

 「そういうことするなら場所は選んだほうがいいと思うよ。」

 呆れた声で言う男性に私たちは必死に言い訳をして誤解を解いた。多分、納得してくれたはず。

 「おねーちゃんのせいで恥をかいたわ!」

 環がプンプンと怒っている、一番恥をかかされたのは私ではないのだろうか?

 説明の過程で固有スキルが羊だということを説明させられた私は相手の男の「マジ?固有スキルが羊?」っていう衝撃の籠った目が忘れられない。

 いやこっちが聞きたいよ。早くわたあめの隠された能力を見つけ出さないと前世が羊飼いだと勘違いされてしまう。

 「ねえわたあめ、たかいたかーい、ほら空飛んでみたくないですか?」

 試しに高い高いしてあげる、前なんか知らんけど空飛んだし、きっとわたあめタイプは飛行で技は空を飛ぶだろう。

 「空を飛んだ時が衝撃的過ぎたけど、何か別のトリガーがあるのかもしれないわねえ。」

 環が遊んでいる私たちを尻目にまじめに検証をしている、難しいことは任せた!

 「そろそろ切り上げて2階で稼ぎますか。」

 検証の後はポイント稼ぎだ、たまの休暇を得るためにも効率よくダンジョンには潜らないとね。

 

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