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第32話 すれ違い

2階へと足を踏み入れた初日の稼ぎはエレメントの破片52個で合計3万ポイントを超えた。

 一人頭1万5千もの稼ぎだ。1階でちまちまスライムを倒してきたときは多くても8千ポイントだったのだからこの稼ぎは大快挙ともいえよう。

 なのに不思議だ、私の心は沈む一方なのだ……このままじゃ環に捨てられてまた一人でスライムと永遠にダンスする羽目になるんだ……。

 「おねーちゃんー?ほら、わたあめだよ~」「めぇ~」

 家に帰ってから机に突っ伏して微動だにしない私を何とか動かすためにわたあめを使って気を引こうとしている。気落ちしたときは甘いものという、試しにわたあめをなめてみた……ぺろぺろ、あ、甘い……。

 「わたあめはいつでももふもふで甘くていいですね……。」

 そんな私を見て環は仰天してわたあめを取り上げた。いいのかいわたあめを取り上げたらまた机に突っ伏すぞ。

 「お、おねーちゃん!だめでしょ!わたあめなんか口に入れたら!ばっちいじゃない!」「めぇぇ~」

 取り上げられたわたあめが悲しそうな鳴き声をしている。そうだね、ばっちい扱いされたら悲しいね。

 「何が不満なのよ……2階でいっぱい稼げていいじゃない?これで生活も楽になって貯金だってできるんだし、生活必需品以外を買ったっていいわ。

 そうだ!他の転生者たちが東の広場でフリーマーケットとかやってるらしいよ?いらなくなった装備やハンドメイド品を売っているらしいから今度見に行こう?」

 環は無駄に拗ねている私の機嫌を直すために気を使っていろいろな話をしてくれている。

 ここまで気を使ってもらっていつまでも机とキスしているのは失礼というものだろう、私は体を起こして機嫌を直すことにした。

 「そうですね、2階で荒稼ぎしてスキルとか装備を強化してちゃっちゃと3階に進んじゃいますか。」

 すると今度は環の機嫌が悪くなってしまった。

 「2階でポイントを稼ぐのじゃダメなの?前広場で話を聞いたじゃない、ポイントだけ考えるなら3階なんて行くだけ無駄だわ。」

 確かに2階も3階もポイント稼ぎの効率だけでいえばあんまり変わらないんだよな、それでも1年後の別の世界に移ることを考えたらこの1年間ずっと2階で留まるなんてことあまり利口ではない気がする。

 「4階、5階でどんどん効率などが変わってくるかもしれませんよ?それにステータスの伸びだって上に行けば行くほどよくなるかもしれないし……。」

 「そもそもおねーちゃん2階だって上手くやれてないじゃん!ポンコツのくせに上に行こうなんて無謀だよ!やめようよ!」

 ぐえぇ、環が私の心をえぐる、真実は時にあまりにも残酷に人を傷つけてしまうのだ。

 「私も頑張りますから、エレメント一人でも倒せるようになりますから……。」

 環が何にも言ってこない、呆れてしまったのかな?顔を机から持ち上げて環の顔を見る。環はぽろぽろと涙を流していた、なんで泣いてるの?

 「もう知らない!」

 顔を見られていることに気づくとそのまま環はそう言って家から飛び出てしまった。

 え……?なんで?

 

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