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第25話 ひつじ

気づくと私は神殿のベッドに寝かされていた。どうやらさっきのは夢だったらしい。そうこうしているうちに思い出そうとしても内容はもう思い出せなくなってきた。

 「私は……?」

 声をかけると環が気づいたらしく状況を説明してくれた。

 「どうもなにもおねーちゃんが急に泡拭いて倒れちゃったからヴァルゴさん、熊さんのことね?がベッドまで運んでくれたのよ?」

 どうやら私はまた熊さんもといヴァルゴさんに借りが出来てしまったらしい。

 その熊さんはどうやら待ち人がいたらしくついさっき神殿から出てしまったようだった。

 「ヴァルゴさんすっごく心配してたんだから!今度会ったらちゃんとお礼とかいわないとだめだよ!」

 環が口早にそう言ってくる。いわれなくてもそうするつもりだったけど、私が幽霊かあ……。

 気絶する前に話していた内容まで思い出してしまった。首をぶんぶん降って思考から外そうとしたら、環がお礼を言いたくないと私がジェスチャーしたと勘違いしたせいで少し揉めた。

 すこし言い合いしてしまった後ちゃん和解をして私たちは家に帰ることにした。がベットのお腹のあたりがもぞもぞと動いている。シルエットだけで見ると私が妊婦になってしまったようだ。誰の子よ!

 掛け布団を勢い良く剥がす、するとそこにはひつじがいた。

 「めぇ~」

 なんで?

 

 うちには羊なんて飼う余裕なんてありません!なんていう親もいなくそこらへんに置いていこうとすると私の後をとことことくっついてくる羊に根負けして私は羊を家に持ち帰ることにした。

 手足はとってつけたように小さく、頭が小さくてキュートなほとんど羊毛で体が構成されているような、まるでぬいぐるみみたいな見た目をしているひつじだった。少し走れば振り切れそうな気がしたのだがなぜか初対面の気がせず連れってってしまった。

 それに環もこのひつじの愛嬌にノックアウトされたらしく連れて帰るのに乗り気だった。

 「ねえねえおねーちゃん疲れたでしょ!私がかわりにひつじもってあげるよ。」

 このひつじ足が短いせいで自力で歩かせると遅くてかなわない。なので家への帰り道は私が抱きかかえてあげて帰っていたのだけれど環もどうやら抱えたいらしい。

 そもそもスライムよりちょっと大きいくらいしかないし、重さなんてまるで綿菓子のように軽い。頭の上にのっけても首すら凝らないであろうひつじなので何の負担にもならないのだが、まあ譲ってあげよう。

 「わあ!あなたすごくふわふわしてるのね!」「めぇ~」

 ひつじと少女が戯れている。ふむ……いいものですね?私はそんなのんきなことを考えていた。

 この後私はとんでもないことに巻き込まれてしまうことなんて想像もしてなかったのだから。

 

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