第24話 夢
ここから少しおかしいことになると思います
ぶくぶくぶく.。o○
私の意識はすっかりと暗闇に沈み込んでしまった。
気づくとそこは一面の草原で風が吹いているらしく草原の草は大きく揺れて靡いていた。
なんで他人事なんだろうか。それに普段よりも目線も高い。まるで宙に浮いてしまっているような……?
自分の体を見てみたら地面に足がついていない、それに体の感覚もほとんどないようだ、だってあんなに草が靡いているのに私には風が感じられない。
私はそのまま風に乗っているかのようにぷかぷかと空中浮遊を楽しんだ。重力がないのか見慣れない装備や物が浮かんではぶつかっている。
多分これは夢なんだ。だからこんなに現実味がないんだろう。
しばらく浮かんでいると向こう側から見慣れた女の子が出てきた、環だ。
「こんにちはお嬢さん、あなたの探し物はあちらにありますよ?」
環はどこか様子がおかしい。何回話しかけても同じことしか言ってくれない、まるでNPCだな。
仕方がないので指をさされた方向へ進んでいく。どうせ行く当てもないし夢だから平気だろう。
ぷかぷかと浮かぶこと数分、今度は見たことは無いけれど見慣れた風景が見え始めてきた、多分私たち南の居住区を上から見たらこんな感じに見えるんだろう普段見ているものの違う視点から見た光景は違和感と新鮮さを私に味合わせてくれた。
塀で囲まれた庭と家達がずっと先まで広がっている。この庭がなければもっと歩く時間が短くて済んだのに……。
私は無性にむかついたのでさらに空高くまで飛び上がった。すると向こうから雲がこちらにのそのそと近づいてきたじゃないか。
「めぇ~」
ごめん夢なんだから日本語しゃべってくれないだろうか?アイコンタクトで背中に乗れと言われた気がするので私は背中に乗った。振り落とされないので正解らしい。
乗ってみてわかったけれどどうやらこの雲はひつじ雲だったらしい、めえめえうるさい。たくさんの羊が私を背中に乗せてえっちらおっちらとどこかに運んでいく。
一体どこに連れていかれてしまうんだろうか?暇だからちょっとちぎってみるか、私は羊毛をちぎってみると何の気もなしに口に入れてしまった。甘い、これ羊綿菓子雲だったかもしれない。
しばらく羊毛のじゅうたんを楽しんでいたら羊たちは急に地上へと降りて行ってしまった。もうすっかり夕暮れらしい。海岸線に浮かぶ夕日はとてもきれいだった。
しかしそう考えていない少女が一人いたようだ。
私だった。そこにト殺される運命を感じ取った家畜のように自らの運命を諦めた私がいた。口からよだれまででてるじゃねえか……。
なんで……?確かに私はここにいて、浮かんでいるのに砂浜に腰を下ろし、夕暮れをうつろな目で見つめている私もそこにいた。これが私の未来なのだろうか?
何をしているんだろう?みると私は羊のぬいぐるみを抱きしめて、そして女の人と話している。
私は会話の内容をよく聞こうと二人に近づいた。
「じゃああなたの名前はアガスティア……でどう?」
どうってあなた中二病なんですかね?
そこで私の意識は途切れてしまった。




