第43話 おじいさんの喫茶店3
洋風喫茶店をでて隣の和風な喫茶店に向かう途中、私はふと気になったことをジェニーに尋ねた。
「ああいう、子供って多いんですかね?」
ジェニーは珍しく少し話すかためらった後私に教えてくれた。
「君らみたいな詐欺子供じゃなくて中身も外見もってなるとすごく少ないよ、15から60くらいまでの地球での年齢の人は結構いるけど14歳以下となるとほとんどいないんだ」
「それだけだったら子どもなんか呼ぶ必要がなかったからってかんがえてもよかったんだけどねー、って痛いよ姉さん」
ジェミーがジェニーの言いよどんだ部分を言おうとしてしまったらしくわき腹を小突かれて言葉を遮られた。
私がじっと見つめて教えてオーラを出したらため息をついてしぶしぶながらジェニーが教えてくれた。
「こっちに来た子供、全員家庭環境が良くなかったんだよ」
「見知らぬ土地に放り出されてもいいように地球に未練でもない人らでも集めたのかね、神様はさ」
「っと、着いたよ。おーいリゼ出てこい!」
この会話をすぐに終わらせたかったのだろう、隣の家のドアに着くとことさら大きな音でドアをノックして話を強制的に双子たちは打ち切った。
「姉さん出てこないね! リゼのやつ寝てるんじゃないか!?」
「じゃあ悪口言っても平気ね! やーいロリコン!」
「姉さんそれ悪口じゃなくて事実だよ!」
ぎいぃ
双子は固まった、しかしそれは開くはずのないドアが開いて驚いたからではなかった。
開いたドアの先に悪魔がいたからだった。
近所迷惑な双子に殴りかかっているバーサーカーを尻目に私は先ほどの双子のセリフが頭の中を反芻していた。
「大丈夫?ティア」
気づけば円香が私の手を握って顔を覗き込んできていた。
「うん、大丈夫だよ……、ちょっと眠いだけ」
できる限り笑って答えてはみたけどうまくいったかは分からなかった。
「ティア、眠たいなら今日はここに泊ったら?従業員用の個室がいくつも余ってるのよ」
理性を取り戻したリゼが私たちに話しかけてきた。双子だったものはそこらへんに伸びている。
「ここからうちに帰るってなると時間がかかるしそうしましょっか」
円香がリゼの提案を受け入れる旨を伝えるとリゼは『準備してくるわ』といって建物の中に戻っていった。
「二人とも今日はお疲れ様」
「でも正直パトロールにはあんま向いてないからやっぱここで働かない?」
復活した双子が言うにはもともとここで働いてもらう予定だったらしい。
「ここからなら今の家よりダンジョンも行きやすいよ!」
「商店街の人口を増やすためにも!どうか清き引っ越しを!」
確かに、ここは島の中央に程よく近くて利便性は抜群かもしれない、でもここメイド喫茶なんだよね?やだなー。
私は口ごもって悩んでいるとさらに双子は捲し立てた。
「裏方なら(相対的に)メイド服を着ることなんてないよ!」
「今なら警邏隊の資金でこれから開発される地区にお店をただで構えられるんだよ!ここに住めるのはこの仕事だけ!」
「うおおおおおおおおおお!やります!?」
いつの間にかのせられて私はやると答えてしまっていた。
円香は『まあティアがやるっていうなら私はいいけど?』って残念な子を見る目で見ていた。
ちなみに双子は『じゃあ僕らも寄宿舎で寝てくるわー』っといって向かいの建物に入っていった。
パトロール班でもここに住めるじゃん!!!?




