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第12話 神様の考え事

「あーあ、つかれた。」

 神と名乗った男は謎の空間で思いっきり伸びをして体の凝りをほぐしていた。

 「まったくやになっちゃうよ。世界の管理も生物たちの保護も。」

 どうやら彼は自分の職務に不満がありそうだったが、それでもやらないといけないのだろう。いやいやながらたくさんあるモニター、ちょうど4千個ほどあるだろう画面に目を向けた。

 「どうやら今回呼んだ子たちは1階で死ぬなんてことはなかったようだね。ひとまず安心、かな。」

 自分が選別した人間たちが無事初日を生き残れたことにどうやら神はご満悦のようだった。

 「やっぱり寿命を迎える前に死んじゃうような奴らを連れてくるよりももともと何かスキルを持ってる奴らを集めてきたほうが効率的だよね。まあ、集めるのには苦労したけど。」

 どうやら少なくない労力を使って彼らを選別してきたらしい。その割にはあまり顔が芳しくない表情だった。

 「だけど、なーんか一部の人間がおかしい気がするんだよなあ、やっぱり全員普通の人間にしてあげたほうがよかったのかな。」

 そう言って熊の男の画面の前まで行き神はステータスとつぶやき画面を表示させた。

 

 名前:ヴァルゴ

 スキル:戦斧術1

 隠しスキル:獣の咆哮3

 固有スキル:王の威圧

 一言メモ:面倒見がいい、他人の笑顔が見るのが好き

 

 うん、こいつは元々がおかしいんだね?これじゃあ日本で生活していた時も子供が近くに寄っただけで泣いちゃうじゃないか……。

 神はこっそりステータスを覗き見たお詫びにスキルのコントロールがしやすいようにON/OFF機能をつけてあげた。これで初対面の人間に泣かれるようなことはなくなるだろう。

 現状彼ら転生者は隠しスキルまでしか認識できていない。固有スキルは個々人の才能で己が強くその力を欲したときに初めて見れるようになる設定だ。つけた機能も今すぐには効果は発揮しないだろう。

 だがしかしいいことをした。神は自分の行為にご満悦になってさらにほかの人間たちの画面に目を映らせた。

 顔面が魔王みたいな化け物がいる……。こんな奴召喚したっけ?

 ホラー映画のポスターよりやばい絵面の画面を見てしまって神は思わずステータスを開いてしまった。


 名前:リオ

 スキル:剣術1

 隠しスキル:突っ込み5

 固有スキル:痛覚無効化

 一言メモ:天賦の突っ込みキャラ。主に頭痛や胃痛を緩和する。


 あ、見た目は魔王だけど突っ込み兼苦労人の方でしたか。失礼しましたー。

 すでに固有スキルまで発現してそうなかわいそうな魔王の画面を神はそっとじした。そして別の所に行こうとしてふと自分に対して思考を巡らせている人間がいるのを察知した。

 そしてしょうがないのでその人物の画面の前まで移動することにした。

 「おい!またこいつかよ!何回目だよ!対して神のこと信じてないくせに祈りすぎなんだよ!」

 画面をのぞき込んで神は声を荒立てた。最初の説明の時からうるさすぎ、祈りすぎの常習犯だったからだ。

 むかつくからしばらくこいつに何も考えさせないようにしよう、ぼーっとしてろ!

 神の力で少女の思考を止めさせようとする、が、効かない。別のこと考え始めやがった、どうやら神がコピーしてきただけあってちゃんと強かったようだ、マイペース具合が。

 「勘弁してくれよ、祈られたら何か問題があったのかと確認しなくちゃいけないんだから……」

 もうミュートにしようかな。神はそう思った。人間だけではなく神にすら認知されない少女が爆誕しようとしてた。ピロンとレベルが上がる音もした。

 「こいつが今回の4000人の中で一番おかしいよな、説明中寝るし、すげえあほっぽいし、なんでここにいるんだろう。」

 神は今回の4000人を生きている人間の魂をコピーしてこちらに呼び寄せていた。前回までの人間は死んだ魂をそのままもらってきていたのだがその代わりいろいろとスキルを付与してあげないといけなくそれはとても力を消耗し、何人にもあたえることができるようなことではなかったのだ。その代わりに地球での事後処理をしなくていいメリットはあるのだが。

 しかし今回はもともと強いスキルを持った人間を地球で生かしたまま、こちらの世界にコピーして持ってくることによって生きた人間が失踪したとかいう面倒ごとを起こさないでかつ、たくさんのそこそこ強い人間をたくさんこちらの世界に持ってくることに成功したのだった。

 ひとりひとりの力は強力なスキルを与えてない分最初は弱いだろうがそれでも成長させれば負けないくらいに強くなるはずだった。

 だから逆に言うと何のスキルもなければ弱い人間なんかがここにいるはずないのだった。

 「もしかして手違いでコピーしてしまった?もしくはコピーした際にどこかがずれてそれでおかしくなってしまったのか?」

 そう考えると一気に少女は哀れな被害者になる、コピーしたせいで元の世界に戻すなんてこともできない。その場合は少し多めに彼女にポイントなりを渡してわびをしなければいけない。

 そこまで思い至った神は彼女のステータスを開いて絶句した。


 名前:未設定です

 スキル:短剣術1

 隠しスキル:隠ぺい2 LVup!

 固有スキル:メリーゲート

 一言メモ:陰キャコミュ障

 

 どこもおかしなところがない……!別にコピーもミスってないし、ずれておかしくなったわけでもない。

 前世からもともとマイペースすぎて、おかしいやつだこれ!

 なんでこんな奴コピーしちまったんだよ、固有スキルも意味わからないしこれ……、神は思考を放棄しようとしたが今度は少女が全裸で祈り始めた挙句ダンスまで始めた。

 神の頭はもう少しでビックバンが起こりそうだった。怪電波に当てられて頭の中に新しい宇宙ができてしまう!これ以上管理する世界を神は増やしたくないのだ。

 「まじでなんなんだこいつ……」 

 もうこいつについて考えるのはやめよう、そう考えた神だったが最後にふとすでに発現しているくせに本人には見えていない固有スキルを見てニヤついたのであった。

 

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