第40話 私捕縛作戦
すでに住宅地区を超えて商店街に目標は差し掛かっていたため道に提灯はなく明かりがなく私たちが降り立った場所は真っ暗だった。
とっ、とっ、とっ、体の軽そうな子供が走る音がだんだんと近づいてくる。
明かりが此方にさしてきて持ち主の顔がだんだんと視認できるようになる。あれは……うん私だ、なん百メートルと小走りだけど走ってるせいでちょっと苦しそうであれな顔してるけど私だ……。
私が左から、ジェニーが右から同時に私に飛びついて捕縛する、そんな単純な作戦だけど相手を見てたら成功する気しかなくなってきたわ、だって相手私だし。
メニューのメッセージから5秒後に同時に出るよ!と文面が送られてきた。
隠密のためこちらは真っ暗なためアイコンタクトを送ることもできないが2人目の私が『はあ、はあ』と息切れしながら明かりもついでに持ってきてくれるため問題ないだろう。
よし5秒経った、私は隠れてた看板から飛び出て走ろうとするが、その場でずっこけた、何かにつまずいた!
「誰!」
私2号が提灯でこちらを照らす。こっちは囮だよ!
本命のジェニーさんが左から私を捕縛しようとする、けど私に似つかわしくない反応速度で『エアスワップ!』と叫ぶとどうしたことかまた私はどこかへと駆けて行ってしまった。
困惑を隠せないけどとりあえずジェニーさんを起こしに行くと私はがばっと勢いよく起き上がったジェニーさんに肩を掴まれてしまった。
「ねえ! ティア、あなた短剣スキルしか上げてないわよね!? 固有スキル!?」
「いや私あんなスキル使えないですけど……」
真っ暗で分からないけどちょっと怖い顔してる気がする、どうしたんだろう。
「あの分身風魔法のレベル5魔法使ってきたわよ、捕まえるの思ったより大変かもしれないわ」
あんな弱そうな顔しといて本体より強いスキル使えるとかマジっすか?
追いついたジェミーと円香に話をしてもいい策は思いつかなかったのでもう一度補足して捕まえるしかないとなった。
今度は空を飛びながらジェミーと円香を掴んで4人で移動する。さっきのスピードならこれでもまだ追いつけるはずだ。
「ちょっとティア!? さっきから腕の力弱まってない!? 落ちるって!」
わたしが必死で円香を掴んでいるとぶら下がってるだけの円香が大騒ぎする。
これでも必死につかんでいるんだよ……、やべえ落としそう。
「ぎゃー! やだやだ! 落ちる落ちる!!!!!! もっと下にして!」
こんな大騒ぎしてたら相手にも当然気づかれるわけでして、まって円香首を絞めないで、し……ぬ……。
落としそうになった円香が私に無理やりくっついたせいで首が絞まった。このまま落ちる、2つの意味で。
「騒がしい子たちね。」
落ちた先に分身した私がいて浮かせてもらって助かった。ありがとう!もう一人の僕!
「ついでに捕まろうか?」
するとジェニーとジェミーがすでに先回りしたらしく分身を捕縛するべくスキルを放っていた。
「アクアプリズン!」
しかしながら水の檻には捕まえたはずの分身はぼやーとぼやけて霧散して消えてしまった。
「兄さん! ミラージュだと思う! クールダウン中に決めよう!」
スキルには連続で使用できないようにクールダウンという待機時間が設定されていた。
「円香たちも探して! 近くにいるはず!」
ジェミーがきょろきょろと周囲を探しながら叫ぶ。慌てて私も探すことにした。
「向こうだ!」
ジェニーがいち早く向こう側へと抜けていった分身を見つけてウィンドカッターを放つ。
「きゃ」
分身がこけてその隙にジェミーが分身を抑え込み、成功した。
「ほら手荒にはしないからさ、はやいとこティアの中にでも戻ってよ」




