第29話 桃がどんぶらこ
「ファイアーボール」
どっかーん!っと戦隊ヒーローが名乗った時に後ろで謎に爆発するレベルの衝撃がいたいけなオオカミを襲った。
「木っ端みじんや……」
円香がばらばらになったオオカミを見てドン引きしている。私も吐き気を催してきたぞ……。
にしてもさっきから出てくるモンスターは代り映えがしない、異常なんて本当に起こっているのだろうか?
「ティア、見てごらんなさい?川が流れているわよ」
オオカミとともに木々も吹っ飛んでいたらしく土煙が晴れた方向を見てみると確かにそこには川が流れていた。
「ここに川なんて流れてましたっけ?」
もしかしたら元々あった川なのかもしれないので私は素知らぬ顔をしているふりをして川のことを聞いてみた。
「いいえ、ここに川なんて流れてなかったわ」
円香も同意をしてくれた、よかったわ。
「これも異変の結果なのかな?」
リゼがとことこと川のほとりに歩いて行き、そのまま座り込んでみずをちゃぷちゃぷと音を鳴らしながら触れる。
「なんなんでしょうね、まあマッピングして後で報告しておきましょうか」
円香がマップを開きながらついでに時間を確かめる。
「まだ時間があるようだし、川沿いを歩いて調査しましょ」
円香の意見に賛成してみんなで川沿いを上流に向かって調査することにしました。
「ティア、気を付けてね?転んで落ちるかもしれないから手をつなぐ?」
リゼが私の心配を過剰にしてくる、正直ちょっとうっとおしい、と思った傍から足元の石が苔むしていたらしくずっこけかかった。
強制的に手をつながれる羽目になってしまった。
「あのーこれじゃあ何かあった時戦えないと思うんですけど……、ねえ円香も何とか言ってくださいよー」
リゼに手を繋がれたので円香に助けを求めたはずなのだが円香も私の手を繋いできた、なんか昔見た宇宙人が捕まった写真を思い出した。
うーん困った、ずるずると両サイドから引きずられながらこの状況から逃れる方法を思案していたら川の上流からなんだか変なものが流れてきた。
天啓を得たあれを出汁にしてこの状況から抜け出そう、と思ったまではいいけど私たちは全員フリーズせざるを得なかった。
そこにはどんぶらこどんぶらこ、大きな大きな桃が流れてきてしまったのだった。
そのまましばらく唖然として眺めていると、桃は当たり前だが下流へと流れていった。
私たちは流れていく桃を目で追い続けたがどんどん小さくなっていく状況に全員で一度目を合わせた後、慌ててその桃を回収するべく靴を脱いでスカートを捲し上げながら川へと入った。
「早く早く!待って!桃!お願いだから待って!」
私が二人の手を振り切っていの一番に川に入り込むが全然追いつけない、しまった一度追いついてから川に入るべきだったか……。
「ちょっと!背が小さい私達じゃ追いつけないからそんなところで見てないで早くあなたも川に入りなさいよ!」
私を追うように川に入った円香がリゼにも川に入るように言う。
「先に川に入ったら追いつけないから!リゼ!川岸から桃を捕獲してください!」
私が円香の声に負けないくらいの大声で伝えるとリゼはこくりとうなずいて何とか桃を私たちは捕獲することに成功したのだった。
最近暑くて体調を崩し気味です。
ダレた状態で書いてもとんでもないことになりそうなので
しばらく毎日は更新停止します。
週1くらいで投稿して忘れないようにしたいとは思っています。




