第27話 仲良しPT!
1週間後、遂に出発の日がやってきた。私たちは全員集まり、双子と共に出発することになった。
なんでか知らないけど円香が指揮を執り、私はそのサポートに徹することにした。リゼと魔王は、未だにお互いに警戒心を抱いているが、なんとか協力する姿勢を見せている。がPTの空気はとても悪い。
「じゃあ、出発するわよ!」円香の掛け声で私たちは3層へと足を踏み入れた。
探索の初めは順調だった。森の中は異変が起きたとされたが特に異常は見当たらなかった。
2時間ほど探索を進め森の中の少し開けた場所を見つけると私たちはそこで休憩をとることにした。
腰を下ろして一息ついたはいいが突然、辺りが暗くなり、空気が重くなった。円香が空に向かって指をさす。
「みんな!あそこを見て!」
私たちは空のほうを見ると、巨大な空飛ぶイカスパゲティーモンスターが姿を現し、私たちに襲いかかってきた。リゼとカズさんがすぐに反応し、攻撃を開始する。双子も魔法で援護し、私は木の陰に隠れて一丸となって戦った。
「みんな、落ち着いて!協力すれば倒せるわ!」
円香の指示に従い、私たちは連携を強化した。がんばえー。リゼの強力な魔法と魔王の剣技が交差し、スパゲティーは真っ二つに割れた。
残念なことにスパゲティーは二つに割れた程度ではイタリア人しか倒せなかったっため予断は許さなかったのだが……。
その後も戦いは激しく続いたが、最終的に私たちはモンスターを倒すことに成功した。全員が息を切らしながらも、達成感に包まれていた。
「やったな!」魔王が笑顔でリゼに言う。
リゼも笑顔でそれに答える。
「ええ、でも油断は禁物よ。まだ先は長いわ」
こうして、私たちは和解をし気まずいPTなんか無くなったんだ。
なればよかったのに……。
「こらーティア、いい加減にベッドから出なさい!」
3階への探索PTが集まる日の朝、私を無常な現実へ引き戻そうとする円香が掛け布団を剥いで私をベッドから引きずり下ろす。
「やだー、行きたくないー、おなか痛いよー、熱もあるよー」
私は何としてでも行きたくないためベットの上で足をじたばたさせて虚しい抵抗をする。
だが仮病はおでことおでこを合わせられて1秒で看破された。
「ほら、さっさと下に降りなさい!間に合わなくなっちゃうわよ!」
肩を脱力させてぐでんぐでんしながらゆっくりと階段を降りリビングの椅子に深く座り込む。
気の進まないままだらだらとリビングでくつろいでいると着替えや身支度を円香に強制的に進められてそのまま家からダンジョンまで連行された。




