第26話 双子再来
リゼが驚いてカズを振り返る。
「無効ですって?どうして?」
「だって、それは占いじゃなくてただの暴力だろ?占いって言うのはもっとこう、未来を予測したりするもんだぜ」
「そんな馬鹿な……まともなことが言えたのかカズ!」
ヒロさんが驚きのあまりカズの肩をつかみ強く揺らしている!
「そんな……」
敗北を突き付けられたリゼは膝から崩れ落ちてしまう。
いったいこの勝負どうやって落としどころをつければいいんだ!
最後の頼みの策士円香を見るも目が虚ろでよく聞くと『もうどうにでもなれ……』とかつぶやいている。心なしか顔もぐにゃぁってなってる。
この事態を収拾するのはもはや不可能だ、ということで私はぐにゃぁを連れて帰ることにした。
「じゃ、私帰るんで来週また会いましょう!では!」
今日一番の声を出して猛ダッシュで逃げる!前世で鍛え上げた帰宅部としての実力見せつけてあげようではないか。
「待ちたまえ!」
「こんなカオスな場所から逃げようだなんてそんなの許されないよ!」
しかし唐突に2つの声が私を引き留める。
呼ばれた方向を向きたくなくて錆びて動かなくなった人形のようにギギギギと音を鳴らしながら声のした方向を向く。
そこには今回の元凶、双子のジェニーとジェミーがいたのだった。
「うわああああああああ」
私は猛ダッシュで走り出したが、ジェニーが素早くレヴィテーションで飛んで私の前に飛び降りてきた。
「はい、つかまーえた」
哀れ、そのまま私たちは戦場にドナドナされてしまったのだ。
「タスケテ」
なんとか復活した魔王と未だ呆然としているリゼ、肩を揺らされてすぎて気分が悪くなっているカズと双子に警戒心をあらわにしているヒロさん達に助けを求めるが一度見捨てた人間には厳しいらしく私は見捨てられ、そのままぽいっと捨てられ地面に落ちた。
私の傍の地面に落ちていたタロットカードが『インガオホー』と笑う、死神のカード怖すぎ、私は口でふーっと息を吹きかけてそれを何とか魔王のほうに飛ばそうとする。
「結局占ってもらえなかったの? 僕らが行くと毎回ここやってないんだよね」
ジェミーが放り出された私をつんつんと突きながら占い師の人の危機管理能力の高さを教えてくれた、次はぜひお祓いもしてもらおう。
「私たちは占ってもらったけど、ほかの人たちはダメだったよ」
円香がジェニーさんに抱えられたままジェミーに伝えた。
「うーん、ここの占いすごいらしいから異変が起こった3層のこと占ってほしかったんだけどなあ」
ジェミーは口では殊勝なこと言ってるけど絶対違うこと占わせるに違いないんだ、だから逃げられてるんだよ。
「ま、いいか。で君達僕ら警邏隊の前で何してるの?」
え?
「さっきからの騒動一部始終みてたよ、私達悲しいな。島の治安を乱すなんてマネしないで欲しいな?」
え?
「姉さん、そしたらこいつら全員僕らと一緒に3層の探索の刑にすればいいんだよ!」
は?
「それは名案ね!きっと1週間後に3層に行くだんちょーも喜んで許可してくれるよ!」
いやあああああああああああああああ!
こうして1週間後のPTメンバーが決まってしまった。




