同期デビュー配信
「皆さん初めまして!新人Vtuberの鐡ララだよ。ぴっちぴちの18歳JKの輝きで失明しないようにね」
<ぴっちぴち……>
<かわいい子キタ、これで勝つる>
<まて、VeGamer所属やぞ>
今日は筑紫としての活動はせずに、1人の新人デビュー配信を見ていた。
「えっと、じゃあ自己紹介をするね!プロフィールはこんな感じ!」
かわいらしいプロフィール画像が映し出される。年齢身長から好きなもの、プレイしたゲームまで、よくあるデビュー配信の方式で時間が過ぎていく。
<<うちの同僚をよろしくおねがいします>>
<筑紫ちゃんもよう見とる>
<二人のコラボに期待>
<先輩も同期も勢揃いでワイ涙目>
私がコメントをすれば、コメント欄は一気ににぎやかになる。
「筑紫ちゃんやっほー!そういえば昨日の配信見たよ?今度キャリーしてね」
<<キャリーは無理ですけど、一緒に遊ぶの楽しみにしてます>>
「またまたぁ。ああ、もしかしたら筑紫ちゃんのこと知らない人もいるかもだから紹介するね」
そういってララちゃんは私の立ち絵を出す。随分と準備が良い。
「私の同期にあたる人なんだけど、私が採用を知ったのが一昨日、そしてデビューしたのが昨日っていうよくわからない子だよ。ちなみにゲームの腕前は……是非自分の目で見てみてね」
<まあ確かにあれは筆舌に尽くし難い>
<現役プロだと言われても疑わないわ>
<逆にホラゲーが苦手とかだったらギャップで萌える>
「ホラゲー?ははっ……いいかもね。筑紫ちゃんが叫ぶところ見てみたい」
ホラゲーはあまりやったことがない。一度実姉にやらされたが、感情を失った悲しき機械呼ばわりされてからというもの、やらなくなってしまった。
「でもホラゲー、私も苦手なんだよね。だからやるなら何かの記念とかイベントのときになるかな」
<二人絶叫期待>
<俺的にはララ姫と筑紫王子でも可>
<完全に絡みがない同期ってVeG初か>
「絡みがない?ああ、たしかに先輩は実姉妹だったり幼馴染だったりだね」
<というか採用を知ったのが一昨日ってマ?>
「あーっと、これ話していいのかな?ちょっと確認とってくるね」
そう言ってしばらくミュートになる。ミュート中だというのに、マネージャーさんと話してる顔だけはしっかりとトラッキングされていたため、表情がコロコロ変わる様子でコメント欄は賑わい続けていた。
「確認とれた!えっと、筑紫ちゃんの採用を一昨日私が知ったっていったけど、本当は採用自体が一昨日だったの!」
<じゃあ、採用翌日にデビュー配信があったってこと?>
「そうだね。だから耐久配信をデビュー配信の代わりにしたみたい!でも本当に筑紫ちゃんしかできないデビュー配信だったよね」
<できなくはないけど誰もやらないんじゃないかな>
<2時間半くらいって普通のゲーム配信並なんだよな>
<耐久配信の概念が壊れる……>
「私もあれだけ上手いプレーを突然見せられたもんだから自信なくしちゃった」
<聞いてる限りだと全然強そうだけどね>
<あれは流石に規格外>
<闇のゲーム経験者ってだけで十分やで>
「みんな闇のゲームって言うけど!アレ本当に面白いゲームなんだからね!」
闇のゲームと言われているチームゲーム系FPS。私も以前プレイしたことがあるが、チャットの荒れ方が尋常じゃなかった記憶がある。ただし、ゲームデザイン自体はとても良く、未だにファンが残り続けているとは聞いていた。
「とにかく!タグ決めとかしていこうと思うよ」
まさにテンプレート通りのデビュー配信。しかし力の入れようは私の比ではなく、スライドの一枚一枚が丁寧に作り込まれている。適宜コメントを拾いながら配信を進めていくあたりも、慣れを感じるほどだ。
「それじゃ、今日はこのくらいかな~。よかったらチャンネル登録、高評価もよろしくね!それじゃまたね~」
ララちゃんは最後まで笑顔で配信を終えた。同期のデビュー配信が無事に終わったことを見て、私は一息つく。
しかし……
<ezと同期ってどんな気分?>
<同期の前世チート使用疑惑どう思う?>
<筑紫ちゃんはezって説知ってる?>
私が早急に対応しなければいけない問題も出てきた。
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|◯筑紫みや@38tks_VeG ・3分 |
|右腕の古傷が痛むので、今晩は配信をおやすみします。|
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