初めての味
「よし、一戦目張り切って行こー!」
「筑紫ちゃん、生きとる~?」
「は、はいっ!すみません少し別の作業をしてました」
気がつけば一戦目のキャラピックが始まっていた。私たちのチームの構成は、今のメタとは離れているため、とても特色のあるものだ。
「よし、航路もバッチリだね!降りようか」
ランドマークこと最初に降りる地点は、今回は運良く真下にあった。初動が早くなるのでありがたい。
事前に決めたとおりに付かず離れずの距離で3人とも降り、効率よく物資を集めていく。
「水城さん、ARありましたよ」
「葵ちゃん、スナイパーあったよ」
「筑紫ちゃん、SMGあったで」
一瞬の沈黙、そして誰からともなく笑いがこみ上げてくる。
「それではあとで集合した際に武器を交換しましょう。まずは物資と安置の確認です」
「了解や。安置を読むな?」
葵先輩のキャラクターは、ドローンを飛ばすことで索敵することができる。そのドローンが安置読みの機械にインタラクトすることで、次の安置範囲を読むことができる。これが索敵キャラクターを入れる一番の理由と言ってもいい。
「ちょいまってな。今回はややこしい安置になりそうやな」
「遠いですね……」
マップでいうと私たちが降りるのは南西の端であり、今回の安置は北東に寄っていた。こういった場合、大きく2つのムーブが考えられる。1つは急いで移動し、他のチームを追い越して先に安置に入る方法。そしてもう1つが、安置の収縮に合わせて移動し、外側からファイトを仕掛けていく方法だ。
「筑紫ちゃん、どっちのムーブがええかなぁ」
「葵先輩にお任せしますよ。どちらでも大丈夫です」
「そういうのが一番困るんよ……」
「えっとさ!」
「どうした水城はん」
「きっと筑紫ちゃんは『どちらでも私たちなら勝てます』って言いたいんだと思うよ?後入りだとファイトが多くなるけどさ」
「うーん、せやったら後入りムーブにしてみるわ」
「わかりました。それじゃあ武器を交換して進みましょう」
ここ最近は水城さんも積極的に作戦会議に混じってくるようになった。そして葵先輩も、自分の判断をしっかりと伝えゲームメイクしていく姿勢が付いてきたように思う。
あとは、私が成長するだけだ。
「筑紫ちゃん!目の前の建物と右の建物にそれぞれ1パーティずつ敵いんで!」
「わかりました、優先度はどっちが先ですか?」
「右優先やで!正面は無視してええ。それより、長引いた時は南から敵来るかもしれへんさかい気ぃつけて」
「わかりました、水城さん一緒に付いてきてください。ウルトを投げて建物に突入します」
「了解だよ!」
「葵先輩は外の遮蔽から索敵とウルトを。速度優先で行きます!」
「わかったで!」
ファイトになれば私の領分だ。もちろん水城さんや葵先輩のサポートあってのことだが。
「一人ダウン、一人水城さんの方に向かいました!」
「アーマーは割ったけど……っ!私も限界!ごめん一回下がるね!」
「水城はん下がって回復してええよ。私がカバーに入れる」
「もう一人ミリです!葵先輩お願いします」
連携は完璧だった。私を軸にして、水城さんと葵先輩の波状攻撃、回復を優先する安定度。あっという間に1パーティを喰い、建物内を制圧しきる。
「罠置くよ!」
「お願いします。葵先輩、周りの状況は?」
「想定通り。次の移動は東方向で敵はほぼいない。このまま最終安置まで接敵なさそうやねぇ」
「流石です。物資の数をあわせておきましょう」
葵先輩の判断力はさすがの一言に過ぎる。水城さんも新たなキャラに呑まれずに手堅くスキルを使っている。
今日はことごとく噛み合う。なぜかそんな気がした。
❍✕△❑
最終安置一段階前。私達のポジションは最高だった。最低限の接敵と最速の殲滅をこなし続けた私たちは、気がつけば残り5部隊まで来ていた。
「葵先輩、お見事でした」
「おおきに。そやけどまだ最終収縮残ってんで。ポジションはたしかに有利やけど、逆に言うたら残りの全チームからヘイトを買う場所でもあるんやんな」
「そうですね……遮蔽も心もとないし、ここで籠城しても最終的に混戦に飛び出していかなければ勝てない……」
葵先輩にIGLを任せたのは、私以上にムーブを考えるのに長けているからだった。いわばゲーム性とのマッチが良かったのである。
しかし、一方戦闘内での指示はまだ私の方にも分がある。ここまでIGLをしてくれたおかげで、脳のキャパシティにもだいぶ余裕が残った状態でこの場に立てていた。
「水城さん」
「……ん?えっと私?」
「はい。水城さんにお願いなんですが」
私は、水城さんに作戦を伝える。それは最善策のようで、しかし彼女には酷な判断を強いるかもしれない。
「葵ちゃんはそれでもいいの?」
「筑紫ちゃんの判断の正しさは私が保証すんで。それに、私最後生き残ってもこの武器構成じゃ戦い切れへん可能性高いさかいね」
葵先輩はスナイパーライフルとハンドガンという、なんとも近距離火力に乏しい武器構成をしていた。しかし安全圏からスナイパーライフルで敵を削ってくれる頼もしい火力の1つであったのは間違いない。
そんな葵先輩を、私はこの安置外となる建物に置いていく判断をしていた。
「どうしても最後までこの建物内から圧をかけ続ける必要があるんです。葵先輩、申し訳ありません」
「気にしいひんで。筑紫ちゃんに任せるよ」
「ありがとうございます」
収縮のギリギリまで建物内に籠城し、最後は水城さんのスキルとともに混戦へと持ち込む。しかしその混戦となりそうな場所には1つ、優位となる高台が存在しており、いかにそこからの射線を切るかが勝敗を分ける要因となり得た。
葵先輩のスキルとSRでの制圧射撃があれば、その場所を抑えることができるだろう。しかし、抑え続けたが最後、葵先輩が移動できる先はなくなってしまうのだが。
「わかった!それじゃあ筑紫ちゃんのタイミングに合わせてスキルを使うね」
「はい、お願いします」
最終収縮が始まる。最後に向けて身を潜めていた他チームが、だんだんと安置に追い立てられて遮蔽から身を乗り出してくる。
まだだ。まだ早い。
葵先輩は必死に射線を通し、優位ポジションに圧をかけ続ける。
まだだ。もう少しで……
他チームのグレネードが複数入り、キルログがずらりと一気に流れた。
「今です!スキルを」
「了解!ウルトもいくよ!」
狭いエリアにおいては、水城さんのウルトは最強と言っても過言ではない。それはナーフをされた今パッチにおいても、変わらない性能だ。それに加え……私の火力スキルも飛んでいく。
「水城はん!筑紫ちゃん!後は任せたで!」
葵先輩の分のキルログが流れたと同時に、私たちは建物から飛び出す。
十二分にダメージトレードで勝っていたため、見つける敵に弾を叩き込めばすぐにダウンしていく。
「筑紫ちゃん!後ろ!」
「っ!大丈夫です!」
振り向きざまにショットガンを当て、敵をダウンさせる。そして最後に残った遮蔽にグレネードを複数投げ込めば……
「やったよ!やったぁ!」
「さすがやな筑紫ちゃん」
二人の声が耳に届く。ああそうか、私たち……
「お二人のおかげです。ナイスチャンピオン!」
初めての勝利は、格別の味だった。
❍✕△❑
[ひこうにん]VeGについて語りたい#622
90:名無しのVeG民
とうとうVeGチーム初のチャンピオンか
91:名無しのVeG民
まさかララちゃんとこと真柴内藤のとこをしのいで女将がチャンピオンとはな
92:名無しのVeG民
初心者ですが筑紫ちゃんの使ってるキャラ専になります!
93:名無しのVeG民
>>92 やめろ
94:名無しのVeG民
>>92 駄目だ
95:名無しのVeG民
>>92 he is troll. report plz
96 :名無しのVeG民
そんな言うてやるなw
97:名無しのVeG民
別にいいけどブラックリストに入れさせてな?
98:名無しのVeG民
マッチ蹴られても文句言うなよ
99:名無しのVeG民
いやぁ、女将めでてぇな
100:名無しのVeG民
あんなに声だして喜んでる女将初めて見るかも
101:名無しのVeG民
ようあんな構成でチャンピオンとるわ
102:名無しのVeG民
知ってるか?あそこのIGL、女将なんだぜ
103:名無しのVeG民
知ってるか?あそこのIGL、女将なんだぜ
104:名無しのVeG民
連投すな
105:名無しのVeG民
連投ニキワロタ
106:名無しのVeG民
いやよく見ろ、別IDだ
107:名無しのVeG民
双子ニキやったか
108:名無しのVeG民
ララちゃんとこ大丈夫かな……
109:名無しのVeG民
永遠の2番手……
110:名無しのVeG民
むしろ毎回2位だから本番の総合では順位高くなるのでおkです
111:名無しのVeG民
キルポとれてないからなぁ……悲しいことにならないか不安だわ
112:名無しのVeG民
真柴姉妹と内藤はなんであれ仲良くできてるんだ???コミュニケーションエラーばかりなのに
113:名無しのVeG民
なんでやろなぁ
114:名無しのVeG民
コミュ障の俺らにゃわからないことだらけさ
115:名無しのVeG民
い、い、いっしょにしないでもらえないか!!!
久々にファンタジー熱が来ており、ちょろっと新しい小説をあげてたりします。お暇があればご覧になってください
→辺境伯領と蒼水の祝福https://ncode.syosetu.com/n5009id/
今後もつよVの方を優先して連載していきますのでよろしくお願いします




