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異世界転生モノの主人公に転生したけどせっかくだからBルートを選んでみる。  作者: kaonohito
第20話 隣国の立太子の事情に巻き込まれる。
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Chapter-75

「ところで、あ、話は変わるんですが、ガスパル陛下」


 俺は、また別の話をガスパル国王に振った。


「む、どうかいたしましたかな、マイケル殿」

「ああ、すみません、私は、普段はアルヴィンと呼んでもらってるんです。ちょっと、事情があって」


「そうでしたか、了解しました。アルヴィン殿」


 俺は、ファーストネームで俺を呼んだガスパル国王に、俺は、ミドルネーム呼びを教えさせてもらった。


「それで、今回の立太子の儀ですが、第3王子のシグル王子が王太子になるとのことですが、それはまたどうしてですか?」


 シレジア王国の王位も原則男子優先の嫡子相続だ。

 だが、その順位は必ずしも生まれた順番とは限らない。

 それまでの王位継承権に関係なく、王の指名した王子・王女が時期国王となる。


 ガスパル国王には、4人の息子がいた。

 長男アシル、次男ブリアック、三男シグル、四男フェルナン。

 他に、次男と三男の間に長女ジネット、末子に次女アンナがいる。

 今回、立太子に選ばれたのは三男のシグル・カンテ・シエルラ王子だった。


 もっとも普通は、国王に不測の事態でもない限りは、立太子の儀はその者が18歳を越えた時に行われることになっているので、第1王子と第2王子は自分が次期国王に選ばれない事は気付いているだろう。


「その話ですか……うーむ」


 俺の問いかけに対し、ガスパル国王は、正直に答えて良いものかと考えている様子だった。

 しかし、やがて重々しく、口を開いた。


「御存知の通り我がシレジア王国は、南方のファルク王国の領土拡大の野心に晒されております」

「それは、重々承知しております」


 俺も、声を少し小さくして、答えた。


「アシルは平時の国主としては申し分ないのですが、残念ながら武の才能には恵まれませんでした。もし何かあったら……と考えると些か不安でして」

「もし何かあったら……ですか」


 俺は、ふむ、と鼻を鳴らす。

 思いついたことはあったが、敢えてこの場では口に出さないでおいた。


「ブリアック王子は?」

「あれはもっと昏い。王族の身にありながら、魔導の道を志して……──失礼」


 俺が第2王子について聞くと、ガスパル国王は、そこまで言って、一旦言葉を切った。

 俺や姉弟子が魔導師だから、それを悪く言うような事は避けたかったんだろう。


「あまり人を治める性格には向いておりませぬ。それに、魔導の才も恵まれているのかと言えば……アルヴィン殿やリリー殿にはどうしても見劣りします」


 うーん、それはどうだろう。

 師匠は歩く災害みたいなところがあるから別格として、一般的な人間からしたら、俺や姉弟子でも充分すぎるほど、戦闘魔導師として凶悪極まりないのは確かだけど。


「ただ単に、戦闘力を以て、私やリリーと比べて魔導の才がないとは限りませんが……」


 俺はぼかすように言う。

 本来、魔導師の多くは研究者肌だ。

 俺や姉弟子みたいな戦闘特化の魔導師の方が、珍しいんである。


 それより痛いのは、政治に向いていない性格という点か。


「確かに、魔導に打ち込んでいる人間を国王にするのは少し考えるところがありますね」

「そうでしょう」


 俺の言葉に、ガスパル国王は頷く。


 研究者肌の人間が、政治に疎くていいというわけでは決してない。

 だが、現在のシレジアで、国王という絶対的な権力者となると、研究に飽かせて内政の方が疎かになってしまうようでは、まずいことになる。


「三男のシグルは、その点、武の才に恵まれ、人の上に立って導いていくにも充分なカリスマもあります。国王としては申し分ないかと」


 ガスパル国王は、そう、説明してくれたのだが。


「それは──上の2人の問題を差し置いても、敢えてシグル王子を王位に就ける意味があるほどだと思いますか?」

「はい、それは間違いなく。かなりシグルには期待しております」


 ガスパル国王は、ようやく明るい笑顔を見せて、そう言った。


「父上、こちらにおられましたか」


 俺が少し考え込もうとした時、丁度、若い声がかけられてきた。


「おお、お前も来たのか」

「お前も来たのか、ではありませんよ。突然姿を消してしまったので、侍従達が探しておりましたよ」


 ガスパル国王に対し、少し困った様子で、良い諭すように、その人物は言ってきた。

 ぱっと見、武官と言った感じの人間、若いが、現世の今の俺よりは年上のようだ。


「こちらの方は?」


 武官のような感じの人間は、ガスパル国王と話していた、俺達に興味を向けたようだった。


「こちらは、アドラーシールム帝国親善訪問団の、マイケル・アルヴィン・バックエショフ子爵と、リリー・シャーロット・キャロッサ準男爵、それから、お2人の夫人と婚約者だそうだ」


「どうも」


 ガスパル国王の紹介に、俺は軽く会釈をして、そう挨拶をした。


「では、こちらがあのドラゴン・スレイヤーという……失礼、自分はシグル・カンテ・シエルラと申します」

「では、あなたが今回、立太子される第3王子というわけですか。あ、失礼しました、殿下。自分の事はどうかアルヴィンとお呼びください」


 若い武官のような青年──シグル王子が名乗った。

 俺は、別に喧嘩を売ってもしょうがないので、明るい笑顔になって、そう言った。


「はい、今回の儀式は、よろしくお願いいたします」

「いえ、こちらは、招かれた客人です。こちらこそ、参加させていただいて光栄の限りです」



 晩餐会は終宴となり、俺達は宿舎に戻ってきた。


「シグル王子は、信用できそうなお方ですね」

「王子自身はね」


 ロビーに入ったところで、ミーラは、笑顔で期待しているような感じで、声をかけてきた。

 俺は、そう言った。


 あの後、2・3、会話を交わしたが、確かに、ガスパル国王が自分の後継者として信頼をおくには、ふさわしい好青年だった。


「なにか……問題でもあるんですか?」

「うん、えーっとね……」


 ミーラが、不思議そうな顔をしながら、問い返してくる。

 俺は、その声を聞きつつ、マントの中から、いつだかミーラが使っていたのと同じ、魔法の遠隔発動体として使うクリスタルの小さな粒を取り出した。


 若干、もったいないのだが。

 俺は、それを放り投げるようにして、魔法を略詠唱で発動させる。


マナ・スタンピート(魔力暴走)


 パンッ


 クリスタルが粉々に弾けると同時に、一瞬、閃光が迸った……が、それだけだった。

 写真のフラッシュみたいな感じ。


「待て、今何をした?」


 姉弟子が問い質すように言ってくる。


「近くに魔法(マジック)アイテムがあった場合、その機能を灼きました」


 簡単に言ってしまうと、魔法アイテム特化のスタングレネード。


「まったく……人の事をどうのこうのと言っておきながら、お前自身はケイオススクリプト(魔法の呪文)の研究と再構成に余念がないよな」


 姉弟子が、そう言いながら、苦笑する。


 まぁこれで、魔法アイテムでの盗聴は不可能になった。


「カンスシオスネス・サーチ」


 気配感知の魔法を使う、これも、反応無し。

 よし、これで盗聴の心配はないな。


「さて……これから、どうするか、なんだが……」

「シレジアを全面的に信用するのは、まだ危険」


 俺が言いかけると、具体的な話をする前に、エミがそう言った。

 俺は頷く。


「え……どうしてですか、国王陛下も、立太子される王子も、好感触のようでしたが」

「そうよ、アルヴィンのこと、ドラゴン・スレイヤーだって褒めてたのも、掛け値はなかったように見えたし」


 ミーラに、続けてキャロも言う。

 確かに、それはそうなんだが。


「ガスパル王が言ってたろ、第1王子でも平時の王としては問題ないって」

「それはそうですが……」


「でもそれっておかしな話だよな、別にシレジアは今、どこかと戦争しているわけじゃないだろ?」


 ミーラに続いて、ジャックが言う。

 次の瞬間、ジャック本人を除いた、俺を含めた全員が、驚いたような顔でジャックを凝視していた。


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