カカシ君?
夕食以外宿の部屋から出ず短剣の素振りばかりしていたので矢を受け取りに行くのを忘れていた。約丸1日ぶりに外に出る。外は暗くなってきていたがまだ店を営業してることを祈って『ゼドニック武具店』に向かう。
「おじいちゃーん、まだやってるー?」
「今の時間じゃと荷物の受け渡しと修理の依頼しか受けとらんぞい―――って、なんじゃお嬢ちゃんか。今日は来ないと思おて矢は片してしもうたわい。ちょっと待っとれ」
そうおじいちゃんが言いながら奥へ引っ込み、しばらくガサゴソとあさる音が聞こえてきた。
「あったあった。これじゃ、こいつはそのまま狩りにも使えるぞい」
おじいちゃんが布に包まれた矢の束を出してきた。
「矢だけは練習用って無いのですね」
「矢と言うよりか、弓矢自体練習用は木製しかないからの。お嬢ちゃんの【毒手】に耐えれそうな弓矢は【魔王の領地】に行くしかないのぉ」
【魔王の領地】か……。【白銀】クエストはもうやる気ないんだよなぁ……。
「【魔王の領地】はともかくこれの試射できる場所ってないですか?」
「あるぞい。ギルドのカカシは金は取られるが壊れることはめったにないからの、金のあるやつはあれで練習しておる。が、お嬢ちゃんにはいいものを紹介しよう、ちょっと付いてくるのじゃ」
なんか……すっごーく怪しいんですが……。変な事されそうになったら迷わず撃とう……。
おじいちゃんについていきたどり着いたのは店の裏にある小さな広場らしき場所だった。広場の奥には布をかぶせられたものが鎮座していた。
「おじいちゃん何あれ……?」
「くっくっく、あれこそワシが生まれたころには既に存在していたカカシを調べつくして出来上がった一品、カカシ改じゃ!」
高らかに宣言しながらおじいちゃんが布をブワサァっと剥ぎとる。するとそこには首のないカカシ君に似たナニカが立っていた。
「おじいちゃん……ナニコレ……」
「カカシ改じゃ!」
「おじいちゃん……ナニコレ……」
「カカシ改じゃ!って何回聞くんじゃ!使わせんぞい!?」
「あーえっと……効果のほどを教えてください」
「これはの昨日お嬢ちゃんに渡した短剣と違って全成木製じゃ。さらに普通のカカシと違うことは頭の部位にモンスターの頭を設置するとそのモンスターと同じ量の経験値が溜まるようになっていることじゃ」
「え!?何それ!?じゃあこの頭を置くとその分だけ経験値入るの!?」
ストレージからホブゴブリンの頭を出す。
「おぉもう頭持っておったか、ホブゴブリンじゃと五ランクのカカシより経験値が手に入るぞい。ただ経験値と言ってもスキルのみじゃからな。お嬢ちゃんの手の毒が何かわかるまでくれぐれもお嬢ちゃんの手で直接触れないでほしいのう……」
材料がかなり高価じゃったし。とおじいちゃんがボソッと付け加えた。
とりあえずおじいちゃんに使い方を聞いてみたところ頭をカカシ改の上にぶっ刺したら起動?するらしいので遠慮なくホブゴブリンの頭をぶっ刺す。
うわぁ……自分でぶっ刺しておいてあれだけど、これ完全に晒し首じゃん……。
「おじいちゃん、これでいいの?」
「うむ、あとはほれ面白いことが起きるぞい」
「ん?」
首の刺さったカカシ改のほうを向いてみると変化が起きた。いきなり刺した首がしぼんだと思ったらカカシ改の体?が一気に赤く染まった。
「おじいちゃん…頭が骸骨に、いや、なんか胴体部分が真っ赤に……」
「これが【赤の森】と言われる由縁じゃな。生き物の血を吸い取り真っ赤に染まるのじゃ。さてこれでこのカカシ改はホブゴブリンと同じ経験値量になったぞい」
試してみぃ、とおじいちゃんが促すのでずっと素振りをしていた短剣でとりあえず殴ってみる前に【短剣】の今の状態を確認する。
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【短剣】Exp234/1300
スキルレベル:24
スキルポイント:23P
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短剣でカカシ改を斬る、が、柔らかいのだが一切形を変えないという不思議な感触を残しただけだった。
「これで本当にいいの?」
「確認してみぃ」
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【短剣】Exp240/1300
スキルレベル:24
スキルポイント:23P
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「本当だ……素振りより断然こっちのほうが経験値がいい……」
「じゃろ?ただこれにも欠陥があっての胴体が赤いうちしか経験値を得れないということじゃ。まぁ頭一つで三日はもつのじゃがな」
「おじいちゃんありがと!これってこのまま練習してもいいの!?」
「店は営業時間中のみに来てくれたらあとは自由にしていいぞい。頭をもってきてたのはお嬢ちゃんじゃし」
やった!これで【弓】を上げ続けれる!頭もあと2つあるし1週間ちょっとは町からでなくてもスキルのレベル上げができるな。
ぽんこつ「この人さすがにまずいのでは・・・」
????「・・・カカシ君、真似られる、・・・とは・・・」
ぽんこつ「あれ?先輩、名前がついてますよ」
????「・・・見づらいから・・・らしい」




