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VSホブゴブリン

「どうして!!!どうしてこうなったんだよぉ!!!」


 OLO正式サービス開始、オレ達は歓喜した。あぁ、やっと電脳空間で生きていけると。子供のころから憧れて、実現はまだかまだかと思いながら20年が経とうとしていた。そんな同志たち4人と一緒に始めたOLO、狩りに出かけるのはこれが最初ではなかった。サービス開始3日の間にNPC達の狩場まで進めれた。順調だった。


 ここまでは。


 たまたま同志の1人が今日はNPC達より少し奥に行ってみないかと提案してきた。これまで順調に問題なく進められて気が大きくなっていたのだろう、オレ達は誰1人として反対することなく森の深部に足を踏み入れて行った。そして出会ってしまった、ゴブリンの上位種に。ゴブリンだけなら今までも何匹でも狩ってきた、しかしそいつが上位種という別物なことに気づかなかった。


 ゴブリンは基本単独で行動するがゴブリンの上位種は集団で行動する。1匹だけ釣ろうと弓で攻撃を仕掛けたら近くにいたホブゴブリンを全部釣ってしまった。


 そこからは運の尽き、浅場で狩りしているプレイヤーやNPC達はホブゴブリンの群れなど相手にできるわけなく皆逃げていった。オレ達に残された生き残る手段は町まで逃げ切りギルドにいるオレ達より強いやつらにホブゴブリンを殲滅してもらうしかない。森の出口近くまで逃げたとき同志の1人が木の根っこに躓き派手に転んだ。それを助けようとしたのが間違えだったのかもしれない。助けているすきを突かれホブゴブリンたちに囲まれてしまった。


 OLO、()()()()()()()()()()、死にたくないと、まだオレはこの世界を楽しみたいと、藁にすがる思いで必死に叫ぶ。


「誰か助けてくれえええええええ!!!!」


 -----


 む、森に入ってから2分としないうちに現場についた気がする。


 んーゴブリンかな……?いや大きさ的に進化種だろう、それが5人の鎧とか着ているグループを囲んでいる。


 さてまずはマナーを守ろう。


「すみませーん!助けいりますー?」


「助け!?!?ほんとにか!!誰でもいい助けてくれ!!!!」


 おぉう……予想以上にピンチっぽいぞ。横狩り防止のために聞いてみたら食い気味に支援要請された。


 そして大声を出したことによってどうやら私もタゲられたようだ。


 ヤバイ、これはヤバイ―――ぞくぞくする!


 新たな獲物を発見したゴブリン達、その殺意が混じる視線。あぁいい……。しかしそこの2匹、明らかにこっちをなめているのはどうかと思うぞ。


「じゃあ今行きますー!」


 全力で一番近いゴブリンまで接近、無防備な顔面目掛けて拳を振る。


 拳がゴブリンの顔に触れたとき、肌の温かさ、筋張った肉の下にある硬い骨の感触、いろいろなものが伝わってくる。


「これ!この感触!リアルじゃめったに味わえない!」


 ゴブリンを殴り飛ばした勢いのまま包囲網の中心まで突っ走る。


「呼ばれたのできました!臨時PTよろしくお願いします!」


「あ……あぁ、よろしく。だけど君装備はどうしたんだ?」


「あー、えーっと」


 チュートリアル終わってすぐだったから忘れてたけど初期装備って布の服だったなそういえば……。


「叫び声が聞こえたのでそのまま来ちゃいました」テヘッ


 茶目っ気たっぷりにそう伝えると男の人は呆然と口をパクパクさせて「終わりだ……」なんてつぶやいていた。


 さてそんな様子も面白いけど、まずは包囲されてるのを抜け出しますか。


「お兄さんたちまずは森の出口のやつらどうにかするから走れる?」


「オレ達はもう大丈夫だが君はどうするんだい……?」


 決まっている。決まっているじゃないか。ここに来た理由は。


「全員ぶっ殺す!それじゃミッションスタート!」


「ま、待ってくれ!」


 待ちません。森の出口方面には3匹のゴブリン。


「お兄さん剣借りるよっと」


 落ちていた剣を拾い、一番近いゴブリンに肉薄する。さすがに二度目の突進という事で反応されたがお構いなしに剣を突き出す、ゴブリンの太ももに向かって。二度も顔面狙うはずないだろってんだ。突き出した剣は上手く骨を外れ弾力のある肉を引き裂く独特の感触と共に太ももを貫き地面に固定する。


 1匹無力化、次。


 ここに来る途中適当に拾った木の枝にスルクの箱の毒を塗りたくった代物をゴブリンの目にぶっ刺す。堪らず目を抑えるゴブリンだがそんなことをしても無駄だ。体験して分かっているがスルクの箱の毒はこすったりしたら余計ひどくなるだけだ。効果時間は約1分程度。


 最後の1匹は腰に差していた木刀を抜き全力で振るう。とっさに腕でガードしたゴブリンだが勢いに乗った私の全体重がかけられた木刀は完全に無力化できなかったようでボキっと鈍い音と共に横に吹き飛ぶ。


「走れ!」


「っ!お前も生き残れよ!!」


 5人組のやつらは1人を担ぎながら森の出口に走り出した。5人組を追いかけようとしたゴブリン達は木刀で牽制する。


「さて、ゴブリンども」


 確認しているゴブリンの数は11匹、そのうち3匹はさっき一時戦線離脱残り8匹。


「確認するけど言葉通じる?」


『ギィァァァッァァァァ』


 なるべく優しく問いかけたがゴブリン達はそれを挑発と思ったのか一斉に襲い掛かってきた。


「言葉は通じないかぁ……」


 先頭を走るゴブリンの口に木刀をねじ込む、そのまま振り抜こうとしたが予想以上の重さだったので即座に木刀を破棄。落ちている弓を拾い末弦の部分で2匹目をぶん殴り弓の端を壊す。棒と弦のみになった弓をふるい3匹目の腕に弦を巻き付け引き寄せ、体勢を崩したところで耳を握り人中に膝を刺す。これ以上深入りはせず木刀を口から引きずり出しながら下がる。


「絶命一、眩暈一、気絶一か。落ちている武器は杖一、刺さってる剣も合わせて三、絡まった弓一」


 無事に残ってる相手戦力5、復帰が2かな?


「じゃあ、まずは!」


 木刀で太ももに刺さった剣を抜こうとしているゴブリンの喉をつく、ひっくり返ったところを走っている勢いのまま剣を引き抜く。スルクの箱で毒属性を付加、ひっくり返ったところを復帰したところで頸椎に当たらないくらいで剣を横なぎにふるう。そのままゴブリンの群れに突っ込もうとしたところでゴブリン達が反転、逃げ去っていった。


「えー……。楽しいのこれからじゃん!何で逃げるの!私一人、貴方たちまだ7!」


 とりあえず眩暈から復帰しようとしているゴブリンの腹を剣で切り裂き気絶している奴は首を刎ねる。目にスルクの箱の毒を入れたやつは完全に戦意喪失しているで無視。殺した3匹の首を刎ね、ストレージに入れてみる。


「おー、入った入った」


 アイテム名『ホブゴブリンの頭』……ってゴブリンじゃなかったのか!進化種も進化種で上位進化してたのか……これは逃げてくれてよかったな……。


「……で、さっきから私のことをジーっと見てる君はどうしたいの?」


 ゴブリン、もといホブゴブリンに話しかけてみる。


『ギィ……』


「どうしたものか……無抵抗だから殺す気にもならないし……町に連れて行ったら問題になるだろうし…」


 そういえば、『というか、ぶっちゃけ生きているんです、この世界の人間も、あなた方プレイヤーも』か。


「ほら」


『……ギィ?』


 スルクの箱の毒を塗った剣を1本ホブゴブリンの前に突き刺す。


「こっちの言葉が通じてるか知らないけど、人を襲うな、モンスターだけ狩って進化してもう一度私の前に来い。そうしたらどうにかしてやる」


 するとホブゴブリンは『…ギィ!』と鳴き、剣をとり、森の奥に入っていった。


「人間じゃないけど生きてるんかね、あいつも」


 さてと、町に行きますか。




「・・・素人、骨切り・・・無理なの、解ってる」

ぽんこつ「あのぉ・・・この物語ってほのぼのなんですよね・・・?」

「・・・ほのぼの虐殺MMO物、かな・・・?この子、戦ってるとき・・・いい笑顔だっ、た」

ぽんこつ「わ、ワァ、モウアイタクナイ」


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