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<47>

 さてと、様子見はこのくらいで良いわよね。

 私たちのことを忘れられなく成るくらいの花火を始めるわ。


「リリ。1番大きな魔法をお願い。すべての魔力をそそいでくれるかしら?」


「えっと……? 全部、ですか??」


「えぇ、一撃で決めようと思うの」


 私の指示が意外だったのか、目を大きく開いたリリが不思議そうな表情を浮かべて崩れかけの城を見詰めた。


 そして何かを考えるように空を見上げた彼女が、ゆっくりと目を閉じる。


「わかりました。頑張ります!」


「お願いね。あなたの素晴らしさを見せ付けてあげなさい」


 口元に無邪気な笑みを浮かべた彼女がいつものように杖を握って、大きく息を吸い込んだ。

 トントンって杖の先で地面をたたき、肩で大きく息をする。


「水の女神よ……」


 彼女の足下に巨大な魔方陣が描かれて、膨大な魔力が小さな体からあふれ出した。


「え?」「おぃ、あれ……」


 周囲の貴族たちが目を見開いて驚きの声を漏らすけど、王子たちは気が付いていないみたい。


 弟の方は城から放たれる矢を防ぐのに必死で、兄は乱戦の真ん中で剣を振るっている。


「<雷鳴>」


 兄の声が戦場に響いて、握る剣が雷を帯びる。


 鍔迫り合いになっていたクリナの騎士が、全身をしびれさせて、光の粒になって消えていった。


 この会場には大規模な魔法がかけられていて、戦闘不能と判断された者はああやって城にある治療室行きなの。


 やっぱり数の有利にはあらがえないのか、城の優位性を失ったクリナ軍は不利みたい。

 必死の抵抗で兄弟軍に脱落者を強いているのだけど、クリナ軍の方がその何倍もの騎士を失っているわね。


 そうして両軍が入り乱れての戦いを眺めていた私の耳に、リリの優しい声が聞こえて来る。


「出来ました。いつでも撃てます」


 自信にあふれた表情を浮かべる彼女の足下には、すっごく大きな魔方陣が強い光を放っていた。


 見ているだけでそこに込められた魔力量が伝わってきて、周囲の観客からも息をのむ音が聞こえてくる。


「さすがは私のリリね。盛大な横槍をいれてちょうだい」


「わかりました! えーーーい!!」


 私の要請を受けたリリが、ペコリとお辞儀をするように杖を振る。


 そんな可愛らしい動きに合わせて魔方陣にたまった魔力が動き出して、透明な雲のように空を包んだ。


 だけど、それも一瞬だけのこと。


 1つにまとまっていた魔力が小さく分かれながらクリナの城目掛けて飛んでいく。


 数え切れないほどの青い小さな玉になって、城に迫っていた。


「なんだ……?」


「玉??」


 戦闘中にもかかわらず、周囲の異常を認識した両軍が攻撃の手を止める。


「魔法使い! レオを中心に防御を――」


 なんて第2王子が叫んでいるけど、ちょっとだけ遅かったみたい。


 壊れかけた城を中心に無数の青い玉が広がっていって、戦闘中だった彼ら取り囲みながらドーム状に並んだ。


 次いで放たれるのは、滝を圧縮したような爆発。


 玉の1つ1つから水が勢いよく放たれて、中央へと吹き付けた。


「うわぁっ!!」

「ぐほっ……」


 第3王子の盾が前面を覆ったものの、上や後ろからの攻撃は対応出来なかったみたい。


 リリの攻撃を防ぎきれずに、第3王子とその側近たちが姿を消した。


「ちっ!!」


 第2王子の方は、雷を周囲にまとわせて防いだみたいなんだけど、その程度ではじっくり練り込んだリリの魔法には勝てるはずもない。


 徐々に浸食される雷の盾を見詰めてため息を吐いた第2王子が、悔しそうな表情を浮かべながら水の矢に貫かれて消えていった。


 周囲に居た騎士たちも、盾に穴があき、防具に穴があいて光の粒に変わっていく。


「クリナ様……」


 中にいた者にとっては悪夢のような水攻めが続いて、崩れかけの城にも無数の穴があいていく。


 門が消えて、屋根が消えて、身を隠していた騎士たちも消える。


 魔法が終わった頃には、核となった小さな部屋を残してすべての物が消え去っていた。


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