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 ダンジョンを攻略したことで平民からの支持は確実に増加して、その声が貴族たちの耳にも入ったみたい。

 だけど、投票数につなげるには時間が全然足りないから、王子たちの作戦通りね……。


 そんな私たちに残された道は、投票前に行われる御前試合で良い成績を収めること。


 投票に参加する貴族は全員が見る事になるし、強い王は良いアピールになるのよ。


 御前試合に参加出来るのは、王族と護衛20人。

 前回までは私とマッシュ1体だけでの参加だったからどう頑張っても無理だったんだけど、マリーにリリ、ジニ、沢山のマッシュたちが居れば、勝利も不可能じゃないわよね。


「みんな。悪いんだけど力をかしてくれるかしら?」


「承知致しました」「はい!」

「全力を尽くそう」「「「キュ!!」」」


 私の声にみんなが優しげな笑みを見せてくれた。


 うん。やっぱり、このままみんなと一緒にいたいわよね。

 それに私が王族として力を付ければ、みんなを幸せに出来る。


「よし! それじゃぁ今日から当日までは生活の拠点を森の中に移すわ。全力で頑張るわよ!」


 ちょっと暑苦しいかしら? なんて思いながらこぶしを掲げたら、みんなもまねをして掲げてくれた。


 ってことで秘密の扉へ、……行こうとしたんだけど、


「ん? どうしたの??」


 トテトテと走ってきたマッシュが、突然私の前に転がっていた魔石を指先で突っつきはじめた。


「きゅ!」

「ん……?」


 私の顔を見上げてコテリと首をかしげたマッシュが、もう一度魔石に目を落として突っつく。


 その姿は初めて増えた時々同じで……、




「…………食べるの?」



 魔石を? 石だよ!?


 なんて思ったんだけど、



「キュッ!!」



 うれしそうに瞳を光らせて、マッシュがうなずいてくれた。


 やっばり、あってたみたい。


「えっと…………、おなか、壊しちゃダメよ?」


「キュ!!」


 色々悩みながら許可を出したんだけど、軽く手を上げたマッシュが魔石を両手で持ち上げて、パクン、って食べちゃった……。


 もぐもぐもぐもぐ……。


「大丈夫……? ぺってする??」


 なんて聞いてみたんだけど、ぷるぷるって首が横に振られる。


 ガリガリごりごり。


「すごい音がしてますね……」


「…………」


 すっごく不思議な光景で、みんな苦笑いを浮かべていた。

 そんな私たちを尻目にマッシュがゴクリと魔石を飲み込む。


――魔物を食べた時とは違う、ピンク色の光がマッシュの体を包んだ。




「これは……??」


 マッシュの体が少しだけ小さくなって、背中に大きな羽が生える。


「きゅきゅ!」


 ふわりと舞い上がったマッシュが、気持ちよさそうに両手を広げて羽ばたいてみせた。


 大きな魔力を得た者が一瞬にして姿を変える。それって……。


「進化、したの……??」


「キュ!」


 私のつぶやきに応えてくれたのか、マッシュが私の周囲を飛び回って楽しそうな鳴き声を上げてくれる。


「進化、ですか?」


「えぇ、ほかに考えられないじゃない? マッシュも同意してくれたしね」


 進化って、ダンジョン内の魔物が一瞬にして姿を変える現象なんだけど、すごく珍しい現象らしいのよね。


 召喚獣が進化した、なんて話は聞いたことないけどね。


「にわかには信じられませんが、マッシュ様なら不思議では無いですね」


「えぇ、私のマッシュですもの」


 うん、マッシュに一般常識を当てはめたらダメなのよ。


 口元に苦笑を浮かべるマリーに対して、私も肩をすくめて笑って見せた。


 そんな私たちの隙間を縫うようにマッシュがゆっくりと飛び回る。

 何かを探るようなその動きに首をかしげていると、ポスン、ってマリーの腕の中に飛んでいった。


「きゅ~」


 マリーに抱きかかえられたマッシュが、懇願するような声と共に彼女の腕をさする。


 それは魔力を欲しがるときの仕草……。


「姫様、マッシュ様に私の魔力を差し上げても?」


「……えぇ、そうね。危なそうならすぐにやめるのよ?」


「かしこまりました」


 マリーの手の平に魔力が集まっていって、フワリとマッシュの体に降り注ぐ。


 そのすべてがマッシュの小さな手の中に吸い込まれていって、淡いピンク色の玉が出来はじめた。


 時間と共に玉が大きくなり、光が漏れ始める。


――そんな時、


「……え? 私の魔力が……??」


 マリーの手からあふれ出していた魔力が、不意に途切れた。


 ゼロになって気絶するまで止まらないはずなのに、マリーの意識は保たれたまま。

 状況が飲み込めない私たちを尻目に、大きく翼を広げたマッシュが宙返りをしながら舞い上がる。


 マッシュの手からピンクの玉が離れて、優しい光が降りてくる。


 マリーにリリ、ジニ、そばに控えていたマッシュたちまで。

 その場に居たみんなの体が、いつの間にか淡い光に包まれた。


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