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 休憩所の建設を始めて早くも3日が過ぎたんだけど。


 その日も早朝から森に来た私たちを素敵な風景が迎えてくれた。


「……もしかして完成かしら?」


「信じがたいですが、そのようですね」


「「「きゅ」」」


 大きく切り開かれた森の中に現れる1軒のお家。


 外観は避暑地のコテージって感じで、木の良さをそのまま生かした作りね。


 いい感じで周囲の木々に溶け込んでいるわ。


「素敵ね。なんだか、クマさんとか妖精さんとかが住んでいそうじゃないかしら?」


 そう思うけど、少女の夢を追い求めた結果だけじゃないのよ。


 私なりに表現をするなら、メルヘンと調和を併せ持った、って感じかしら?


 そんな素敵なお家の前には、数え切れないほどのマッシュたちがいて、誇らしげに胸を張って並んでいた。


 建設中に姿を見せたスライムを倒して増えた子や、定期の見回りで増えた子などなど。


 横が6で縦が4の列だから、総勢24体ね……。

 

 増えすぎたかしら?


 なんて思わなくもないけど、そのことには目をつむって彼らにご褒美の魔力を振り分ける。


「素敵な休憩所ね。良くやったわ」


「「「きゅっ!」」」


 淡く降り注ぐ私の魔力を浴びて、マッシュたちがうれしそうに体を震わせてくれた。


 なんともかわいらしい彼らから視線を外して、もう1度、彼らの背後に目を向ける。


「マリー、建設作業ってこんなに早く終わるものなのかしら?」


「いえ、通常の業者ですと、どれほど早くても最低1ヶ月は必要になりますね」


「やっぱりそうよね……」


 手先が器用で、人間よりも力持ち。8時間働き続けても苦に思わない。


 そんな彼らが3交代で24時間ずっと作り続けてくれたのだから、当然の結果なのかもしれないけど、なんだか不思議な感情が湧き上がってくる。


(この子たちを従業員に私が建設業を始めたら、世界一の親方になれるかもしれないわね!! ……まぁ、しないけど)


 もし私がそんなことを始めたら、貴族から妨害されてすぐに倒産しちゃうわ。


 やっぱり、趣味程度に冒険者をしているのが良いのかしら?


 あっ、でも、隣国に逃げて、大工で食いつなぐのもありかもしれないわね。


 この調子でマッシュに増えてもらって、隣国まで穴掘りで密入国かしら?


 なんてことをぼんやりと脳内に思い浮かべていると、列の中央にいた1体のマッシュがトコトコと駆け寄って来て、私の手を引いてくれた。


「どうしたの??」


「きゅ!」


 余った手を建てたばかりの休憩室に向けて、もう1度私の方を見上げてくれる。


 列の最奥に居た子がパタパタと駆けていってドアノブに飛びかかり、プラリとぶら下がりながら玄関らしき場所を開けてくれた。


「そうね、中も見せてもらおうかしら」


「きゅっ!」


 マリーもリリも、いつの間にか案内役の子に手を引かれていたみたい。


 ドアを通り抜けて最初に感じたのは、濃厚な木の香り。


 艶のある床と丸太を積み重ねたような壁が、私たちを出迎えてくれた。


「素敵ですね。かまどもありますよ?」


 中央には6人掛けの食卓があって、台所に暖炉、2階に上がれる階段も見える。


 光源は用意出来なかったのか、薄暗くはあるのだけど、このまま住んでしまっても良いくらいね。


 2階はただ広いだけの何もない空間だったんだけど、それはそれで良いものね。


「休憩所じゃなくてトレーニングルームにしてしまいましょうか」


「そうですね。専門器具は難しいかも知れませんが、スライムの床くらいなら可能だと思います」


「決まりね。それじゃぁ、何人かでスライムを狩ってきてくれるかしら? 必要なのは2匹くらいね。他は食べちゃっていいわ」


「「「きゅー!」」」


 傘からナイフを取り出して元気に返事をした2体のマッシュを中心に、合計12体が外に出て行った。


 はめ込み式の窓をあけて、家の二階から森の中に消えていくマッシュたちに手を振る。


 上空から差し込む優しい光がなんとも心地良い気持ちにさせてくれた。


「マッシュも増えたし、ナイフも2本だけじゃ心もとないわよね」


 ここ数日でマッシュたちが拾ってきてくれた薬草は全部で20本。青いリンゴも10個あるのよ。


 全員のナイフを準備、なんてことは出来ないけど、そこそこの数なら購入してもいいんじゃないかしら?


「リリも着実に成長していることだし、午後からは街の方に行きましょうか。お昼は屋台の食べ歩きね」


「かしこまりました。庶民用の衣装を用意しておきます」


「ええ、お願い」


 そういうことになったの。


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