第四話 戦闘
ラブコメかな?かな?
―第四話―
戦闘。
数日後
「待ちくたびれたわぁー!!」
艦長なのに、はしゃぎだしたリオ。
「あ、リオ! いきなり走ったら危ないだろ!」
「うぐへぇ!」
「ほら、言わんこっちゃない。派手に転んで…」
「痛て… わざわざ持ってきてくれてありがとうね、ライアン、イザベラ。」
「あぁ、楽しみにしてただろ? それにリリーとリヴァーも運ぶ必要があったからな。」
納品が終わり満足気なライアンと、
「ふふふ、我らに感謝すると良い。」
中二病キャラをまだ続けるイザベラ
「じゃ、またなー。」
「そそくさと帰っちゃって。」
「詮索されたくないのだろう、二人の仲を。」
「誰から見てもラブラブオーラ出てるのに…」
すぐさま退散した二人をいじれなくて残念とでも言いたそうなリオ。
機体を前にマリアが、
「リリー五機に、リヴァーも五機か… 一部隊が組めるな。」
リオが提案する、
「そうね、ソフィア、リリーに乗ってみる?」
「はい! ありがとうございます。」
「あとは、誰にしようかしらね…」
エリカが飛び込んでくる。
「リオさん! ルナズ・タイタンから救難信号です!」
「わかったわ。総員、戦闘配備! パイロットは出撃準備!」
モニターに映し出されたオルフェスは、先日よりも情けない様子で、
「リ、リオ殿! お、お助けください! 我々ルナズ・タイタンは全滅の危機です!」
「一体何があったんですか?」
「ネオ・アソシエイトの強襲を受け、我が隊は総崩れ。第三防衛ラインまで攻め込まれております!」
ここでリオの意地悪。
「よろしいのですか? 私たちのようなじゃじゃ馬が、あなた方エリートの縄張りにお邪魔して。」
「そんなことおっしゃらずに! お願いします!」
「わかりました。すぐそちらに向かいます。それまでなんとか耐えてください。」
「ありがとうございます! 助かります!!」
通信が切れる。
「それにしても、何故私たちに救援を?」
「どうせあいつらのことよ、無駄に高いプライドが邪魔をして、私たちにしか頼れなくなったのよ。」
「私が行こう。」
「私も行くわ。」
「お前はキャプテンなんだぞ? って、何を言っても聞かないか…」
前線に出ようとする艦長。前代未聞である。
「みんな! 今から、ドライ・オデッセウスはルナズ・タイタンの救援に向かいます。あいつらはエリート気取りの烏合の衆。だから、基本的には私たちの単独での戦いと思ってもいいでしょう。それでも彼らは同じ連合の仲間。彼らを助けて、私たちも誰一人欠けることなく帰ってきましょう。」
「まずはこの艦で大気圏を突破して、月に向かう。それから戦闘だ。気を抜くなよ?」
指示を出したあと、どこかへ行こうとするリオとマリア。
「リオさん、マリアさん、どちらへ?」
「私たちも出撃するわ。エリカ! この艦のことは一時的にあなたに任せるから。サポートお願いね!」
「え? あ、はい!!」
いきなり代理艦長に任命され驚くエリカ。
「リリー部隊はリオに、リヴァー部隊は私に続け!!」
「さて、お披露目にはちょうどいいかしら?」
「そうだな。よし、行くぞ!」
「リオ・グランデ、リベルタ・ヴィクトリア、」
「マリア・レーヴィ、ヴァルキリー・ディーヴァ、」
「「出る(ぞ)!!」」
『白姫』と『騎士戦姫』が再び戦場を舞う。
「オルフェス隊長! お待たせしました。って、逃げるのに精いっぱいか… 各個展開!! ひとまず敵部隊の撃退よ!」
彼女たちの到着を見た、ルナズ・タイタンは、
「おぉ、援軍だ!」
「見ろよ、あれは『白姫』と『騎士戦姫』だ!」
「『ヴァステト』だな!」
「俺たちも生き残るために戦うぞ!!」
現れた希望に生きる気力を取り戻す、ルナズ・タイタンの兵士たち。
「私たちも厄介な二つ名つけられたものね…」
「『ヴァステト』も今はやってないのにな。」
『ヴァステト』とは、軍広報のために二人が組まされたアイドルもどきである。マリアはかなりノリノリだったが、
通信が入る。
「それくらいお二人はすごい人ってことですよ!」
「茶化すな、エリカ。リオが調子に乗る。」
「調子になんか乗りませんー。二手に分かれるわ!」
「我々はこっちだ。」
リオたちの到着により、劣勢だったルナズ・タイタンは勢いを盛り返し、ネオ・アソシエイトを徐々にではあるが、後退させていった。
「ネオ・アソシエイトめ… 絶対に許さない。私が一人残らず消してやる!」
リリー部隊からソフィアが単独行動をしてしまう。
「ソフィア!? 今回の任務は殲滅ではなく、撃退よ。深追いはしないで!」
リオの静止も聞かずに行ってしまう。
「きゃあああ!」
「ソフィア!? 何があったの? 応答しなさい!」
「リオ、今の声はソフィアか?」
「えぇ、とにかく何かあったのは確実だわ。敵兵の撃退と同時に、ソフィアの捜索をするわ。」
窮地に陥るソフィア。
「ぐっ! 隠れて待ち伏せ?」
「連合の新型か? 大した腕もなさそうだから、ここで落ちてもらうぜ。」
敵の一人が勝ちを確信した様子で迫る。
「1対3? 卑怯者…」
「はっ、戦争に卑怯もくそもあるか! やれ!!」
「捌ききれない… ほんとにこのままじゃ…」
「落ちろ!!」
「きゃっ! こんなところで…」
落下していくリリー。
「脱出を…」
すんでのところで脱出したソフィア。リリーは墜落してしまった。敵兵はリリーの撃墜を確認すると、撤退していく。
「くそぉ… 通信は? ダメだ、繋がらない。近くに基地があるみたいね、行ってみましょうか。」
基地にたどり着いたソフィアが見たのは、連合軍兵士の死体とGAの残骸だった。
「ひどい… ここまでしなくても…」
ソフィアは片隅で震えてるように隠れている人物を発見した。
「ねぇ。」
「ひっ、やめて! 殺さないで!!」
声を掛けられた小柄な人物は震えあがる。
「大丈夫よ、私はドライ・オデッセウス所属のソフィア・オーガスト。あなたの味方よ。」
「こ、これは失礼しました! 僕はルナズ・タイタン所属、クリス・ダイルハートです。」
「この基地の中であなた以外に生存者は?」
「わかりません。なすすべもなく、ただ攻撃を…」
「そう、でも安心して。」
「は、はい。あの、ソフィアさんひとりだけですか…?」
「あ、そのことなんだけど。実は私も攻撃を受けて、乗ってた機体を落とされちゃって…」
「そうですか… あぁ、そうだ!」
「?」
「こちらへ! うわっ!!」
「また敵襲? この基地はもうやられてるのに…」
「急いでください! やっぱり奴らは気付いているんだ!」
「なんのこと? 説明してよ!」
「この基地には、ルナズ・タイタンが独自に開発したGAがあります。奴らの狙いはそれです!」
「独自に開発!?」
「これです。」
二人がたどり着いた場所には、
「GAアマテラス。この機体をソフィアさん、あなたに託します。」
「ちょっと! いきなりすぎてついていけないわ。」
「今この基地にいるのは、あなたと僕だけです! 僕はこのアマテラスの設計に携わってきました。その時から思っていたんです、この基地、いや、ルナズ・タイタンにこの機体を乗りこなせる人間などいない! お願いします…」
「…わかったわ。」
「では早速! この窮地をしのいでください!」
「あんたって気弱そうだけど、意外と強引よね。」
アマテラスに乗り込む二人。
「ソフィア・オーガスト、アマテラス、行きます!!」