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新選組の世界

愛を欲しがる人

作者: 佐伯瑠璃

なんとなくR15指定した方がいいような気がしまして・・・

無駄に色気が多いイメージです。

原田左之助

はぁ、この名前を想うと切なくなる。

勇気を出して告白しようと思った。

当たって砕けてもいいと思ってのに・・・砕ける前に、木端微塵こっぱみじんだ。


「どうした?元気がないな」

「斎藤さん、そう見えますか?」

「ああ、誰が見ても分かると思うが」

「ですかぁ。はぁ。」


もう皆には分かりやすいと笑われたけど、斎藤さんだけは真面目に心配してくれている。


「斎藤さん、恋煩いですよ」

「原田か?」

「な、な、な、なぁぁ!!!」

「あんたは分かり易いからな、で、何をそんなに煩っている」

「彼には彼女がいたんですよ。すごーく可愛い」

「原田に彼女?・・・それは恐らく」


土方さんの妹だと言った時にはいなかった。

まったく最後まで話を聞かんやつだ。

俺はさっきの事を、原田に簡潔にメールをした。

あとは本人たちに任せる。


斎藤からメールか、珍しいな。

っ、バカかっ、佳奈は昔っから早とちりだな。さてどうすっか。

放っていたら、俺の事なんてどうでもいい存在になりかねないぞ。

早とちりな上に、諦めも早えときた。

今日は金曜日か、あいつのマンションで待ち伏せするか?


「佳奈ちゃん、今から飲みに行かない?」

「ごめん、今日は体調いまいちなんで遠慮します」

「そう?大丈夫?じゃあまたね。お疲れ様」

「お疲れ様です」


先輩のお誘いを断ったのは、一人で家飲みして恋煩いとサヨナラしたかったからだ。

誰にも慰められたくなかったから。原田さんの事忘れられるかなぁ。


コンビニでしこたまお酒を買った。

飲んだことのない種類にも挑戦してやる!

マンションのエントランスで鍵を探していると、誰かが入ってきた。

その人と一緒に入ればいいか、と鍵を探すのを止めて脇に避けた。


「・・・」

「開けないのか?」


聞いたことのある声がして、顔をガバッ上げると其処には


「えっ!は、原田さん!?どうしたんですか!」

「どうしたんですかって、佳奈を待ってたんだけどな」

「へっ?」


原田さんは慣れた手つきで私の荷物を持って、顎で開けろと催促してくる。

何が何だかわからないまま開錠した。

そして、私の部屋へ。


「上がっていいか?」

「え!それは構いませんけど、イイんですか?」

「何が」

「いや、彼女とかいるのに他の女の人のところとか」


聞こえるか聞こえないか分からないくらい、小さな声でたしなめてみる。

それはもちろん自分にも宛てて。


「その事なんだが」

「・・・」

「おまえ、相変わらず未確認な情報を鵜呑みにしちまうんだな。俺が彼女いるっていつ言った?誰か俺に彼女がいるって言ったか?」

「言ってないけど、見ましたから!」

「それは確かに彼女なのか?」

「え、なんですかそれ?意味が分からないんですけどっ!」


自分が責られてるような気がしてきて、だんだん腹が立ってきた。

怒りが悲しみに変わり、


「言ってる意味が分からないっ・・・うっ」


泣いてしまった。


「すまん、佳奈を責てる訳じゃねえんだ」


原田さんは突然、私を抱きしめた。

なんで?混乱する頭で逃げようと足掻くけれど、どんどん腕に力が込められて見動きが取れなくなってしまった。 

や・ば・い・・・


「佳奈、聞いてくれるか?佳奈が見た女はたぶん土方さんの妹だ。土方さんに頼まれて家まで送ったんだ。信じてもらえねえか?」

「なんで原田さんが、そんな言いわけを私にするんですかっ。」

「じゃあ佳奈はなんで、イライラしているんだ?」

「っ、そ、それは!!秘密です!もう放して下さい!」

「そいつは、聞けねえな」

「なっ、んでっすと?」


もがきまくって、なんとか原田さんの顔を見上げ、精一杯睨みつけた。

原田さんは眉をハの字に下げて、すごく困った顔をしていた。

な・の・に!なのに、原田さんの顔がどんどん近づいてくる!

な、な、なに?


「佳奈が好きなんだよ。惚れてんだよ」


そして、キスされた。キス!された!!(2回確認)


惚れてるって、原田さんが私の事を好きだと?


「なあ、キスされてる時は目瞑れよ」

「ご、ごめん、なさい。と言うか、ちょっと・・・これっ」


腕ががっちりロックされていて動きません。


「なあ、俺の気持ち伝わってるか?」

「えーっと、まだ少し混乱してて。本当ですか?」

「ああ、じゃなきゃ。いつ帰ってくるか分からねえのにマンションの前で待ってたりしねえだろ」

「・・・(そんな甘い声で言わないでくださいっ)」


でも、だったら、もうこの機を逃してはいけないんじゃないか。

ちょっと態勢はあれですけど、言ってしまえぇ。


「原田さん!私、原田さんのことが好きなんです。すごく、すごく、好きなんです。だからっ」

「佳奈」


もう一度、キスをくれた(最後まで言わせてぇぇ)

こ、これは私には手に負えない! 先天性の女たらしだ

ガクッ、膝が折れちゃった・・・


「おっと。わりい、刺激が強すぎたか?」


なんて、にっこり笑うと私を抱きとめてコンビニ袋と一緒にリビングへ運んでくれた。

ソファーにお姫様だっこ状態で座っている。これはかなり恥ずかしいよ。


「原田さん、慣れてますよね」

「なんだよ」

「たくさんの女性を泣かせたんでしょ!」

「おいおい、心外だな。確かに何人かとは付き合ったが、俺からどうこうしてえと思ってのは佳奈だけなんだよ。説得力ねえか・・・」


あ、落ち込んでる。こんなに大きな人が小さくなった。

なんだろう、胸がぎゅーって締め付けられたような感覚になる。

この人は優し過ぎるし、その落ち込み具合は反則です。


「仕方がないから信じてあげます。でも、約束です。私が原田さんの最後の彼女ですよ?泣かせるのも私だけですよ?幸せにするのも私だけです。」


なんとも臭い台詞セリフを、しかも最後のだなんて勢いで大胆な事を言ってしまったじゃないか。


「言ってくれるじゃねえか。約束する、佳奈だけだ」

「はい、私も原田さんが最後の彼氏です」

「じゃあ、そんな彼女の佳奈に頼みがあるんだけどよ」

「なんでしょう?」

「その、原田さんはやめようぜ。」

「そっか。左之助さんって呼んでもいいですか?左之助って名前男らしくてすごく恰好いいから」

「ありがとよ。顔真っ赤だけど大丈夫かよ?それからもう一つ」

「はい」

「腹減った!」

「ふふっ、なんか適当に冷蔵庫漁って作ります。あの袋の中、全部お酒なんで」

「はぁ!なんであんなに買ったんだよ?」

「そりゃ、ヤケ酒ですよ。左之助さん忘れるための」

「危ねえ、やっぱり急いで来てよかったぜ。」


そして、2人で初めて夕飯を食べた。

まずはビールで乾杯!

なんか普通に2人で夕飯とってるのが不思議。

なんで、いつ、私のどこに惚れたのだろうか・・・


はぁ、嬉しすぎて2缶しか飲んでないのに酔った。


「佳奈、お前酔ってねえか?あんまり強くねえだろ」

「まあ、強くはないですけど普通はもっと飲めるんですよ?けど、今日は確かに酔が早いかもです。」

「俺、片付けてやるからシャワー浴びてきていいぜ」

「えっ、いいですよ。大丈夫ですよ?」

「じゃあ一緒にするか」

「は、い」


一緒にするかって、なぜが激しく照れてしまった。

そういう事さらり言える男の人なかなか居ないと思います。


「・・・」

「ん?どうした、黙り込んで」

「へっ、あ。いやぁ、その今更なんですど・・・」


佳奈の声がだんだん小さくなる。耳を近づけて、聞くと


「恥ずかしくって、今更だけど緊張しちゃったりして?えへへ。おかしいですねっ」


バシッと背中を叩かれた。

おいおい、早くも俺の理性はガタガタ音を立てて揺いじまってる。


「あんま、可愛いこと言ってると喰っちまうぞ?」

「っ!!」


そう言って、私を引き寄せ抱きしめた。

左之助さんの胸の音が聞こえる。

トクトクトクトク、少し早い。左之助さんもドキドキしてくれているんだ!


「左之助さん、胸の音が・・・早い」

「ああ、佳奈と想いが通じたって思うとそれでけで心臓が煩え。それに、さっきの佳奈の顔は反則だ」

「えっ?」


左之助さんの目が細められ、その顔は酷く優しい。

反則なのは、左之助さんの方だよ。


優しいキスがたくさん降ってくる。

私の気持ちを確かめるように。

幸せで、死んでしまうかもしれない、本気でそう思った。

本当にとんでもない人が彼氏になりました。


恰好よくて、優しくて、たくましくて、無駄に色気が多いけれど

誰よりも愛を欲しがる人。




おしまい

妄想にお付き合い頂きありがとうございました。

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