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オフライン 1

 マーヤがチーム員になって数時間が経った。

 1次転職に着いて来てと言っていたが、実際はまだ盾職か攻撃職かを決め兼ねているようで、だったら先にレオナの新しい盾を見に行こうと言う事で個人商店の並ぶ首都に来ている。

 強化インスタントダンジョンボスを1人で防ぎ切れなかったのが相当悔しかったらしい。

 「やっぱり盾職を選ぶならテンプルナイトよりもフェニックスナイトですか?」

 うんうん、勉強熱心なのは関心なんだけどね、なんで私に聞くのさ。隣には現フェニックスナイトのレオナがいるでしょ。私は攻撃職の事しかあまり詳しく知らないからね?魔法職の事聞かれても特に何も答えられないんだからね!

 「なに?タンカーになりたいんだ?」

 やっぱり自分の専門職の話題は耳に入って来るんだな、盾を物色しながらレオナが話に入ってきた。

 しかしながら、ちょっとタイミングは悪かったのかも知れない。防具なんか拾いモンで充分。とか言ってる本人がこうして強化済みの高級盾を買いに来てる時点で機嫌が悪い証拠だ。

 本当に1人で防げなかったのが悔しかったんだなぁ。

 「アサシンの防御力が低いって聞いて・・・私が盾になればパーティーに誘ってもらえるんじゃないかって・・・けど、テンプルナイトだと回復魔法も使えるようになるんですよね?」

 アサシンって、私限定ですか!?そりゃぁ攻撃職の中でもグンを抜いて防御は弱いよ。その代わり攻撃力は1番強いんだからね!まぁ、そのせいで盾役がいない野良パーティーに入った時はタゲがこっちに来て大変な目に遭うんだけども・・・。

 「そんな理由か。だったら悪いな、アオリの盾はアタシだ」

 いつからそんな専門的な事になったんだよ。私のってよりもチームのって言いなさい!言いたい事はなんとなく分かるよ?誰かの為にーじゃなくて、自分がやりたい職を選べーって事が言いたいんだよね?

 機嫌が悪いからか、それとも元々なのか、レオナの会話能力って低いわ。

 「ふぇぇ・・・アオリさぁん・・・」

 あぁ、完全に迷走し始めたっぽい。

 盾職か、攻撃職かを決める大事な1次転職。1度攻撃職にしてしまえば盾職になる事が出来なくなるんだから慎重に選ばなきゃならないけど、こんな長時間迷走するとは。

 「将来使いたい武器とかは?装備品とか」

 これはこれで安易な決め方になるのかも知れないけど、好きな武器を使えるんなら後悔はしないと思う。実際私がそうだし。

 「た、短剣っ!短剣が使いたいです!」

 そんな慌てて言わんでも。けど、それなら話が早いぞ。

 「盾職は短剣装備出来ませんので、短剣が使いたいと言うなら1次転職はウォーリア。後は2次転職でウォーロードかグラディエーターですけど、それはどっちも短剣装備出来るので後は好きな方で決めたら良いですよ」

 防御と扱える武器の種類を取るならウォーロード、攻撃特化にするぜ!ってんならグラディエーター。短剣二刀流が使いたいのならグラディエーターを選ぶしかない。

 「2次転職はレベル45からですよね・・・はい、ゆっくり考えます」

 2次転職を考えるって事は、1次転職はウォーリアで決定したようだ。しかも短剣を使いたいって、昔の自分を見ているようで親近感が半端じゃないわ。

 「あー、良いモン売ってねぇわ。んじゃ、今日はもう寝るか」

 わざわざ個人商店の真ん前で良い物がないと言い放ったレオナは、大きく伸びをしている。個人商店の人がこっちを睨んでこないのはきっとグラフィックの問題・・・ではなく、放置者だったからだろう。

 「じゃあアタシも寝るかな。明日にはバグ修正されてると良いねぇ」

 レオナに便乗したレモンも欠伸なんかしながら眠たそうに目をこすっている。この2人がオチるんなら今日はここでお開きかな。

 「また明日ですぅ~」

 メニューにレオナ、レモン、アカネがログアウトした事を継げるログが流れた・・・のだが、3人はまだ私の目の前にいて、さっきと変わらない様子で防具を物色している。

 スグにログインし直したのだろうか?とメニューを見ても「ログアウトしました」としかログは残っていない。

 「これもバグか?」

 隣にいるマーヤに確認をしようと声をかけてみるが、首を傾げたまま黙っている。

 私が指を刺している方を見ていると言うのにその異変に気が付かないんだとしたら、レオナ達の姿は私にしか見えてないって事?

 そうだ、ログイン状況を見れば・・・。

 オンラインになっているのは私とマーヤ、そしてチームルームにいるブラックの3人だけで、この目の前にいる3人は確かにオフラインになっている。

 ならこれは幻覚?中身がいないのに動いているのはどうして?

 ジッと見ているとレモンと目が合った。そしてレオナに耳打ちして、その途端レオナもこっちを向く。

 「声は出すなよ?アオリ、アタシ達が見えてるのか?」

 レオナの質問にゆっくりと頷くと、続いてレモンが声を出した。

 「手が空いたらチームルームに来い」

 そして2人はテレポーターでどこかに行ってしまった。多分先に向かったんだろう。

 何がどうなってんのかは分からないが、なんとなく私の身に起きているこの信じ難い事の答えが聞けるんじゃないだろうかと期待せずにはいられない。だって、ログアウトしているのに動けてるなんて、ゲームシステムを無視した行動に他ならない。

 少しマーヤには悪いけど、チームルームに戻らせてもらおう。

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