表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人生初のモテ期はゲームの中  作者: SIN


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/47

2次転職準備 2

 新しい狩場で敵を倒し始めてすぐに気が付いた事は、バイクを使うよりも普通に倒している方が簡単になっていた事。

 ヘイトを唱え、ワッと寄って来た敵をバイクで倒そうとすると、まず正面に向かって加速した後Uターンしてバックする。すると敵が追いかけて走って来るから、直線上に敵が固まった所で全速前進。

 普通に倒すなら数回SHOCK WAVEを出すだけで良いから、恐ろしく効率が良い。

 レベルが上がって行く楽しさ、1分間で何体の敵を倒す事が出来るか。とか言う自分遊び。ノーダメージで何匹倒せるか、SHOCK WAVE1回で敵を何体倒す事が出来るのか・・・。

 「サヤさん!今何処ですか?」

 夜中の1時過ぎ、本当に全員ログアウトするまで待ったらしいアオリから連絡が入った。

 「マーヤも一緒?」

 「えぇ」

 アオリではなく、マーヤの声で返事があった。と言う事は、すぐ隣にいるのだろう。

 丁度良かった。

 「2次転職で使うアイテム集め、進んでる?」

 その場に座り込んでSPの回復を待ちつつ、マーヤにアイテムの確認をすると、

 「そうね・・・錬金術クエストで使う素材なら集まったけど」

 と、なんとなく歯切れの悪い返事。

 どうせ使わない癖に、とか思っているのか、それとも本当は集めきれていないのか・・・。

 錬金術クエストとは2次転職までの準備クエストの1つで、レベル30から受ける事が出来る非常に面倒なクエストになっている。

 集める素材が多い上に、錬金が失敗すればまた1から素材を集め直さなければならないと言う鬼畜っぷり。

 それなら錬金に成功した後のアイテムを、とは行かない理由がある。

 クエストの細かい内容が「錬金術に成功せよ」錬金後のアイテムを持って来い。ではなく、成功した所を見せなければならないのだ。

 さて、と立ち上がり、バイクを召還して乗り込んでアジトのある町に向けて走り出す。道なりに湧き出した敵をひきながら。

 「今、何処なんですか?」

 あぁそうだ、先にそれを訪ねられていたんだった。

 「アジトに向かってる。10分もしたら着くから、アイテムを用意して待っていてくれ」

 宣言した10分よりも少し早めに着いた光の神殿前には、アオリとマーヤの他にオッサンも立っていて、私を見たまま沈黙した。

 正確には、私の情報を通信機で確認した後。

 このままじゃ話が進まないわ。

 「錬金術のクエストはもう受けてきた。アイテムは?」

 ついでに言うと、35から受けられる2次転職準備クエストも受けて来たから、そっちのアイテムも欲しいんだけど、そっちは流石に集まってないかな?それに、錬金術が1回で成功しなかったら、もう1度素材集めを頼まなければならない。

 「ど、どうやったの!?どうしてそんなレベル?」

 そんなに驚くような事じゃないでしょ?廃人神プレーヤーなら、2週間もあればカンスト出来るんだよ。だから、2日でレベルを35にする事なんか朝飯前!

 「ダンジョン系のクエストと、ダンジョン攻略ボーナス。転職準備のバジリスク500体討伐。それからインスタントダンジョン。それ位かな」

 移動は勿論バイクを使ったから、そこでも多少の経験値稼ぎになった筈。

 「・・・初期村の周辺にいるって・・・言ったじゃないですか・・・」

 シュンとしているアオリは、消え入りそうな声でそう言って俯いた。

 嘘を言われたんだから怒れば良い。私は初めから1人で狩に行くと決めていたのだから性質が悪いんだ。それに、初期村周辺になど1度も立ち寄ってはいない。

 「嘘を付いた事は謝る。でも、そんなに心配しなくても、私は大丈夫だ」

 自分でヘイトも使えるし、防具も、武器も装備出来ているし、体だってもう重たくない。寧ろそこらへんの冒険者達よりも軽いんだ。

 「でもっ・・・」

 「アオリ、そんな顔をするな。折角イケメンなんだからキリッとするか、笑ってなさい」

 個人的にはキリッとした顔が・・・待てよ、恥じらいの表情でも可!泣き顔は・・・今見てるから別に良いわ。

 って!泣かせちゃったよ!?年下の男の子を泣かしてしまったよ!てか、なんで泣くのさ!え?レベル上げに置いて行かれたのがそんなに悲しかったの?

 もしそうなら、可愛過ぎか!こんちきしょー!

 ふっ、今日も暴走してしまったようだ。

 「それには私も賛成。いつも俯いてて暗いし。サヤ、これ1回分しかないから、失敗しないでね」

 マーヤは自分の仲間だろうとも容赦なく毒を吐くのね。アオリには悪いんだけど、私だけにキツイ訳ではないと知れて、ちょっと嬉しいわ。

 1回分だけと言う素材を受け取りながら、絶対に成功しろ、と言う重圧を少しでも和らげるため、私は自分の得意分野を口にする。

 「失敗したら、マーヤが素材集めきる前にレベル45にしとくよ」

 レベル45になると2次転職が出来るんだから、文句はないでしょ?

 「そう言われると・・・失敗してくれた方が面白そう」

 よっし、ハードルは下がった!

 「じゃあ、行って来る」

 ポロポロ涙を流しているアオリの手を引き、錬金術クエストの舞台となる道具屋へ入り、店の片隅にあるツボの前にいる老婆に声をかけた。

 老婆は2回ゆっくりと頷くとツボの前から離れ、どうぞ、と。

 大きく深呼吸してからツボを火にかけ、素材を1つずつツボの中へ。このタイミングが間違っていれば、錬金は失敗に終わってしまう。

 「入れて・・・」

 隣にいるアオリから、物凄い小さな声が聞こえてきた。

 もしかして、タイミングが分かって?そうだ、アオリは元々マエストロ。合成も錬金も得意中の得意職じゃないか!

 ピロピロリ~ン♪

 小さく聞こえて来る合図に従って素材をツボに放り投げた結果、錬金は見事に成功し、2次転職クエストの中で1番面倒臭いのが終わった。

 後のクエストはレベルが40になってから受けられるようになるアイテム収集系のみ。それはマーヤに集めてもらえるから、私はもうレベル上げだけを考えれば良い。

 メンテまで残り2日、今のレベル35だから、1日でレベルを5上げれば良いだけ。

 可笑しいな、初めはギリギリだとか思っていたのに、随分と時間があまりそうだわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ