表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/47

2次転職準備 1

 アジト内の隅っこでひっそりと夜を明かし、皆が起きるよりも先にアジトを出る。

 隣には顔色がよくなったアオリと、まだ眠たそうにしているマーヤ。

 3人してやってきたのはオッサンのいる階段裏の小部屋。勿論、支度金の催促に来た訳なのだが、良く考えてみると、そこまで必要ではない。

 バイクを武器代わりにしているからと言う訳でもなく、私が1次転職を終えたから。

 アオリから昔に使っていた防具を、スパイダガーを装備したマーヤから使わなくなったブロードナイフを譲ってもらえたのだ。

 装備してみても重さで動けなくなる事もないし、実際に短剣を装備できた感触はかなり良い。

 それでも支度金を貰いに行くのは、2次転職までに使うだろう回復剤や復活スクロール、テレポーターの使用料がバカにならないからだ。

 とは言っても、攻撃を受けなければ回復剤や復活スクロールはいらないし、バイク移動を貫くのならテレポーターの使用料もかからないから、別にもらえなくても良いけど、もらえたらラッキーみたいな感じ。

 「オッサン。支度金頂戴」

 ポカンとしているオッサンの前に手を出してみると、一瞬間をおいてパタンとドアを閉められてしまった。

 失敗したか。

 じゃあ昨日手に入れた素材やら欠片やらを店売りして金を作るかな。10個位回復剤が買えたら、ソロのインスタントダンジョンに行ってみよう。クリアが出来たら美味しい狩場に引っ越し、無理なら後2回か3回は森の遺跡の攻略かな。

 よし、今日も1日レベル上げだ!

 「そろそろプレーヤーがログインするから、アジトに戻るわね」

 通信機に視線を落としたマーヤが、私達の返事も聞かずに慌てた様子でアジトの方へ走っていく。

 プレーヤーがログインしたらお知らせでも届くのだろうか?でもログインした時点でエントランスにいなきゃならないから・・・そうか、起動画面中!

 やたら起動に時間のかかるゲームだとか思っていたけど、こう言う理由があったのね。

 「俺も・・・インスタントダンジョンが・・・」

 うん、また少し思考が明後日の方向に行っていたぞ私!

 こんな事で2次転職に間に合うだろうか?結局昨日も目標としたレベルまで達していないし、その分今日レベルを上げれば良いだけなんだけど、既に目標が高いから昨日の分までとなると、更に無理をしなければならなくなる。

 下手をすると徹夜・・・。アオリの顔色がまた悪くなりそうだな。

 だったら、アオリがチームの皆と一緒にいる間の自由時間内にどれだけ経験値を稼げるかにかかってくるか。

 「私もソロの方に行くつもり。それが終わったら狩場に行くから、チーム皆のプレーヤーがログアウトしたら連絡して」

 レオナのプレーヤーも相当な廃人神プレーヤーだから、全員のログアウトを待っていたら夜中になる。アカネは夕方からのログインが多いし、マーヤのプレーヤーはこの時間。

 全員がログアウトしている状態なんて、夜中から朝方の間位しかない。

 「え?ちょっと待って・・・」

 今日の夜中、また会おう!

 「心配しなくても、アオリが来るまでは初期村周辺をバイクで走っているだけだ」

 そう軽く嘘を付いて別れ、早速インスタントダンジョンに挑戦してみると、私が思っていたのとは違う結末が待っていた。

 防具も武器もさっき装備したばかりだし、1次転職も数時間前に終わったばかり。まだスキルの出し方さえ練習していなかったと言うのに、アオリだった頃と同じ動きが出来るようになっていたのだ。

 ダメージを受けても1ケタだし、敵は1発斬り付けるだけで倒れていく。要するに、余裕過ぎて拍子抜けしてしまった。

 これなら、森の遺跡攻略も1人で出来るどころの騒ぎじゃなく、もっともっと美味しい狩り場への引越しが可能。の前に、さっさとインスタントダンジョンを破棄しよう。

 開始から5分以内なら破棄しても入りなおす事が出来るから、高レベルの方のインスタントダンジョンに挑戦しようと思って。

 で、入りなおした高レベルダンジョン。

 さっきとは違って入ってくる経験値が多いから、昨日の遅れを取り戻す事が出来そうなんだけど、敵の強さはそんなに変わらない気がする。

 普通1次転職が終わったばかりだと低レベルの方でも結構きつかったり、クリア出来なかったりする筈。それなのに、高レベルの方でも余裕ってどう言う事?

 小さい頃から訓練とかして冒険者になったコッチの人より、ニートで引きこもりだった私の方が強いのって可笑しいよね。

 魂が半分と言うのは、それ程の事なのだろうか?いや、今の私だって魂は半分。しかもプレーヤーもいないんだから完全なる半分状態。

 もしかして、魂の補充としてプレーヤーを入れている状態って、物凄く動き辛くて、弱いのだろうか?

 光の女神は、自分や自分を取り巻く兵士だけを強くして、冒険者にはカンストと言うストップをかけている。それでも戦いのセンスが良い冒険者が集まれば、倒される可能性があった?だから魂が半分の状態では生きられないとか嘘の情報を流してプレーヤーを求めさせた・・・プレーヤーの入っている冒険者は動き難くて弱くなった・・・。

 そうか、だから自分の体に戻った筈のアオリがあんなにもしんどそうなんだ。

 今日は私1人でレベル上げをしよう。

 ヘイトなら自分でかけられるようになったし、本調子ではないだろう今のアオリなら、まだ私の方が戦える。

 って・・・考え事している間に敵を全部倒してしまったよ。

 ソロのインスタントダンジョンって、敵が出てくる数に上限があったんだな・・・2分も余ってしまったんだから、リセットしてもう1回1匹目から出て来て欲しいわ。

 2分あったら50体は倒せる筈なのに、勿体無い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ