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廃人神プレーヤー 3

 森の遺跡を攻略する事3回。

 かかった時間は50分程度だから、そろそろ1次転職を終わらせても不自然ではないだけの時間が潰せた事になる。

 魔法攻撃に耐性のあるネックレスも手に入ったし、1次転職を終わらせて、もっと美味しい狩場に引越しだな。だったらマーヤのプレーヤーがログインする前に転職に使うアイテムを受け取っておこう。

 「マーヤ、今何処?」

 通信機を使って声をかけてみると、

 「1次転職もまだなんて、随分とゆっくりなのね」

 と、質問の答えではなく嫌味を言ってきた。その口ぶりから1次転職に必要なアイテムは既に全て揃えた後なのだろう。

 「10分後初期村の道場に行くから、アイテムよろしく」

 通信を切り、倒したばかりのボスを見上げる。

 凡そ1時間で3回の攻略はそう悪いペースではないが、少し物足りなさを感じる。アオリのヘイトがなければ1回だってクリア出来ていなかったのだろうけど、それだって弓使いが出てくるエリアだけの話。ここのボスは、私にとってはもう弱い。

 ゴーレム10体を倒しながら初期村に戻って、さっさと転職終わらせて、もっと美味しい狩場に行こう。

 「さ、帰るよ」

 出口までのワープを潜り、バイクを召還してアオリを後ろに乗せ、10体のゴーレムを後輪に巻き込むようにして倒しながら初期村へ戻る。かかった時間は8分程度だから、悪くない。

 道場の前にはマーヤが大きな袋を抱えて立っていて、私を通信機越しに見て目を大きくさせている。

 「1次転職もまだなのに、どうしてそんなレベルに・・・」

 あぁ、やっぱりプレーヤーが不在だと「ふぇぇ」って言ってくれないのね。少し期待してたんだけどな。

 「森の遺跡の攻略経験値ボーナスが大きくなってただけ。それよりアイテムは?」

 ドサリと足元に置かれた袋を持ち上げ道場に入ると、さっきと同じメンバーが道場内で放置プレイを食らっている最中で、何故か放置されている者同士仲良くなったのだろう、ログに残らないように注意しながら小声で話しをしていた。

 そんな冒険者達を横目に攻撃職の受付でクエストを終わらせ、そのままスキルを覚える為の手続きを行う。

 スキルは特訓とかして会得するのだと思っていたのに、資料数枚にサインして提出するだけで良いなんて、どう言う事になってるんだ?使用許可って事は、自分の力ではなくて見えない武器的なものを装備した感じなのかな?

 いやいや、今はこの世界のシステムをどうこう考えるよりも、1匹でも多くの敵を倒してレベルを上げるのが先。

 もっと美味しい狩場に引越し・・・の前に、インスタントダンジョンに挑戦してみようかな?その前に防具と武器を新調しようか・・・重さに耐えられるようになっていれば良いんだけど。

 「サヤさん。1次転職が終わった事ですし、少し休憩しませんか?」

 癒し系アオリのイケメンフェイスが、少しくたびれている。

 自分の体に戻るというのは、もしかしたら相当体力が必要な事だったのだろうか?それなのに、何時間も連れ回してヘイトをさせ続けてしまった・・・私って、鬼だわ。

 なら休憩にしよう。防具や武器を見に行きたかった所だし、丁度良い。

 「首都まで個人商店巡りしよう」

 良い物がなかったら、沼まで行ってスパイダガーの素材を集めるのも良いかもね!でも私は画面には映らないからパーティー募集は出来ないか・・・なら出来上がった物を買うしかない。少し高いんだろうけど、私は闇の女神になる体。しかもレベルを上げろって言ってきたのはオッサンの方。

 お支払い位はしてくれるよね!

 「え、あの・・・だから休憩に・・・」

 休憩でしょ?分かってる。首都までは少し遠いけど、そんな心配しなくたってバイク移動なんてしないから。

 「ちゃんとテレポーターで移動するから、安心して」

 「あの・・・」

 ん?何をそう口篭っているんだ?

 「バイクが良かった?」

 「え!?いえっ!い、行きましょう!」

 やって来た首都の広場。画面に私が映らないので、実際に鎧を選んでいるのはアオリなんだけど、その顔色はさっきよりも増して悪い。

 ヘイトのし過ぎで体が可笑しくなったのだろうか?それとも、私が雑に扱ったせいで体にガタが来ていたとか!?単純に寝不足?

 買い物が終わったら今日はお開きって事で開放してあげよう。それに、バイクで敵を倒す事も慣れて来たし、ヘイトがなくても何とかなる。

 まぁ、大事をとってアオリと合流するまでは初期村周辺にいるか。だったら鎧も新調しなくても何とかなるし、武器すらいらないわ。

 「今日はもう終わりにして、明日初期村で合流しよう。アジトに帰る序に、オッサンから防具と武器代受け取ってきて」

 支度金とでも言えばドドンと出してくれるよね?なんと言っても私は闇の女神様(仮)だもの!レベルを上げていないと不都合なんだよね?だったら、お金くらいどぉーって事ないよね。

 もし出し渋ったらオッサン愛用の杖を折ってやる。

 「え?サヤさんは何処に?」

 パッと振り返ってきたアオリは勢い良く立ち上がると、そのまま立ちくらんでしゃがみ込んだ。

 これは相当お疲れの様子。それなのに、まだ私の事を考えるの?

 まぁ、分かるよ?だって、闇の女神様だもんね・・・私が変な事をしないか見てなきゃならないんでしょ?

 「私は初期村の道場内で寝るわ」

 バイクで少し遊んでからね。って、これは変な事の内に入ってしまうのだろうか?いや、ただの純粋なレベル上げよ、うん。

 「それなら、俺も一緒に……」

 疲れているくせに、まだそんな事を言いますか。しかもこれ、中々引き下がらない感じだわ。

 「オッサンからお金貰ってきて欲しいの。スウェードの合成だってあるでしょ」

 ね?良い子だから帰りなさい。

 「俺の知り合いって事でアジトに連れて行きますよ。お金は自分で受け取ってください!合成は・・・俺がします」

 あらら・・・ちょっとビックリしたわ・・・。

 アオリって、なんだかいつも大人しいから自分の意見を強く主張しないと思ってたんだけど、言う時は言うのね。最後、ちょっと締りがなかったけど。

 でもね、小童の言い分なぞ、私には通用しないのだよ!

 いやいや、それはそれで大人気ないわ。

 仕方ないからアオリの言う事を聞いておこう。だけど、私は今日中にレベルを25にしたかったんだから、まだまだやり足りない。

 メンテまでに2次転職を終わらせるのにギリギリなんだから、1日の目標として決めたレベルまでは上げたいのだ。

 別行動が駄目だと言うのなら、解決策は1つしかない。

 「アジトまでバイクで行くよ!さっさと乗って!」

 敵を引き倒しつつ、恐ろしい遠回りをしながらアジトまで帰れば良い。

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