第三話ーー騒動勃発ーー
話進まない……
俺は、何故だかその羽に微妙な違和感を感じた。何かがおかしい。
そう、例えるならば、先ほど失踪したあの女のような……
「ねぇねぇ浩介、この羽、不思議な感じしない?」
織宮も気付いているようだ。だが……
「お前ら二人で話進めるなよー。
……てか、この羽から違和感なんて、特に感じねぇぞ?」
大樹は全くわからない様子。
まぁ、バカだからしょうがないか。うん。きっとそうだ。こいつは鈍感なんだ。
自分にそう言い聞かせ、その場を凌いだ。
「……浩介、今俺のこと馬鹿にしてた?」
「⁉︎い、いや?そんな事考えてねぇぞ?」
人の考えを読み取るとは、大樹、なかなか侮れないな……
==============
「おーい。もう少しで入学式が始まるぞー。早く教室入れー。」
どこぞの教師が俺らにそう告げた。時計を見ると、時刻はもう八時だった。
「まぁ、この話はまた後で……な。」
「おう。……はぁぁ……一人ぼっちかぁ……」
大樹がとぼとぼと教室へ入っていくのを見送ってから、俺らも教室へ向かった。
教室に入ると、もうほとんどの生徒が席についていた。周りと駄弁っていたり、一人で本を読んでいたりと、皆それぞれの行動をとっているようだ。
さて、自分の机を探し、席につくと、机の上に一枚の紙が置いてあった。見ると、どうやらこの学園の校則らしい。まぁ、内容はおおむね考えられるものばかりだったが、一つだけ気がかりな事柄があった。
・一部の委員会に所属する場合のみ、寮での生活となる。
何故その委員会に所属した場合は寮生活になるのだろうか。特に悪いことでもないだろうに。
そんな事を考えていると、教室のドアがガラガラと音をたてて開き、担任の教師が入ってきた。
担任は、20代後半だろうか、ひょろりとした男性だった。
「おはようございます。そして初めまして。私、本日付で1-Aの担任となりました、敦賀と申します。まだまだ未熟な点もありますが、よろしくお願いします。」
敦賀と名乗るこの人は、見た目、性格共に礼儀正しそうな人だった。
敦賀は話を続ける。
「早速ですが、みなさんに渡さなければいけないものがあります。
……いきなりですが、この学園は広いです。とてつもなく広いです。移動は徒歩ではまず無理でしょう。
なので、移動用に、この『テレポートフォン』というものを使います。」
取り出したのは、スマートフォンのような、小型携帯端末だった。
「これは、登録されている場所へと瞬時に飛ぶことができます。ほとんどの教室は登録されているので、移動にはこれを使って下さい。なお、新たに場所を登録したり、登録した場所を解除することはできませんので、悪しからず。
……あ、他の機能はスマートフォンと同じですよ?」
なるほど、これはすごい。なんというハイテク技術なのだ。恐るべし社森学園。
この後、体育館で集会があるらしい。皆、テレポートフォンで、体育館へと飛んだ。
体育館は、もう人でいっぱいだった。
とりあえず適当に並ぼう。そう思い、列を作っていると、突如、後ろから爆発音が。
慌てふためく生徒達。だが、教師達は、驚くどころか、怒りをあらわにしていた。
「ど、どうしたんですか?」
近くにいた先生に恐る恐る声をかける。
「ん?あぁ、新入生は分からないのか。
あれはな、とある委員会の仕業なんだ。」
予想外の言葉に、またもや驚く。
「……そ、その委員会って……?」
「風紀委員会だよ。だけど、やってることが真逆過ぎて、最近じゃあ、『風紀を乱す風紀委員会』ってあだ名がついちまったんだ。」
「じ、じゃあ、校則にあった、『一部の委員会に所属する場合のみ、寮での生活となる。』っていうその委員会ってもしかして……」
「うん。予想通り。風紀委員会Death。」