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コノヨノタメニ。  作者: 高梨 裕也@あと五分だk……zzz
第一章ーー風紀を乱す風紀委員ーー
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第二話ーー出会いーー

  春。


  暖かな日差しの中、桜が舞い散る出会いと別れの季節。


  俺ーー黒原浩介ーーは、この春、ある高校へ入学した。




  登校日初日。


  「おーっす!!暗い顔して何やってんだ!

 せっかく入学できたんだから、シャキッとしろよ、シャキッとよぉ!!」


 明るく元気なこの男、河井大樹は、小さい頃からの馴染みの一人である。


  ……そして、その後ろにも、幼馴染がもう一人。


「そうだよ。そんな怖い顔してると周りからドン引きされるよ?」


 さらっと酷い事を言っているこの女、織宮静は、大樹と同じく、昔からの馴染みだ。

 

  「お前らひでぇな!?人の事をなんだと思ってんだよ!!」


  「うるせぇな!!こんにゃくみたいにグニュグニュしてるお前が悪いんだろ!!」


  俺が反論すると、大樹が喝を入れた。


 大樹……言いたい事は分かるが、例えが気持ち悪すぎるぞ……

 こんにゃくって……


  「……確かに!! 浩介は、顔が怖くなくても、性格がこんにゃくみたいだもんね。」


  静さーん?おっしゃっている事ががさっきより酷いよー……?結構刺さるんだよー……?


  「う、うん。ごめん……だから、もう責めないでください……」


 思わず敬語になる俺。

 同級生に敬語になるとは……我ながら情けない……




 ==============




  そんなたわいもない会話をしていると、本校舎が見えてきた。


  ……そうそう、いい忘れていたが、高校の名は「国立社森学園」という。

  いや……学園というよりは、財団と言い直した方がいいだろう。

  その広さ、なんと75,322.42㎢。本州の上半分くらいが、この学園の敷地なのだ。

  さらに驚くべきは、学校内には普通に家があり、街があり、人が住んでいる、ということだ。もはや別の国である。





 ==============




 校舎内に入ると、入り口にクラス分けの看板があった。名前がズラーッと並んでいる。自分の名を探すのだけで疲れそうだ。





  なんとか見つけたクラス分けの結果、俺と織宮は1-A、大樹だけが1-Bになった。

 



「元気だしなよー」

 大樹は、先程から、「なんで俺だけ……」と、ブツブツ不満を垂れ流している。先程までの明るさは一体どこへ行ったのだろう。比べ物にならないほど、ダークになっているようだ。


 その時、ふわっと俺の横を誰かが通り過ぎた。

 黒く鮮やかな長髪。

 服は何故か剣道着を着ている。


「なぁ、織宮。あの人、なんだ?ほら、あの剣道着着てる人。

 なんとなく周りと浮いてね?」


 俺は、織宮に問いかけた。


「……ほんとだ。なんか雰囲気違う。あ、あれ?どっかいっちゃった……」


「?ど、どこ?どこにいるの?」


 大樹は全く気付いていないようだ。

 そして、その女も、いつのまにか消えていた。


「おっかしいなー。この辺にいたんだけどなぁ」


 最後に見た場所を重点的に探してみるが、どこにもいなかった。


「ん?なんだこれ?カラスの……羽か?

 なんでこんなところに……?」


 そこにあったのは、真っ黒な羽だった。
















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