表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

街を巡る事情、そして新しい依頼 前編

 グラム王国北方辺境伯領。

 ここを任されるのは王国でも屈指の実力を持つとされるノヴェンバー伯爵家である。

 その評価に間違いはなく、事実ノヴェンバー家の私設軍は王国近衛軍に次ぐ戦力を持ち、王国の北の守りを支えている。


 けれどそれは『人間』を相手取る軍隊としての評価であって、人類の敵たる『モンスター』相手の評価ではない。それを象徴するのが「ざわめきの森」であった。

 かつて先代の辺境伯がハンターギルドの反対を押し切って辺境伯軍総出でモンスター討伐に向かい、全滅寸前まで追い詰められて泣きついたハンター達に助けられたと言う『大遠征』以降、『ざわめきの森』は辺境伯領においての禁句となった。

 特に今代の当主は『大遠征』の失態を恥と言い切り、ハンターギルドをあからさまに目の敵にしているらしい。その傾向は辺境伯軍の末端にまで浸透しており、彼の地においてハンターと辺境伯軍の対立は激化する一方なのだとか。


 ランカシャーを出る前に聞かされた話を思い出しながら、ユウトは溜め息を吐く。


「うぬっ!? 我々を目の前にして溜め息とは不届き千万!!」

「これは入市税を釣り上げねばならんな!」

「……ハンターは入市税免除なんじゃ?」

「し、知っておるわそれ位のこと!」

「こんな高尚な冗談も解さぬとは、これだからハンターは!」


 辺境伯軍の本拠地にして伯爵の居城を擁する、王国でも屈指の大都市。

 周囲を高い壁に囲まれたノヴェンバーの街の出入り口たる関所にて、数人の騎士に因縁をつけられたユウトが呆れたように指摘するが、騎士達はそれを誤摩化して新しい罵倒に繋げる。こうしてもう数時間に渡り足止めを喰らっているのだ。


「いい加減にしてくれないか? そもそもハンターを関所で止める権限はないだろう?」


 ハンターライセンスは数ある身分証明の中でも最上位に位置している。

 国境や大都市などで見られる関所でも、これさえあればほぼ無審査で通ることが出来る逸品だ。


「何を言うか! 例えハンターであろうと怪しいものを問い詰めるのは我々の義務だ!」


 しかし、それはあくまで『ほぼ無審査』、決してフリーパスと言う意味ではない。

 ここの騎士達はそれを逆手に取り、こうして質問攻めにしているのだ。質の悪いことに、その間通行を希望するものには最低限の審査しかしないでほぼ素通ししている状態で。

 居丈高な態度の騎士達に絡まれるユウトのすぐ傍を、軽い問答だけで通された人々が申し訳無さそうに歩んで行く。それを見送りながら、ユウトは何度目になるか判らない反論を行おうとした。が、


「おやおや、これはどう言うことなのですかな?」


 突然乱入して来た第三者に、不毛な舌戦が止められた。

 パリっとしたツーピースの上下にやたら太いステッキ、年を経て灰色に染まった頭髪をオールバックに撫で付けられた初老の紳士。けれどどうにも剣呑な気配と胸元で揺れるハンターライセンスが、ただの老紳士ではないことを物語っていた。


「そちらの方が言う通り、ハンターの不当な拘束は国際規約違反ですぞ? グラム王国も規約に帰順している以上、これ以上の狼藉は許されますまいに」

「うぐっ……」


 丁寧で優しげな口調ながら、断固とした意志のこもった語り口であった。騎士達が悔しそうに顔を歪めるが、紳士は構わず追撃をかける。


「まだ判らぬと言うのであれば致し方ない。規約に則り、国王陛下に─────」

「判った、判ったからもう止めろ!」


 王の名を出されれば、騎士である彼らには最早抵抗する術はない。

 数時間ぶりに開放されたユウトはその場で大きく伸びをしてから関所の門をくぐる。


 先程の老紳士と共に。




────────────────────────────────────────




「申し訳ない。もう少し早く気付いていれば無駄な時間を使わせずに済んだだろうに」

「いえいえ助かりましたよ。お陰様で日が暮れる前に市内に入れたし」


 市内を二分する大通りを歩きながら、ユウトと老紳士は謝罪と感謝を述べ合っていた。

 老紳士はピクソン・フェン・リジンと名乗った。ピクソンと言うのが名で、フェン・リジンはノヴェンバーのハンターギルドの総支配人に任命された際に与えられた尊称だと言う。

 尊称とは功績を挙げた人物に贈られる称号のようなもので、特に『フェン』と付く尊称を持つ者は準貴族のように扱われるらしい。


「だから平民出身の儂も国王への謁見資格を持っているのだよ」


 そう言ってからからと笑うピクソン。しかしすぐに笑いを収めて眉根を顰める。


「……その所為もあって、辺境伯は儂らギルドを必要以上に目の敵にしているのだ」


 只でさえハンターに敵愾心を持っていた辺境伯軍だが、彼が赴任してからはそれが激しくなる一方。国際規約で定められている『ギルドへの政治干渉禁止』の条項により直接的な被害は無いが、このような嫌がらせは日常茶飯事だとか。


「ハンターやギルドを追い出すことは出来ないが、ハンターやギルドが自主的に出て行くのを止める法はないのでね」

「……地上げ屋か」


 たまたま通りかかった市民が通報しなければ、ユウトは今でも騎士達の尋問と言う名の足止めを喰らっていたことだろう。そして諦めて帰れば良し、そうでなければ根を上げるまで尋問が繰り返された筈だ。

 やり口がヤクザ以外の何者でも無いが、正当な騎士の任務でもあるので止めさせる訳にもいかない。今のところは国際規約とピクソンの尊称が持つ権威で押さえられているが、それが領主のプライドを逆撫でして一層悪化する悪循環を生む。

 その結果、気が付けばノヴェンバーの街はギルドと辺境伯軍が一触即発で野放しと言う、火薬庫並の危険な状態になっていた。


「悪いことに、今代の御当主は自尊心の塊のようなお方なのだ。それでいて領主としてはかなり優秀で、領民に慕われているのは間違いない。ただ一点、ハンターに対しての認識の違いを除けば、だが」


 辺境伯軍も実力者揃いなのは間違いない。けれど人間同士の争いごとなど殆ど無く、演習を繰り返すのみで無聊を囲う辺境伯軍と、自ら危険地帯に乗り込んで生死をかけた戦いを常に繰り広げているハンターとは決定的に練度が違う。

 無論、領民もそれは判っている。けれど領民に安定した生活を齎しているのは間違いなく領主の手腕の賜物だ。そもそもの原因たる『大遠征』とて領民の為に挙兵したことを考えれば、文句を付ける方が間違っているだろう。

 自分達の命を守るハンターと、自分達の生活を守る辺境伯。力無き平民にとってどちらも必要な存在だ。板挟みとなった領民達はどちらにも味方することが出来ず、それがこの街の景気を下げる一因となっていると言う。


「先刻も言ったが領主としては有能な方でね、領内の景気が下がり気味なのを何とかしようとはしているらしい。……その矛先をギルドに向けているのが問題なんだが」


 辺境伯曰く、原因はギルドにあるので街からハンターを追い出せば解決するとのこと。

 それを受けて騎士達が殺気立っていた所へ、ハンターライセンスを持ったユウトがのこのこ現れたと言うのがあの尋問の真相らしい。


「何ともはや……、悪い時期に来てしまったな」

「はは……、まあ運が悪かったと思ってくれ」


 ぼやくユウトに深く同情を示すピクソン。二人の足はいつしか大通りを離れ、路地裏のような小道へ踏み込んでいた。


「……結構遠いんですね」

「昔は市内の中心部にあったんだが、数年前に大規模な区画整理があってな。その時に町外れの土地が我々に割り当てられたんだ。ギルドホール用に一番広い場所を用意しました、なんて言われて事実その通りだったから、文句もつけられなかったよ」


 そう言いながら路地裏を抜けると、そこには城壁を背に建つ大きな建物がどん、とそびえ立っていた。ランカシャーの村にあったギルド支部とは雲泥の差で、成程『一番広い場所』等と言うだけのことはある。しかし……


「……これはまた日当りが悪そうな……」

「いや、日当りは良好だよ? ……西日だけれども」


 街の東側、城壁ギリギリに割り当てられた敷地に建つギルド支部は、五階建てのそれよりも高い城壁に日の光を遮られ、正午だと言うのに薄暗くじめじめとした雰囲気が漂っていた。逆に気温の上がる午後には西日が差し込み、ギルドが蒸し風呂に変わると言う。

 羽根扉をくぐると吹き抜けのホールが有り、打ち合わせ用の椅子とテーブルが幾つも設置されていた。けれどそれを使っているハンターは極々まばらで、広いホールも相俟って寒々しい事この上ない。ホールの奥に構えられたカウンターに着くギルド職員が頬杖を付き、欠伸を噛み殺しているのが見えた。


「……人がいませんね?」

「以前はこの街を拠点にしていたハンターで賑わっていたんだがね、領主殿の嫌がらせが始まってからは徐々に減って行ったんだ。

 お陰で依頼は溜まる一方、ギルドとしては頭の痛い問題だよ」


 ピクソンの言葉に掲示板へ目をやると、隙間も無いほどびっしりと張り出された依頼書があった。どうやら人手不足と言うのは本当らしい。


「成程、だから一介のハンター如きを支部長自ら迎えに来た訳ですか」

「左様、今は五級であろうとも貴重な戦力だからな。……処で、君の等級は?」

「四級です。一応、ランカシャーのギルドでは三級も考慮されていたみたいですが」


 それを聞いてピクソンはふむ、と考える素振りを見せ、掲示板の一つを指差す。


「……なら、できれば三級相当の依頼を引き受けてくれないか?

 危険度『低』なら四級でも充分対処出来る筈だ」


 その台詞を聞き、今度はユウトが考え込む。

 彼のモットーは『安全第一』だ。だからランカシャーでも危険度『低』の依頼しか受けなかった。しかしハンターの等級制度は『未熟者が身に合わない依頼を受ける』のを防ぐ他に、『熟練者が未熟者の仕事を奪う』ことも目的に含まれている。

 危険度『低』だったとは言え、ランカシャーであれだけの戦果を打ち出したユウトがいつまでも四級でいられる保障は無い。ならば等級の低い今のうちに上級の依頼に慣れて置いた方が無難ではないだろうか?

 そう結論付け、彼はピクソンに条件付きでそれを受けることを伝え、ピクソンもその条件を呑んだ。早速掲示板を物色しに行くユウトを見送りながら、ピクソンは小さく溜め息をつく。


「やれやれ……。しかし美形と言うのも楽じゃ無さそうだ」


 ユウトにはああ言ったが、ギルドの支部長ともあろう者がわざわざ一人のハンターの為に動くことは無い。今回、ピクソンが動くことになったのは、通報して来た市民が凄まじい勢いでギルドに迫ったからだ。

 曰く、絶世の美男子ハンターが不細工共に絡まれている。一刻も早く助けに行け、と。

 次々と押掛けて来る通報者にギルドも遂に折れ、嫌々迎えに行く羽目になったピクソンだが、問題のハンターを見るなり彼女達の情熱の理由(わけ)を知った。


「あれ程の美形なら若い娘さんが夢中になるのも仕方無い。

 ……若くない娘さんも夢中だったがな」


 そして恐らく騎士達が必要以上に足止めしたのもそれが原因だろうと彼は思う。

 辺境伯軍の中核を担う騎士達は、男なら一度は夢見る花形職業である。若い娘達からの羨望も厚く、騎士になれれば女など選び放題とさえ言われていた。

 しかし国王の直衛たる近衛軍なら見た目も尊重するが、辺境伯軍は実力重視。そうして集められた騎士達はお世辞にも美形とは言えず、婦人達には酷く不評だった。

 折角騎士になれたのに、不細工だから、醜男だからと婦女子に避けられる毎日。やるせなさに嘆き、鬱憤を募らせる彼らの前に現れたのがユウトであった。

 どんな女性でも放っておかない程の極上の美形、しかもそれが敵対するハンターとくれば、積もりに積もった鬱憤を晴らすのには最適な獲物だったのだろう。


 要するに美形に対する嫉妬、それがあの尋問の正体だった訳だ。


「……ま、判らんでも無いが」


 ピクソンとて美形には程遠く、笑顔を浮かべて子供を泣かせる強面の持ち主だ。支部長などと言う激務の所為で出会いを求める暇も無かったとは言え、この年になるまで独り身なのもこの容貌が原因だろうと彼は考えている。

 それを思うと辺境伯軍に同情の念が湧くが、ギルドとしては折角の戦力を失う訳にはいかない。それに話してみれば結構話の通じる男だった。少なくとも、ピクソンの強面に臆せず会話が出来る時点でただ者では無い。


「まあ運が悪かったと思って、精々頑張って欲しいものだな」


 ギルドとハンター、そしてリア充を敵視する辺境伯軍にとって、ユウトは最大の怨敵と呼べる標的となるだろう。これも美形に生まれたが故の宿業だな、と呟いて、ピクソンは支部長の業務を再開するべく踵を返す。

 その目にはもう、一介のハンターの事など映ってすらいなかった。




────────────────────────────────────────




 掲示板に張り出された依頼書を一つ一つ検分して行く。


「お、ジャイアントキャタピラーの捕獲。条件は……生け捕り? 無理無理」


 『化け芋虫』はのろまな移動速度に反比例して力が強い。数人がかりでようやく止まるような奴をソロで生け捕りなんて、不可能だ。


「他には……『人面蝶』の討伐、期限は……明日中に12匹以上? 出来んわ!」


 翅の全長が50センチにもなる『人面蝶』こと『デスマスクフライヤー』は、文字通り顔のような模様を持つ翅で空高く飛ぶ蝶だ。しかし元が虫なだけに逃げ足には定評があり、一日に七枚しか使えないカード能力では12匹以上を仕留める事は難しい。


「じゃあ、この『痺れウナギ』の捕獲は……危険度『高』!? たかがウナギで!?」


 確かに、5メートル以上の大きさに加えて敵を黒焦げにする電撃を放つ『ショックイール』相手なら妥当かも知れないが、だったら三級の掲示板に出すなと言いたい。


 こうやって見ると、三級以上はチームを組んでいるのが前提だと言うのが判る。三級でソロ狩りするような奴は珍しいのだろう。

 しかしこちらもチートが頼りの綱である。他人の目を避ける為にはソロ狩りしか出来ず、そうすると依頼の選択肢も自然と限られてくる。

 そうやって暫く選別していると、ある依頼書が目に飛び込んで来た。


「『メガセンティピード』の討伐だって?」


 最大で全長数十メートルにもなり、鋭い牙と大きな口で何でも噛み砕くことから『大口ムカデ』とも呼ばれるメガセンティピードは、その巨体に見合わぬ素早さから危険度『中』〜『高』とされるモンスターだ。

 今回目撃されたのは十メートルにもならない小型らしく、危険度はやや『低』寄りの『中』となっていた。いつか等級が上がれば狩らざるを得ない相手だ、上級の狩りを体験する練習には丁度良いだろう。

 これを受けようと依頼書を剥がす。それとほぼ同時に後ろから肩を叩かれた。何事かと振り返ると、巨大な鉄の塊と目が合った。


「うおっ!?」

「……あ、済まん。別に取って食う訳じゃないから安心して欲しい」


 思わす驚いて仰け反った私に、塊が申し訳無さそうに謝罪を入れる。

 そこで私は初めて、この鉄塊が全身鎧を着込んだ大柄な男であると理解した。


「い、いやこちらこそ済まない。何せ突然だったから……」

「いやいや、こちらこそ驚かせてしまって……」

「いやいやいや、こちらこそ折角話し掛けてくれたのに……」

「いやいやいやいや、こちらこそ一声かけてから……」

「…………何、やってんだ?」


 呆れを含んだ問い掛けで不毛な謝罪合戦を止めたのは、やはり鎧を付けた男だった。

 バケツヘルメットまで被った全身鎧の男とは違い、こちらは要所を押さえた軽装鎧に鉢金と動きやすさを重視した備えのようだ。


「良い所に来たネデュー! このハンターが例の依頼を受けようとしてたから……」

「ああ皆まで言わなくても良いぞゴン。大体判ったから」


 ネデューと言うらしい軽装鎧の男は溜め息をつくと自分の髪を掻きむしる。苦々しい表情からして、以前にも何かあったのかもしれない。


「済まんがアンタ、こいつからどこまで聞いた?」

「……この依頼書を剥がしたら肩を叩かれただけで、何も聞いちゃ居ないんだけど?」


 そう言うとネデューは再び髪を掻きむしり、親指で空いている席を指差して歩き出す。

 どうやら着いてこいと言っているのだろう。それを見たゴンと呼ばれた全身鎧の男ものそのそと着いて行く。私もその後に続く。

 適当な席を選んで座る。木製の円卓を挟み、ゴンと並んで対面に着席したネデューが早速話を切り出した。


「まずはこちらの無作法を謝らせてもらおう。コイツは少し鈍くてな、そのうえ話下手なもんだからこう言うトラブルは良くあるんだ」

「その件に関してはもう良いよ。それよりも先にやるべきことがあるだろう?」


 私の切り返しに呆気にとられるゴンだが、流石にネデューは気付いたらしい。


「ああ、そうだな。俺はネデュー、見ての通りハンターだ」

「あ、お、俺はゴンだ! ネデューとチームを組んでいる」

「……ユウト。まだ駆け出しだけど四級のハンターだよ」


 お互い自己紹介を終えた所で、ネデューが再び切り出す。


「実はあんたが受けようとした依頼なんだが……」


 ネデューによると、この二人は半年前に三級に昇級したらしい。

 そして昇級後、初の依頼として選んだのがあの大口ムカデ討伐だったと言う。


「三級向けにしてはお手頃だったからな。無理せず堅実に行こうと思ったのさ」


 しかしネデューとゴンは依頼を失敗してしまった。

 依頼に失敗しても別にペナルティは無いが、やはり評判は悪くなる。ましてや危険度『中』程度の獲物に、三級のハンター二人掛かりで挑んでしくじったと噂にでもなれば肩身の狭い思いをするのは確実。

 そこで二人は考えた。二人掛かりで駄目ならば、三人掛かりではどうだろう?、と。


「それから毎日ここに日参して、その依頼を受けるハンターを待っていたんだ」


 自分達の汚名は自分達で晴らすしかない、と結論付けた二人はその機会をひたすら待ち続けた。しかし辺境伯軍の嫌がらせによって徐々に人が減って行き、このままでは拙いと焦っていた所に現れたのが私だった、と言う訳だ。


「本当に済まない! まさか俺が席を外している間にアンタが現れるとは……」

「普段こう言う交渉事はネデューがやっていたから、焦って思わずあんな行動に……」

「……今日は厄日かなんかか? トラブル多過ぎだろう……」


 全く、この街に着いてから碌なことが無い。

 見当違いの逆恨み騎士の次はコミュニケーション障害気味な鎧男と来たもんだ。そのうえ厄介事付きとなれば、自分の運勢を疑いたくもなる。

 ……まあ良い。問題はそこじゃないのだから。


「済まないが、その申し出は断らせてもらうよ」


 そう言った瞬間、ゴンが勢い良く立ち上がって詰め寄ろうとした。咄嗟にそれを押さえたネデューも断られるとは思っていなかったのだろう、驚いた表情でこちらを見ている。


「何だって!? それはどう言う……」

「落ち着けゴン! ……報酬はそちらの総取りで良い、だから引き受けてくれないか?」


 ゴンを宥めつつ私の説得に掛かるネデュー。だが、これだけは譲れない。


「悪いが、こちらにも事情があってね。私の狩りに同行者は付けられないんだよ」


 私の狩り方は、言ってしまえばカード能力で手数を増やして物量で圧倒するもの。

 カード能力が前提である以上、他人の目がある所では使えないし、使わない。

 だからチームを組んで狩りに行くような真似は絶対に(・・・)出来ないのだ。


「……そうか。そこまで言うなら本当に駄目なんだろう。無理を言って済まなかったな」


 私の断固とした拒絶にネデューは話を切り上げ、席を立つ。慌ててゴンもそれに続く。


「……ああ、参考までに聞くが、いつから仕事を始めるつもりなんだ?」

「そうだな……、今日着いたばかりだし、準備もあるから明後日辺りにしようと思う」


 メガセンティピードは蜈蚣のモンスターだ。ならば殺虫剤も効くはず。

 以前やったジャイアントキャタピラー退治の要領で、カード化した特製殺虫剤を打ち込んで実体化させる方法を使うならば、当日使える手札は殺虫剤を除いた六枚となる。

 装填済みの弩を最大数まで揃えることも考えれば、準備に一日から二日は要るだろう。


「そうかそうか、判ったよ。……じゃあな」

「あ、待ってくれネデュー!」


 私の答えに納得したのか、何度も頷いたネデューは踵を返してホールを去り、ゴンも慌ててその後を追う。残された私は今度こそ依頼を受ける為にカウンターへ足を向けた。




────────────────────────────────────────




「何で諦めたんだ、ネデュー! あの大口ムカデは俺達の獲物だろう!?」

「……なあゴン。あのユウトって奴は同行者を付けられないって言っていたよな」

「?、ああ」

「それってつまり、誰かに見られるとヤバいってことだよな」

「むぅ、そうなる……のか?」

「だったらアイツの狩りに乱入しても、それをネタに口裏を合わせられないか?」

「……脅す気か?」

「いやいや、あくまで偶然(・・)通りかかるだけさ! その結果、アイツの秘密とやらを偶然(・・)見ちまったとしても、それは不可抗力って奴だ」

「いや、しかし……」

「それに忘れた訳じゃないよな、俺達が失敗した理由(わけ)を?」

「忘れる訳無いだろう!? あのムカデの事を!!」

「そうだ、アレは初見で狩れるような獲物じゃない。アイツの秘密がどんなものかは知らないが、アレに生半可な策や罠が通じるとも思えない」

「それは……確かに、そうだが……」

「だから俺達が加勢に行くのさ。もちろん馬鹿正直に『手伝う』なんて言えないからな、偶然通りかかったと言うことにしておけば問題ないだろう?」

「ぐっ……だが、それはあのユウトって奴を騙すことに……」

「馬鹿言うなよ。騙す訳じゃない、俺達は何も嘘を言ってないんだからな」

「ううっ……」

「まあ、多分これが一番どちらにも損の無い話だと思うぜ?」

「……そうだな、俺と違って知恵の回るお前がそう言うのなら間違いないんだろう。

 だが納得出来た訳じゃないからな、それだけは覚えておいてくれ」

「……判ってるさ」




────────────────────────────────────────




 メガセンティピードが目撃されたのは半年ほど前、とある農夫が遭遇したのが最初らしい。連れていた牛に巻き付き、噛み殺したと報告書には記されている。

 牛を犠牲にして逃げ仰せた農夫の通報によって即座に討伐依頼が張り出され、あの二人組がそれを受けた。しかし依頼に失敗した後、誰も受けようとしなかった為に放置されていた状態だったそうだ。


「このままではギルドの体面に拘ります! ぜひ達成してください、お願いします!」


 依頼書を出したカウンターの職員が潤んだ目で頭を下げる。私は若干引きながらも資料を要求するが、詳しい話は殆ど判らないと言う。


「通報した方は逃げるのに精一杯だったらしくて、詳しい事は聞けませんでした。

 ……失敗したハンター達は、その、あまり頭が回らない方の様で……」

「……ああ、大体判りました。それ以上は結構です」


 確かに、あのゴンってハンターは少し足りなさそうだったな。

 あれ? でも相方のネデューって奴はわざわざゴンに報告させたのか? 何故?


 ……まあ良いか。ならば一般的なメガセンティピードの資料を見せてもらうだけだ。

 ……ほうほう、大きさに比べて結構素早く、顎部の牙には毒がある種もいる、と。

 まあ素早いとは言っても、流石に人間の早さほどではないみたいだな。でなければ農夫が逃げ切れる筈が無い。

 いずれにせよ、相手が素早いというのは厄介だ。今までのような狙撃は難しそうだし、罠を仕掛けて追い込んだ方が良さそうだ。


 ……ムカデ用の罠ってどうすれば良いんだ?

 真っ先に思い付くのは粘着シートだけれど、ここにそんなものは無い。自作も考えたけれど、10メートル級の相手を捕まえるなら膨大な量が要る。

 カードを使って用意するか? いや、今回カードは殺虫剤に使う予定だ。それに都合良く引っ掛かってくれるとも限らない。

 殺虫剤のプールでも作るか? これも駄目だ、そもそもプールを作る所から始めなければならない。費用対効果が悪すぎる。


「結局、異世界だろうと害虫退治はスリッパ、ってのが効果的なんだろうな」


 殺虫剤で動きを鈍らせ、直接物理で殴り殺す。これが一番現実的な手段だと思う。

 いくらでかいとは言え相手はムカデ、暗くて狭くて湿った所を好む筈。そこに餌を置いておびき寄せ、動きが止まった所に殺虫剤付きの矢弾を浴びせる。

 あとは手斧で頭を潰せば一丁上がり。脳内で大雑把な作戦を立て、そこに至るまでをシミュレートする。……うむ、行けるな。


 準備を整える為に街へ繰り出す。殺虫剤の材料である洗剤と木酢液を手に入れるべく、通行人に店の場所を尋ねようと声をかけた。が……

 

「貴様だな、市民を恫喝して回る不審者は! 即刻逮捕してくれる!!」

「……またかよ」


 二、三人に尋ね回った所で、また辺境伯軍の騎士達が首を突っ込んで来た。道を尋ねていただけで恫喝になる、なんて無法が彼らの脳内ではまかり通るのだろうか。

 その辺を正直に訊いてみた。


「煩い! 罪無き市民を脅迫して回るとは、やはりハンターとは無法者の集まりか!」


 あ、これ駄目だ。こっちの話聞く気無い。しかも何気なく罪状がパワーアップしてる。

 そのうえ自己紹介した訳でもないのに私がハンターだと把握してるってことは、もう既に関所から話が回っているって事だろう。このまま彼らに着いて行けば自動的に罪状が着き、合法的に私を放逐出来ると言う訳だ。


(早速『奥の手』を使う羽目になるとは……)


 確かにこういう事態を見越して支部長に頼み込んだものだけれど、まさか用意したその日に使わざるを得なくなるとは。その熱意をもっと別の所に向けろと言いたいのをぐっと飲み込み、私は彼らの鼻先に『ソレ』を突付けた。


「うん? 何だこれは……ギルド支部長のお墨付き、だと!?」


 『ソレ』に書かれていた書面と署名に目を通した騎士が驚愕して絶叫を上げる。

 公文書に使われるギルドの紋章が箔押しされた上質の羊皮紙に「これを持つ者の身分を証明する」と書き付けられ、ピクソン・フェン・リジンの署名が入った『コレ』は、簡単に言えばギルドが私の身分を保障するだけのもの。

 だがこれを持つ者は、その行動の全ての責任をギルドが負う事になる。そして同時に、これを持つ者がギルドの全面的なバックアップを受けている事を証明する物でもあるのだ。


「何ぃ!?」「馬鹿な、何かの間違いでは!?」「こんな奴にお墨付きだと!?」


 回りの騎士達がざわめき出す。

 これを持っている人物を不当に拘束することは出来ない。やりようによっては国王への謁見さえ可能にするので、迂闊に扱えば非常に面倒くさい事になってしまうからだ。

 

「ちっ! ……もういい、行くぞお前ら!!」 


 リーダー格らしき騎士が舌打ちを鳴らして引き上げて行く。その後を「待ってくださいよ、先輩!」等とのたまいながら騎士達が追う。

 残された私は大きく溜め息をついてから書状を懐に入れた。


 これが私の『奥の手』、三級向けの依頼を請ける代わりに強請ったものだ。

 ……通常、お墨付きは有力チームのリーダーとか、アル・ハッドのような段持ちに与えられるものだ。しがない四級ハンターでしかない私が持てるようなものでは無い。

 しかしどんな物にも抜け穴はある。それが書面の端に記載された「但しノヴェンバー市内に在住時のみ保障」と言う一文だ。

 正式なお墨付きは世界中どこのギルドでも効果を発揮するが、私が持つこれはノヴェンバーでしか効力が無い。しかも一度市内を出てしまえば自動的に消滅するらしい。

 聞けば大きな仕事を請け負ったチームなどに自由な裁量を取らせるよう、一時的に与えられる使い捨てのものだとか。通りであっさり条件を呑んだ訳だ。


「まあ、使えるなら別にいいけど」


 さて買い物を続けるとしよう。

 足りない物はたくさんあるんだ、時間は有効に使わねば……




────────────────────────────────────────




「隊長、よろしいんですか!? 確か関所からは『最優先排除対象』と言う連絡が……」

「馬鹿者、お墨付きに下手に手を出せばこちらが火傷では済まなくなる。

 ……それより奴から目を離すな。奴の行動を交代で見張るんだ」

「どう言うことですか?」

「いいか、今の奴は支部長のお墨付きだ。と、言うことは奴がしでかした罪は支部長の罪になる。大失点だ、失脚どころでは済まないだろう?」

「……冤罪を仕込む、と?」

「そんなことをしたらこちらが危うくなるだろうが! あくまで奴が罪を犯すのを待つだけだ! ……まあ、その過程でチンピラに絡まれたりするのもあるかもしれんが」

「世間ではそれを仕込みと言うのでは?」

「あくまで可能性だ、何が起こるかは判らんがな。さて警邏の続きと行こうか、市民の安全を守るのも騎士の務めだからな」

「そうですね。……この街の平和を守っているのはハンターじゃない、俺達なんだ。平民上がりの蛮族紛いに負けるわけにはいかないんだ。恨むなよ、色男さんよ……」




────────────────────────────────────────




 ノヴェンバーから半日ほど離れた場所にある開拓地。

 開墾によって元々此処に広がっていた広大な森は徐々に切り崩され、今や猫の額ほどの森が畑の真ん中にポツンと取り残されるのみ。

 モンスターは自然が強く残る場所を好むため、こう言う開発された場所で見掛けることは無いのだが、ごく稀に自然発生したモンスターが住み着くことがある。

 今回も恐らくその類いだろう、と言うのがギルドの予想だった。

 ただしその場合は発生したモンスターが十分なマナを獲得出来ずに弱体化しているのが通例で、事実10メートル未満という大きさしかない(・・・・)ので本来の評価ではなく、危険度『低』寄りの『中』と言う中途半端な評価に落ち着いている。

 ならば何故、ネデューとゴンは依頼を失敗したのか?


 その答えが今、ユウトの目前で展開されていた。


「くっ、この!!」


 苛立ちと焦りでぶれる狙いを強引に修正、当たれと願って放たれた四本目(・・・)の矢は、標的の側面を極僅かに削るだけに終わった。

 精々五、六メートルあるかないかの、証言よりも更に小型なそのムカデは、証言よりも遥かに俊敏な体躯をくねらせて、彼が設置した罠の隙間をするすると余裕で逃げ回る。

 ユウトが仕掛けた罠は粘着シート案から発展させたもので、トリモチを長めの棒切れに絡ませてから突き立てて林のように乱立させ、獲物を搦めとるのを狙った仕掛けだ。

 但し想定していたサイズは約9メートル、当然棒切れの間隔もそれに合わせてあった。


 それはつまり、この敵には全く通用しないと言うこと。


「畜生あいつら! このこと知ってて黙ってやがったな!?」


 二人組への恨み言を駄々漏れにしながら、ユウトは五発目(・・・)の弩を構える。

 毒を仕込んでいる暇など無い。縦横無尽に動き回るムカデの頭に狙いを定め、引き金を引く。放たれた矢は風を切り裂き、ムカデの頭部に吸い込まれて行くかと思われたが……


「くそっ、またか!!」


 ムカデが突然進行方向を変える。

 ただそれだけで必中の筈だった矢は標的を失い、空しく大地に突き立った。


 考えてみれば当たり前だ。ストックを追加して命中率を高めたとは言え、ユウト自身は初心者なのだ。罠で獲物の動きを止めると言う前提無くしてあの戦績は語れない。

 そもそもボウガンにせよ弓にせよ、動いている的に当てるのは至難の業。命中率を手数で補う戦い方をするからこそ、どうにか戦えているのが現状なのだ。


 だから─────


「避けるなこの野郎って、うげっ!? これで撃ち止めかよ!?」


 続けて放った弩が避けられたのを見るや背中に吊るした(・・・・)弩に手を伸ばし、予め用意しておいた(・・・・・・・)弩がそれで終わりだと知って狼狽えるユウト。

 彼のカード能力に掛けられた七枚制限、それを最大限活用する為に前日の内に実体化させておいた七丁の弩。今更再装填している暇は無い。

 残り一丁の弩を構え、殺虫剤のカードを鏃に結わえ、慎重に狙いを定める。

 現代風に改造されたボウガンに取り付けられた照準器の先で、メガセンティピードがユウトに向かって突進するのが見えた。囮に使った肉塊に見向きもしないのは、それが罠だと気付いているからだろうか?


「落ち着け、落ち着けよ……あんなにでかい的なんだ、当たらない筈が無い……」


 だが引き金は引かない。まだ早い。

 ユウトの腕前では当てられる間合いがそれほど広くないのだ。最後の一発を外さない為にも、もっと近づける必要があった。

 震えそうになる腕を無理矢理押さえ込み、深呼吸で乱れた息を整える。


「当たる、当たれ、当てろ……今!」


 真直ぐ突っ込んで来るムカデの牙をはっきり視認した瞬間、ユウトは引き金を引いた。

 ムカデが大きく頭を振る。己に向かって飛び込んで来る矢を避けようとしているのだろう。だが互いの顔が見えるほど極短い距離から放たれた矢を躱し切れず、鏃はムカデの右側面に突き立った。蟲の声とは思えぬ甲高い悲鳴が辺りに谺する。

 この機を逃さず、ユウトは即座にカードを実体化させた。ほんの一瞬のタイムラグを経て、鏃に結びつけられたカードが液体に変わる。


「■■■■■■■■■■■■!!!」


 耳障りな悲鳴を上げてのたうち回るメガセンティピード。ユウトは腰に下げた手斧を手に取り、止めを刺すべく走り寄る。


「これで、終わり─────ガッ!?」


 しかしそれはまだ早過ぎた。

 ムカデが突然のたうち回るのを止め、躯を大きく振り回す。手斧を振り上げていたユウトはそれをまともに喰らい、ボールのように弾き飛ばされた。

 良く見ればカードは完全に体内に打ち込まれておらず、毒の大部分はムカデの体表を濡らすに留まっていた。あれでは致命傷には程遠い。

 のたうち回っていたのは断末魔ではなく、刺激物を浴びたことによる苦悶だったのだ。


「グッ……ハァッ……」


 支度金の殆どを改造ボウガンに注ぎ込んだ上に手持ちの金を全て罠と毒に代えたため、ユウトは碌な防具を付けていなかった。幸い骨に異常は無いようだが、それでも日本にいた頃には経験の無い重傷である。

 打ち付けたのが利き腕側の脇腹だったのも拙かった。手斧を振りかざし、振り下ろす、その全ての行動に伴う激痛は到底無視出来るものではない。

 手斧を支えによろよろと立ち上がるユウト。そんな弱々しい姿に好機を見出したのか、メガセンティピードが大きく口を開けて襲い掛かる。

 毒を浴びた腹いせもあるのだろう、今までとは一線を画する鋭さを持った攻撃。しかしユウトはそれを躱す余裕が無い。受け止めようにも防御力皆無の装備では自殺行為だ。


「……ああ、これはもう駄目だな」


 元々この世界にいる事自体が奇跡なのだ。死んでいる筈の人間が本来の姿に戻るだけ、何も問題は無い。間近に迫ったムカデの大顎を目の当たりにしながら、ユウトは驚くほどあっさりと自分の死を受け入れた。


「そうでも無いぜ! はあっ!」

「そうだ、諦めるな! おりゃあああっ!!」

 

 だがそれは、ユウトの背後から突き出された槍によって阻まれた。

 予想外の攻撃を、それでも寸での所で避けたムカデを今度は巨大な戦斧が襲うが、再び身を捩らせたムカデには擦りもせずに地面を叩く。


「くぅううっ、相変わらずすばしっこい奴だぜ!」


 どこか軽薄な雰囲気を漂わせた軽装鎧の男が、大槍を突き出しながら悔しげに零す。


「今度は逃がさない……必ず仕留める!!」


 全身鎧とバケツ兜に身を包んだ大男が、巨大な戦斧を振りかぶって暑苦しく宣言する。


 そこに居たのはネデューとゴン。

 ギルドで話し掛けて来たあの二人組だった。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ