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上位互換!優秀なアンドロイド

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 ヨヒラが北の湖あたりに住んでから、一週間が経った。


 ヨヒラとは一日一回ほど顔を合わせており、ヨヒラの作った物や、建てた家を画像で見せてもらったり、自然のことについて話し合ったりしている。


 一緒にスローライフをする仲間がいるというのは思った以上に楽しいものだ。ヨヒラが来てくれてほんとに良かった。


 俺とはスローライフの考え方が違い、ヨヒラはSCエネルギーを使えるだけ使っている。そのおかげか、驚くことにもうすでに生活が安定している。


「使えるものがあるのに使わないなんて非効率なことはしません。限られたSCエネルギーをどう使うかを考えるというのも楽しいものです」


 とのことだ。なるほどなぁ…


「ここは未開の惑星ゆえ、無限にSCエネルギーが使えるわけではないです。多少使った所で、私は充分スローライフだと思いますけどね」


 とも言われた。うんうん、分かる。言いたいことは分かるんだよ。考え方は人それぞれだよね。


 でも、俺はなるべく便利すぎるものを使わずに日々を過ごしたいのだ。


 今の時代、技術が進歩しすぎて不便なことを探すほうが難しい。だから、不便を楽しみ尽くすつもりだ。


 まあそんな考えのせいで、この一週間、俺の方はスローライフが全然順調に進んでいないのだが…


 まあ、心が折れるまでは頑張ろうと思う。


 俺がそういった考えを持っているとヨヒラに伝えると、ヨヒラは「陸地でぴちぴち跳ねる魚」を見るような目で見てきたりもしたが…


 まさか、俺が死にかけの魚扱いされているわけないよな!だって俺、魚じゃないし!一応この宇宙では貴重と言われる男ではあるし!はは、ははは……


 …ともかく、ヨヒラが優雅にスローライフを楽しんでいるようで何よりだ。



「ヨヒラの家を探索しようのコーナー!」


>なんか突然変なの始まったな

>配信始めるときは自己紹介くらいしろ

>まず自分の生活を安定させて


「えー、今日はヨヒラから配信許可を取れたので、ヨヒラが建てた自慢の家を紹介しようと思います」


>今ちらっと見えた外観だけでもうすごい

>まだ来てから一週間しか経ってないのに…

>さてどんな家を建てたのか…お手並み拝見といきますか


「まずは軽く外装から見ていこうか。これが、ヨヒラが建てた家です!どうぞ!」


>すげええええ

>これが趣深いってやつか…

>湖と家がマッチしてて凄い!

>ひろーい!


 ヨヒラの湖のほとりに建てた家は周辺の木を使った木造建築で、少し青みがかった屋根を持つかなり大きい家だ。見た目は和風で、家の周りには自然が豊かに広がっている。


 綺麗な湖とも見事に調和し、その家にはどこかほっとするような、温かくも優しい空気が感じられる。


 うん、素直にすごいわ。SCエネルギーを使ったとはいえ、センスとこだわりが無いとこうはならないだろう。


「入口には広い庭と、横には作業場と…あれは肉の解体場かな?木材置き場まであるじゃん!ちょっといろいろありすぎだろ」


>ヨヒラさんとても優秀ですね

>あなたとの差が凄い

>これが本当のスローライフ、ただ男が悪戦苦闘している姿をみるだけじゃなかったんだ!


 うるせぇな!俺のことは良いんだよ!俺もこんなに自分ができないとは思わなかったよ!スローライフって思っているより難しいんだぞ!


「庭はまだ未完成らしいけど、花壇と小さい木とかはもう植えてるみたいだね。もうこの時点で、生活にゆとりがあるのが伝わってくるな。よし、じゃあ家の中も見ていきますか!」


>わくわく

>楽しみ

>庭なんて面倒だと思ってたけど、見てると私も作りたくなってきた


「おおーっ…!」


 玄関のドアを開けると、そこには開放的な空間が広がっていた。


 キッチンとバスルーム、リビングとダイニングが一体化したスペースがあり、そのすべての場所に内装がきちんと整えられていた。おそらく手作りであろう木材の家具が充実していて、どこか温もりを感じさせる。


 窓が全体的に大きく作られているので、外の景色を見渡すことができるのも良いポイントだ。


>はえーすっごい

>主とは違ってちゃんとベッドルームもある

>あなたとは違って、キッチンとかトイレ風呂なんかもしっかりあるね

>あなたの家とは違って、この家なら住みたい!


「おまえら過去のこといちいちうるさいぞ!もっと俺のこと大事に扱え!ほら!貴重な男だぞ!」


>だって…ねぇ…

>宇宙一のチョロい男に気なんて使うやついる?

>ばーかばーかwww


「けっ!まあいいか、どうせモテない奴らが騒いでるだけだろうしな」


>言ってはいけないことを…

>そこの小僧。地獄を見せてやろうか?

>はい、地雷踏みました~。もし私たちの前に現れたら、干からびるまで搾り取りますね♡


「おっと、冗談冗談。ね、本気にするなよ、もう一度言うけど、冗談だから本気にはするなよ?な?……と、いうことで、次見ていきますかね」


>許さない

>逃さない

>ちょっとゆっくり私たちとお話しましょうね~


 …やはりコイツら、俺には当たりが強いな。こういうやり取りしていると、ほんとに俺が貴重な男なのか、一瞬わからなくなる。


「では、気を取り直して…おお!暖炉があるよ!暖炉ってロマンがあるよな!」


>そっか、ここだと部屋に「自動気温調節機能」はないのか

>暖炉…へぇ、そういうのもあるのか

>暖炉があると部屋がおしゃれに見える法則!


「お、この横から地下に行けるっぽいな、よし!ちょっと行ってみるか。階段を降りてっと…おお!ここは…倉庫になってるのか、もうすでにいっぱい置いてあるな」


>何度も言うがすごいな

>地下室までつくったのか

>なんか物騒なものが置いてありますねぇ…


「バカデカい戦斧みたいなのが何種類も壁に立てかけてあるんだけど…」


>斧持ちすぎじゃない?壁一面斧だらけじゃんwww

>怖い…

>もしかして斧集めが趣味?それってなんて蛮族?

>たまにそういう変な趣味持つ女いるよな

>あの背中にしょってるバカでかい斧って、もしかしてただの趣味なのか?


「ま、まあ、これでだいたい見終わったかな。いやぁ…すごい家だったな。では最後に、これを建てた匠であるヨヒラ先生にインタビューして終わりましょうか。ヨヒラ先生~」


「はい、この家を作ったヨヒラです」


 俺がそう呼ぶと、近くで待機していたヨヒラがすぐにやってきた。


>急にレポーターぶるな

>ヨヒラさん心なしかドヤ顔で草。可愛いな

>紹介されて嬉しかったんだろうなwww

>大絶賛だったもんな


「この家はまだ未完成なんですよね?」


「はい。まだ最低限の施設を建てたばかりなので、五割の出来といったところでしょうか。今はウッドデッキを制作中です」


>五割の出来じゃない件について

>この倍すごくなるってこと?

>想像できない


「では、この家を作るときに一番気をつけたことは何でしょうか?」


「そうですね、この美しい湖の景観を壊さないようにしたことでしょうか。テーマは自然との調和。そのために地産地消を意識し、この惑星にあるものだけを材料に家や家具などを作ったこともこだわったポイントです。上手く出来たと我ながら思っています」


「アンドロイドというのは娯楽など、何かを生み出すのが苦手という認識があるのですが、どうしてここまで見事な建物が作れたのですか?」


「確かに私たちは何かを新しく生み出すのは苦手ですが、真似をすることは出来ます。私が良いと思った既存のデザインを真似て、組み合わせて作成しました」


「なるほど〜。そういえば気になったのですが、あの大量の斧は何に使うのですか?」


「もちろん、悪いことをした人間の首を刈り取るためのものですよ。」


「えっ?」


 一瞬、空気がピシリと固まった。


「私のこだわりで、人の首を切るたびに斧を新調しているのです。だから、あの本数分──ふふっ。なんて、冗談ですよ。……あら?このジョーク。アンドロイド仲間には大ウケだったのですが…おかしいですね?」


「いや、笑えねえよ!全く冗談に聞こえなかったもん!」


>背筋がゾクッとしたわ…

>淡々と言うから怖かった…

>アンドロイドは、ジョークのセンスがないのか


「まあ、本当の理由はただの趣味です。あの原始的なデザインが好きなのです」


 冗談にしろ趣味にしろ、どちらにせよ物騒だな。


「…では最後になにか一言お願いします」


「視聴者の皆様。私の建てた家を評価してくださりありがとうございます。今後は湖周りで大庭園を作ることを目標に活動していきますので、よろしくお願いします」


「ありがとうございましたー……ということで、今日の配信はここで終わりますか。おつー」


>乙

>おつかれー

>カツカレー

>今日も面白かった

>もう優秀なヨヒラさんだけで良いのでは?

>もっとこれからヨヒラ様を配信に出して

>ヨヒラ様に斧で首を刈られたい


 なんか、ヨヒラに変なファンがついてるな…まあヨヒラは不思議な魅力があるからわからなくはないが…


 お前ら、一応俺の配信だよ?分かってる?


 ふう。でも、今日の配信は楽しかったな。今日はいつもとちょっと違った配信だったおかげか、いつもより人がたくさん来ていた。ヨヒラさえ良ければ今後もたまに配信に出てもらいたい。


 もちろん、俺の人気を脅かさないくらいにな!


次回予告:猿と激しいダンスバトル!



次回予告:猿と激しいダンスバトル!

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