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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
2章 再スタート!

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閑話休題 毒花女達!

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。



トリカ視点 


 柄にもないことですが、ヒノキから再告白された日の夜、わたくしは家に帰ってフカフカのベッドの上でジタバタと悶えてしまいました。


 嬉しくて嬉しくて…どうしようもなかったのです。


 このわたくしが少女のような行動を取ることがあるなんて、思いもしませんでしたわ。


 今もスキップして家の中を走り回りたい気分。こんなに多幸感があるなんて、恋というものは恐ろしいですわね。


 さて、こういうどうしようもなく気持ちが高ぶった時は、歌を作るに限りますわ!


 この気持ちをうまく作詞作曲して伝えることが出来れば、わたくしはまた歌手として一段上のステージへ行けるでしょう。


 それに、こんなに幸せな気持ちを独占するなんてファンに申し訳ない。この気持ちをファンにもお裾分けしてあげなければ。


「ふふ、今なら最高傑作の歌が出来る気がしますわ!」


 見ていなさいわたくしの母。この歌であなたを吹き飛ばして差し上げますわ!


 …でも、今なら母が男にうつつを抜かすことも少しは理解できますわね。これだけ恋というものが素敵なのですから。


 まあ、あの女は恋ではなく、獣のような肉欲に体を突き動かされているだけでしょうが…


 ああ、いけないいけない。


 こんなに素敵な気持ちなのに、母のことを考えてしまったせいか、恋人をひけらかす悪い歌が出来そうになってしまいましたわ!


 …でもまあ、そんな悪い心でもわたくしの心の一部。この歌はこの歌で作りましょうか。


 甘く痺れるような恋の歌と、恋人をこれみよがしにひけらかす勝者の歌、二曲作ればいいだけですわ!


 少々大変ですが、今のわたくしならばやってやれないことはない。


 気合も十分!宇宙一の名曲を作りますわよ!


 ◆


「ふぅ。なんとか、大枠だけはできましたわね。気分がいいと、仕事がとても弾みますわ」


 わたくしの経験上、あまり根を詰めすぎても良いものができない。


 少しリラックスして、また夜に再度作詞作曲しましょうか。

 

 最近のリラックス方法は、ロイヤルを膝に乗せながら紅茶を嗜むことが多い。


「ロイヤル。おいで」


「なぁーご」


「よしよし。いい子ですわね」


 ロイヤルを飼ってから、気づいたことがある。


 わたくしは意外と動物が好きかもしれないということです。


 動物とは無縁な生活を今まで送っていたので、わたくしにそんな一面があるとは思いも寄りませんでした。


「なにか適当なおやつと紅茶をもってきてくれる?」


「…どうぞ。ごゆっくりお寛ろぎください」


 わたくしが一言命じれば、機械音声が流れるとともに、すぐに目の前に紅茶とおやつが出てくる。さらに、自動で部屋にリラックス効果のあるお香がたかれ、ゆったりとした音楽が流れだす。


 今日のお香はウッドオイル系の香りですか。良いですね。曲のチョイスもバッチリ。


 細かいことを言わなくても、わたくしのチップと連動して、今のわたくしの体調や精神状態を解析し、相性の良い香りや曲、紅茶やおやつなどを自動的に持ってきてくれる。


 やはり、技術は使ってこそですわね。


「ふふふ、紅茶が美味しいわ。ねぇロイヤル」


「なぁーご」


 仕事をした後、ロイヤルを撫でながら過ごすリラックスタイムは格別ですわね。


 さて、軽く一休みした所で、そろそろ仕事をしますかね。


 トレーニングに作詞作曲、各種連絡、新しい事業計画、ライブの演出計画、この惑星の観光地化計画などなど…やることはいくらでもあります。


 数日前にやっとあれも届いたことですし、今日は観光地化計画を進めましょうか。


 わたくしは最近この家に新しく作った部屋である、VTルーム、いわゆるバーチャルトリップルームへと足を運ぶ。


「いよいよ、明日お披露目ですわ」


 目の前にあるのは、バーチャルトリップが出来る機械、通称VTD。正式名称はハイ・ディメンション・バーチャルスペーストリップデバイスといいます。


 見た目はこの惑星フルールを小さくしたのとそっくりだ。


 オーダーメイドで注文し、わたくし自らが各種設定をしたので、なかなか時間がかかりましたわ。


 VTDも届いたことですし、この惑星を全てバーチャル上に再現する計画もやっと本格的に始められますわね。それに、この惑星から高次元バーチャルトリップすることも可能になりました。


 それは同時に、バーチャルトリップで他の惑星の観光地に出向いて、ライブをすることが可能になったということでもある。


 歌姫としての仕事の本格始動ですわね。腕がなりますわ!


 経営や企画もいいけれど、やはりわたくしが一番好きなのは歌。歌って歌って、ファンを魅了しまくって、稼ぎまくってやりますわ!


 恋も、仕事も、全てが順調。まあ、わたくしにかかれば当然ですわね!


 正直、恋の方は自分でも手応えはあった。最近は、ヒノキといい感じな甘い雰囲気になることが多かったからだ。


 わたくしの魅力があの鈍感なヒノキにもしっかり伝わったようで、一安心ですわね。

 

 ただ、立ち止まってはいけない。


 もう一人の恋人、セリからはヒノキを独占してやろうという強い意思が感じられる。


 目の前の幸せを享受(きょうじゅ)しているだけじゃ、あっという間にヒノキを独占されてしまうだろう。

 

 もっとヒノキをメロメロにしてやるために、わたくしが出来ることはなんでしょう?少し考えてみますか。


 おそらくヒノキは、結婚相手としては母性のある女が理想だ。


 あの男に、わたくしにもいっちょ前の母性があるというところを見せつけるのがいいかしら?


 でも、母性ねぇ…なんせわたくしはあの母親の一人娘。わたくしを溺愛しなかった母親の血が流れている。そんなわたくしに、母性があるところなんて見せつけられるかしら…


 …いや、血なんて関係ない!わたくしはわたくしだ!弱気になるな!


「わたくしは母とは違って、何人だって子供を愛してやりますわ!」


 自分を鼓舞するように、わたくしは無理やり口から言葉をひねり出した。



 …ん?この考え、なんだか…


 その突然口に出た言葉が、妙に頭に引っかかる。


 もしかして、わたくしは…


 なるほど、自分でも知りませんでした。わたくしが本能的にそんなことを思っていたなんて。


「子供が、欲しい。ヒノキとわたくしの子供。それが、強烈に欲しい」


 一度自覚してしまえば、何故今まで気がつかなかったのかと疑問に思うほど、自分の中にこの強烈な欲望は君臨している。


 何人でも子供が欲しい。十人でも百人でも千人でも欲しい。


 そして、全員平等にめちゃくちゃに愛してやりたいのだ。


 ヒノキとの子供なら、わたくしはいくらでも愛せそうだ。意外にも、わたくしにもあり余る母性が存在していたらしい。


 いや?もしやこの母性は、あなたと恋人になったからこそ新たに生まれたものなのでは?きっと、ヒノキという強烈なオスがと結ばれたから、わたくしのメスとしての本能が(うず)き、新たにこの気持ちが芽生えたのでしょう。


 ふふふ、面白いわ!流石は私が選んだ男ですわ!


 ヒノキから告白されて、人生最高の嬉しさだと思っていたが、そうではなかった。


 どうやら、わたくしの欲を完全に満足させるには恋人では不十分。まだまだ現状では道半ばだったらしい。


 だって、いくら恋人になろうと、ヒノキは子どもを作ろうとは思わないだろう。子供を生むのは結婚してから、愛する妻とともに一緒に育てるのが理想と以前言っていましたものね。


 それに、ヒノキは沢山子供が欲しいというタイプでは無い。理想は男の子と女の子が一人ずつと言っていたのも、以前聞いたことがある。


 これからの恋人生活を通して、わたくし達と結婚できるかどうかをゆっくりと考えるのでしょうね。


 ヒノキのことは愛していますが、あなたのそういう価値観はとっても面倒ですわね…


 まあ、いずれにしてもわたくしに出来ることをやっていくだけですわ。今までと変わらず、わたくしはあなたに自分の魅力をこれでもかとアピールしまくりましょう。


 ですが、ヒノキ。全てが今までと同じではありませんよ?


 わたくしは覚悟を決めました。あなたの子を生む覚悟です。あなたにも、それ相応の覚悟を持ってもらいます。


 まだまだ若いあなたには、覚悟を決めろというのは酷なことかもしれません。


 ですが、わたくしの恋人になったからには、なるべく早くに覚悟を決め、結論を出して欲しいところですわね。


 もし、若さゆえの過ちから、わたくしの思いもよらぬ方向に結論を出したとき、例えば、わたくしやセリを捨てるようなことがあれば…


 ふふふ、どうしてやろうかしら?


 まあ、そんなことになったら、あなたのあの部分をちょん切ってやりますけどね!裏切りだけは絶対に許しませんわ!


 一度わたくしを選んでしまったのですから、最後まで責任を取ってもらいますわよ。

 

 何はともあれ、わたくしに、新たな人生の目標ができた。

 

 目標が困難であればあるほど、輝きが増す女。それがわたくし。それがトリカという女の本質。わたくしの生き様ですわ!

 

 新たな目標をくれてありがとう。ヒノキ。人生をかけて、この目標を叶えさせてもらいます。


 新たな目標のために、あなたには無理やりでも変わってもらいますわ。


 わたくしは妖精女王。妖精とは無邪気で残酷な存在。


「わたくしの全てを賭けて、あなたの価値観をぶっ壊して差し上げますわ!」

 

 妖精のように、楽しげに、無邪気に、残酷にね。


 何度も言いますが、最後に勝つのはわたくしです。


 では、ごきげんよう。


ウツギ視点


「男から告白されるなんて…良いなぁ!ずるいずるい!ずるーい!うちだっていずれ…いや!恋人になりたいわけじゃないけど!ズルいもんはズルい!…まあ、こういう時はとりあえず食べよう!幸いお酒はいっぱいある!食べ物もいっぱいだ。モグちゃん!今夜は一緒に飲み明かそうね!」


「がうう!」


「ううう、独り身はやっぱりさみしい。世の中のカップルなんて全て滅べばいいのに!カップルなんてくそくらえだ!ねぇ、モグちゃん?」


「がぅ…」


 ウツギとモグちゃんは、二人で傷を舐め合うように、酔っ払いながらお酒と食事を嗜んでいた。


次回予告:掲示板回

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