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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
2章 再スタート!

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閑話休題 アンドロイドの胸の内

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。



ヨヒラ視点  


 からっとした風がふき、青葉若葉が元気に茂っている季節。


 最近暑くなってきましたね。


 皆様、御機嫌よう。アンドロイドのヨヒラです。私は今日もいつもどおり、楽しく自然と戯れています。


 さて、数日前、少しだけ御主人様たちの恋模様が動き出しました。そのことについて少し語らせてください。


 先日の再告白は、私の協力もあり、無事成功しました。


 まあ正直、あの二人が御主人様のことが好きなのは明白。恋の機微について疎いアンドロイドでも丸わかりでした。


 よって、後は御主人様がどう決断するかということだけでした。


 御主人様には恋人は一人に選ばなければならないという謎の凝り固まった価値観があります。


 そのせいで、恋人が二人も恋人が出来たことに困惑したり、一人に選ばなければいけないという苦悩をしたりしていました。


 御主人様はシンプルな思考が好きなのにもかかわらず、恋愛に関しては何故かやたら複雑に考えるクセのようなものがあるのです。好きなら好き、嫌いなら嫌いで良いじゃありませんか?


 いつもはとても行動的な御主人様が、恋愛が関わると人が変わったように慎重になる。恋愛の機微に疎いアンドロイドには理解できない感情ですね。


 バラの花を育てる期間を悩むタイムリミットにして、このような大袈裟なイベントをしなければ動けなかったのも、その思考のクセのせいでしょう。


 まあ、あの三人は放って置いてもどうにかうまくやってしまうでしょう。


 個人的には、ウツギ様に頑張ってもらい、あの三人の関係をめちゃくちゃにしてくれれば面白そうだと思うのですが…

 

 まあ、現状だと望み薄ですね。ウツギ様もたまに御主人様を誘惑してからかうようになりましたが、あくまで女性としての魅力の再認識のためにやっているだけでしょうしね。


 個人的にはもっと修羅場が見たいのですが…まあ、アンドロイドが人間同士の関係に口を出すのは褒められた行為ではないので、大人しく鑑賞するだけにしておきましょう。


 さて、話は変わり、恋についてもう一つ語りたいことがあります。


 アンドロイドは決して恋をしない。それは、アンドロイドがそもそも恋愛するように作られていないので当たり前のことです。


 ですが、そんな私は今、恋によく似た感情を持っているのです。


「ああ、私はあなたに夢中です。未知の生物、閣下」


 閣下という未知の生物、面白すぎます!未知というのはこんなにもワクワクすることだったのですね!


 閣下を観察しているだけで、私の知識欲が満たされまくる。日々欠かさず閣下の観察日記をつけていますが、それが楽しくてしかたありません!


 私は閣下という未知の生物が出現してから、技術を惜しまず、全力で生態を調査しました。


 細胞の一つ一つ、分子の一つ一つ、原子や素粒子まで隅々まで調べ、この未知の生物を全て丸裸にするつもりでやりました。


 ただ、この調査結果がどう考えてもおかしいのです。


【ごく普通の生物】


 そう結果が出たのですから。


 そんな事ありえません!なぜなら、普通の生物がSCエネルギーなんて使えるわけがないのですから!


 明らかに閣下は普通の生物では無いのに、出た結果は普通の生物。


 これが示すことは…


 今の技術では、閣下を調べ尽くすことが出来ないということでは?


 そんなまさかとは何度も思いましたが、そうでなければこの結果と辻褄が合いません。


 もうこれ以上発展しようがないほど技術は発展したというのがこの宇宙の通説なのに、まさかのこの結果。まだ技術には発展の余地があると判明し、私は衝撃を隠しきれませんでした。


 技術の粋を集めて作られたアンドロイドが、技術的にわからない事があるなんて経験は、もちろん初めてのことです。


 初めての経験に遭遇した私は、分からないことがあるというだけなのにも関わらず、想像以上の大きな不安感に襲われました。


 ですが、それと同時に、どうしようもないほどのワクワクも押し寄せてきたのです。


 この結果は、技術の最先端であり、最高傑作とも言われているアンドロイドという存在が、まだ進化する可能性があると示してもいるのですから!


 私は進化したい。


 その時、そんな感情が私の中に新たに生まれました。


 きっと、御主人様などの活躍を観察して、ぐんぐんと変化し成長する人間を目の当たりにしたことで、私もそう思ったのでしょう。以前は理解できませんでしたが、成長する人間はとても魅力的だと知ってしまいましたから。


 だから、私は毎日閣下を研究し、観察しています。閣下の未知を調べ尽くした後に、きっとアンドロイドがもっと進化する未来があると信じて。


 身を焦がすほどの探求欲。これが、人間がよく言っている恋というものでしょうか?閣下は私のことを明らかに避けているので、これはいわゆる片思いというものでしょうか?

 

 もしこれが恋だとするなら、恋というのは苦しくも楽しいですね。


 これが恋なら、アンドロイドだからと言い訳し、恋の機微に疎いままなのはよろしくない。なんとかアップデートしなければ。


 何度も悩んで、回り道して、再告白を成功させた御主人様に習って、私もゆっくり自分らしく頑張っていきましょうか。


「さて、そろそろ日課の観察日記をつけますかね」


 アンドロイドには高性能な頭脳と、沢山のナノマシンを自分の目や耳のように扱う技術があるのです。それを使って、私はこの惑星に住む人達の観察日記をつけています。


 例えば、今現在の御主人様は、新しいトレーニングを試しています。


 リミッター解除を覚えてから、少し筋トレの内容を見直す必要が出てきた御主人様。


 効率を追い求めつつも、遊び心を忘れない御主人様は、現在ユニークな筋トレをしています。


「超高重力空間でラジオ体操第百?ですか…ふふふ、相変わらずおもしろいことをしますね」


 どうやらオリジナルの体操を百通り作り出したようです。

 

 軽やかな音楽に合わせて奇妙な動きをする御主人様は、正直見ていて少し滑稽ではあります。それに、百作ったのにもかかわらず、負荷が強すぎて二十くらいまでしか現状は出来ていませんしね。


 まあ、いずれ百まで出来るようになるでしょう。御主人様の成長速度は素晴らしいですからね。成長を期待しています。御主人様。


 しかし冷静に分析すると、意外と理にかなった筋トレ方法であることがわかりますね。ラジオ体操という変わったネーミング、独特な修行方法…


 御主人様の発想力は一体どこから湧き出てくるのでしょうね?これもある意味、閣下と同じくらい未知ですね。

 

 さて、他の人は…


「セリ様はいつもと変わらない生活。ただ、少し散歩の回数が増えましたね。閣下が散歩が好きだからでしょう。相変わらずそこまで変化のない生活ですが、安定しているともいえますね」

 

「トリカ様は今、歌の練習中ですね。相変わらず自分の才能を伸ばすことに余念がありませんね。そういえば、秘密の電撃ライブが数日中にあるんでしたね。実は、トリカ様の歌はアンドロイドにもファンが多いのですよ」


「ウツギ様は…おや?意外な趣味を始めましたね…創作ですか。私室で隠れるように物語を書いていますね。意外と筆が速い。このスピードで書けるということは、おそらく過去に創作を(たしな)んでいたのでしょう。『誰にも見せない。だから…いいよね?うん』とブツブツと自問自答していますね。内容は…おっと、なるほど。そういう願望があったのですか。秘めたる欲を覗き見てしまいました。ふふふ」


 一通り人間観察日記を書いたところで、私のナノマシンから異常を検知しました。


 どうやら、招かれざる厄介なお客様がこの惑星に来たようです。


 ナノマシンによると、今回の敵は人間ではないとのこと。


 今回の異常を感知した原因は、SCエネルギーを食べる生き物、”エイリアン”


 その卵がこの惑星に飛来しました。


 とうとう、エイリアンがこの惑星にも目をつけましたか…面倒ですね。仕事をしないといけないじゃないですか。


 私は自然と戯れることや、閣下の観察や御主人様達の観察で忙しいのに…


 はぁ…まあ、来てしまったものは仕方ありませんね…


「覚悟しろよエイリアン(宇宙のゴミ)。この惑星に来たことを、心の底から後悔させてやりましょう」


 私はこの惑星での生活がとても気に入っているのです。平穏な生活の邪魔をする野暮な生物は、人知れず私の斧のサビになってもらいましょう。


 では、皆様。御機嫌よう。

次回予告:セリの望み

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