第一階層!攻略法を模索!
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とりあえず、目に見えるものを片っ端から鑑定だ!
まずはこのスーツを鑑定。
【戦闘用スーツ。現在のダメージ:95/100 ダメージを受けると、ダメージに応じて服が透明になる】
なるほど、要するに今俺は五ダメージ、言い換えると、五パーセントのダメージを受けているということか。
五パーでこの服の透明具合なら、大体七割くらいダメージを受ければ、かなり際どいことになりそうだと予想できる。
なるべく体力は常に五十は残しておこう。体力管理でミスらないように、気を付けて戦わなければ。
子どもでも見られるような健全な配信のため、頑張るぞ!
次に、このバングルを鑑定。
【宇宙王道四種武器。今は液状化して保存中。いつでも取り出し可能。ただし、これを使った場合、回復できない90のダメージを受ける】
「…うん、これは使わないだろうな。リスクがデカすぎる」
>王道四種武器強いよ!
>こういうのは初手ブッパがおすすめです!
>大丈夫!90ダメージくらい屁でもないって!
>怖いのは最初だけだから!さきっちょだけ?ね?いいでしょ?
絶対に使いません!九十ダメージも受けたら、もうほぼ裸じゃん!
俺はR-18配信をするつもりはない。
おそらく、九十ダメージを受けても大事な部分は隠れる仕様になっていると思うが、そんなのは希望的予想でしか無いからな。
危ない橋はなるべくなら渡りたくない。
さて、今鑑定したのは右手のバングルだ。左手にも同じ様なバングルが装着されている。一応、それも鑑定しておこう。
【収納バングル。これにアイテムを収納できる】
「あぶねー。めっちゃ有用じゃん!鑑定しておいて良かったー」
正直、右手のバングルが使えないものだったので、左手のバングルもどうせ使えないものだという思い込みがあった。
手間だと思っても、面倒くさがらず鑑定は細かくやる。そのことはしっかり心に刻みつけておこう。
じゃあ、これを使って壁に立てかけてある武器の数々をここに収納しようか。鑑定の示す結果が正しいのならば、これは超収納リュックと同じ様なものなのだろう。
おっと。その前に、忘れず武器も鑑定。呪いの武器とかあるかもしれないしな。
…うん、全部普通の武器だ。どれもヨヒラ作らしい。
俺のためにわざわざこんなに沢山武器を作ってくれたのか!ありがたいな。
俺は筋肉信者なので、普段はあまり武器は使わない。でも、今回はゲームと割り切ってありがたく使わせてもらいますかね。
俺は左手のバングルを使い、全ての武器を収納した。
「よーし!鑑定忘れはないな!大体の仕様は理解したし、行くぞ!」
俺はいかにも人工的な扉の前まで来る。
扉にはこの部屋のクリア条件が書かれていた。
【第一階層:クリア条件。敵を100体倒せ】
なるほど。雑魚を沢山倒す系なのかな。了解。
今度は不意打ちにも対処できるよう、しっかり気をつけながら扉を開ける。すると…
「まぶしっ。ここは…?」
俺の目の前には、広々とした草原地帯が広がっていた。
洞窟の暗さからは考えられない明るさに、少し面食らってしまった。
>おおお!洞窟内の景色が一変した!凄い!
>でも、これあれだわ、よく見れば広く見えるだけだ
>あーなるほどね。壁や天井に映像を流して奥行きがあるように見せてるのね
>トリカ様が洞窟を大規模に改造したのか…派手にやったなあ
あれだな。こうも扉を開けて景色が変わると、本格的にダンジョンみたいだな。
と、感心している場合じゃない!敵に見つかった!
今回の敵は…棍棒を持ったゴブリンみたいなやつが数体と、ツバメみたいな小型の鳥の群れ、小さいネズミの群れだ。
そいつらが俺を視認するや、全員一斉に襲ってきた。
弱そうな見た目の割に、結構速い!
回避!
俺はとっさに横っ飛びして回避する。
「あぶねー!なんとか紙一重で避けられたわ。コイツラ見た目は雑魚敵なのに、多分雑魚じゃないぞ!」
>棍棒の振るスピードから推測すると、攻撃の威力はなかなか高そうだ
>ゴブリンのくせに身のこなしが軽いな
>一度わざとダメージを食らってみないか?
>鑑定しないの?
そうだ!鑑定だ!
【グラスゴブリン。どの能力も平均的なモンスター。一分に一体新たに出現する】
【グラススワロー。上空からの不意打ちが得意。一分に一体新たに出現する】
【グラスマウス。噛まれると軽度な毒を受ける。一分に一体新たに出現する】
思ったほど情報は出なかったが、少しは参考になる。
「これは、さっさと倒さないと、どんどん敵が溢れてきそうだな。さて、どう対処するか…」
じゃあ、とりあえず、平均的な能力というあのゴブリンをダメージ覚悟で殴ってみるか。
俺はゴブリンに近づき、力を込めてぶん殴ってみた。
当たった!が、クリーンヒットではない。思ったよりも相手が身軽なせいか、回避されて急所から外れたようだ。
クリーンヒットではないにしろ、結構な力で殴ったはずだが、倒せてはいない。
そして、今の俺は無計画に敵に突っ込んだため、隙だらけ。
足元のネズミと、空のツバメに体当たりをされてしまった。
「うぐっ…痛くはないけど…衝撃自体はしっかりあるのか。面倒だな」
ダメージに応じた分だけ、しっかり俺の服が透明になった。
この戦いは、足元と空にも注意しなければいけない。思っているより骨が折れるな。
>良いぞ!グラスマウス!やれ!
>闘技場時代を思い出すな…
>毒でどんどん透明になっていくの、とてもえっちです
>なぞなぞです。エッチになればなるほど固くなるものってなーんだ?答えはちんち…
>ふぅ…
うん。戦いの時、視聴者は全く頼りにならない!なんなら邪魔だ!コメントを非表示に設定!
なんとか自分で戦い方を模索しなければ。
一旦離れてポーションを飲みつつ、服を鑑定してどれだけダメージを受けたか確認しよう。
現実をゲームのように再現しているからか、チップを使えば戦闘のログが見られるんだよね。ありがたいことだ。
ということで…ログを表示!
えっと…ツバメの攻撃は三ダメージ程度か。威力は弱いな。
ネズミは…うわ!毒と合わせて合計十ダメージも受けてるじゃん!
ネズミの攻撃は優先して回避しなきゃな。
ついでにゴブリンを鑑定して、どれくらいダメージを与えられたのかを見られないか確認。
おっ、鑑定便利だな。やろうと思えば敵の体力も見れるのね。
ダメージは…残り体力二割か。これならクリーンヒットすれば倒せそうだ。
よし!大体仕様はわかった。
ツバメを完全に無視し、ネズミとゴブリンに集中して倒せば、武器を使わなくともクリア自体は出来そうだ。
ただ、そんな攻略は美しくないよな?
「よし!せっかくのゲームだ。完璧な攻略法を見つけるぞ!まずは、いろいろな武器を試してみるか!」
手始めにヨヒラ作の武器のうち、一番シンプルなものを選ぶ。
「じゃじゃーん!ひのきのぼう!」
取り出したのは長い木の棍棒。
多分、材質はひのきではない。ノリで言っただけだ。
木の加工方法に何か秘密があるのか、鉄と同じくらい固そうで頑丈そうだ。それなのに軽い。
これでまずは戦ってみよう。
ターゲットはダメージを一切受けていないゴブリン。
俺はゴブリンの頭に向かって棍棒を振り回す。
棍棒のお陰でリーチが長くなり、ゴブリンを攻撃するのがさっきより簡単だ。
ヒット!
攻撃が当たると、ゴブリンが霧のように消えた。
よし!一撃!
さっさとゴブリンを倒せると、足元のネズミや空中のツバメにも対応しやすい。
足でネズミを蹴りつつ、飛んでくるツバメを棍棒で打ち返す。
ホームラン!
うし!武器を使えばこの階層は簡単そうだ。まあ、最初の階層だからな。
序盤から難しすぎるということはないようで安心した。
これくらいの難易度なら、少しなら余裕がある。
それならせっかくだし、いろいろな武器の慣らしといきますかね!
次回予告:ヒノキの究極奥義の解禁!




