掘削白虎!ペットブーム到来!
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「ういーす。断崖絶壁ムキムキイケメンのヒノキです」
>告知してから始めろ
>今日も楽しみ
>自己紹介が適当すぎるwwwなんだよ断崖絶壁ってwww
「わん!」
「おーくすねも元気いっぱいだな!じゃあ、今日はもう一度この周辺の探索でもしますかね。クスネがいると、まだ見たことのない何かが見つかる気がするしな」
今回はチップで目を強化して、より深く探索しよう。
>またクスネきゅんだよりの探索するの?
>探索楽しみ
>この惑星の人達もペット飼い始めて賑やかになってきたなぁ…
「確かに、ヨヒラはキュキュ、セリは閣下、トリカはロイヤル、俺はクスネを飼い始めたから、最近はもっぱらこの惑星にペットブームが来てるな」
>キュキュたんまじキュート。イルカ最強!
>ロイヤル様も素敵。やっぱにゃんこよ
>閣下!未知こそ宇宙最高の娯楽!
>くすねきゅんも可愛くて好き!わんこ最強!
視聴者も各々好きな動物が別れているようだ。みんな魅力的でいいよね。
「もしや、この惑星でペットを飼ってないのはウツギだけか?」
>ウツギも一昨日の配信で動物と仲良くなってた
>あの野郎も最近ペット飼ったよー
>あのコ、イケメンで可愛いから好き
「お、そうなのか!最近配信外でやることが多くて、ウツギの配信を見れてなかったから知らなかったわ。どんなペットなのかめっちゃ気になる!」
最近はある秘密の計画を進めていたり、ある人の誕生日のサプライズの準備でプレゼントを用意したり、バカ恐竜と毎日闘ったりと、配信外でも忙しく過ごしている。
>見に行く?
>出会いが結構面白かったから配信見るのオススメ
>ウツギは今も絶賛配信中だね
>探索をやめて見に行く配信でも良いよ
「そうだなあ…それもありだけど、南の方は強い生物が多いからな。もうちょっと強くなってから行こうと思ってるんだよね。だから、会うのはお預けだな。まあ、しばらくは忙しいから、お前らがコメントでどんなペットでどんな出会いだったか教えてくれ」
>ウツギは出会いを喋ってほしそうじゃなかったけど、頼まれたのなら喋っちゃいますか~
>その言葉を待ってた
>実は口止めされてるけど、喋っちゃうぜ!
>こっちも話したくてウズウズしてたんだ!
口止め?ペットとの出会いに口止めとは、どういうことだ?
「ちょっと待ちなさい視聴者共!黙っておいてって言ったでしょ!」
うわ!びっくりした!
どうやら、突然ウツギがテレポートで飛んできたようだ。
俺の視聴者を必死に捲し立てて口止めしている。
>ウツギさん必死で草www
>行動が速いwww
>サイキックなんてゴミ能力だけど、テレポートできるのだけは羨ましい
>こいつ、地味にヒノキの配信を欠かさず見てるよな
そのウツギの側に、一匹の動物。一緒にテレポートで飛んできたのだろう。そのコが新しく飼うことにしたペットかな?
あれは…ホワイトタイガー?
「よお、ウツギ。久しぶりだな。で、それがウツギの飼ってるペット?格好いいな!」
俺がじっくり観察しようとすると、その大きなホワイトタイガーは俺の視線から隠れる様に素早く移動し、ウツギの足元にピッタリとくっついて離れない。
どうやら、恥ずかしがり屋らしい。
「そうでしょ!モグちゃんは宇宙一イケメンで可愛いのよ!モグちゃん?挨拶して」
「がぅぅ」
渋々ウツギの足元からちょっとだけ顔を出して、か細く鳴き声を発する。
モグちゃんと名付けられたそのホワイトタイガーは、全身がなかなかのムキムキ具合で、体もそこそこ大きい。見た目だけならとても強そうだ。
>鳴き声がか細いwww
>見た目とのギャップが…顔はイケメンなのにさぁ…
>体が大きいせいで、全然隠れられてないのおもろいwww
「モグちゃんっていうのか…確かにイケメンで可愛いな!よろしくな、モグちゃん!」
俺はせっかくだから握手しようと、モグちゃんに近づこうとする。
「がぅ」
すると、モグちゃんは目にも止まらぬ速さで穴を掘って、地面の深くに隠れてしまった。
ああ、もっとモグちゃんと交流したかったのに…
>モグちゃんかわいい
>めっちゃ素早いwww
>照れ屋すぎて草
>モグちゃんの逃げるリアクションがなかなか面白いから、もっとヒノキにはモグちゃんをいじめてほしい
「こうやって穴を掘るのが得意だからモグちゃんって名前なのよ。モグちゃんは逃げ足の速さだけで、あの南の過酷な土地を生き抜いてきたのよ!」
「ムキムキで強そうなのに、あんまり戦わないんだな」
「実際に戦っているところは見たこと無いわ!でも、いざ戦ったら強いって、うちは信じることにしてる。ねぇモグちゃん!」
「…がぅ」
地面深くからモグちゃんの鳴き声がかすかに聞こえてきた。かわいいな。
「で、なんでモグちゃんとの出会いを口止めしてたの?」
俺は気になっていたことを質問する。
「…ちっ。有耶無耶になって忘れてくれればよかったのに…」
「どうせ視聴者にバラされるんだから、今言っちゃおうぜ!」
「…しかたないか。まあいいわ!あなたの言う通り、配信を見たらどうせバレちゃうしね」
諦めたウツギは、ぽつりぽつりと語り始めた。
「モグちゃんと出会ったのは、うちが仕留めたゾウの肉を一頭丸々やけ食いしていたときよ…」
ちょ、ちょっとまって。
導入からいきなり突っ込みたいところが出てきたのだが…ウツギって普段からゾウみたいなデカい生物を丸焼きにして食べてるの?それにやけ食い?
そんな俺の脳内なんて知らないウツギは、止まらずにどんどん語り始める。
「その時に、よだれを垂らしながら地面からひょっこりやってきたのがモグちゃんよ。モグちゃんは初対面でいきなりうちにすりすりして、肉のおねだりしてきたわ」
へぇ…
「でもね、うちはその時あまりお裾分けする気分じゃなかったの。だから、最初は食べ残しの骨しかあげなかったわ。それでも、モグちゃんは嬉しそうにバリバリと骨を食べてたわ。そんな様子を見てたら、ちょっとずつ愛着がわいてきてね…」
モグちゃん、骨をバリバリ食べる顎の力があるのか…さすがホワイトタイガーだ。
「試しに焼いた肉もあげてみたら、とっても嬉しそうに食べるのよ!どうやらモグちゃんは食べるのが大好きみたいなの!食べることが大好きなのはうちと一緒。だから、つい嬉しくなって言っちゃったのよ。ウチと一緒に暮らさない?って」
確かに、自分の作ったものを嬉しそうに食べられるとこっちまで嬉しくなるよな。わかる。
「以上!出会いは終わり!これだけよ!」
>おい、色々説明を端折りすぎだぞ
>なんでやけ食いしてたかも話せ
>説明が明らかに足りませんよ!kwsk話せ!
確かに、この説明の中に、口止めするような恥ずかしいことなんてないよな?せっかくなら話してほしいな。
俺がもっと詳しく聞き出そうとすると、勢いよくウツギが口を開いた。
「じゃ、話したし帰るわ!モグちゃん!帰るわよ!」
「がぅ」
その言葉を聞くやいなや、地面からモグちゃんがすごいスピードで飛び出してきて、ウツギの正面に飛び込む。
おお!ウツギ!ナイスキャッチ!
さて、帰ってしまう前にもう少しだけ詳細を聞き出そう。
「あのー。ウツギ?もう少し詳しく説明を…」
俺は途中で話すのを止める。
そんなことより、もっと優先すべきことができたのだ。
俺は精神を研ぎ澄まし、必死に目の前の光景に集中する。
さて、今何が起きているのかを説明しよう。
ウツギの正面に抱きついたモグちゃんは、俺が近くにいることが予想外だったようだ。俺に気づいたモグちゃんは、俺の視線から逃げるように移動し始めた。その逃げた場所というのが…
「ちょっ、モグちゃん!そんな所に隠れないでっ!」
ウツギの服の中だったのだ!
体の大きなモグちゃんがそんな所に隠れようとするのは無理がある。
それでも、モグちゃんは無理やり隠れようとするので、必然的に色々見えてしまうのだ。
そう、お胸とかお腹とか…
キタキタキター!
今の俺はカメラマンだ!
脳内でシャッターを押しまくれ!この機会にウツギのあられもない姿を目に焼き付けるのだ!
ウツギは普段、軍服のような服をきっちりと着こなしている。だから、あまり露出した姿を見ることはできない。
それに、以前俺が配信でウツギの風呂シーンを見たことを知ってしまったウツギは、それ以来配信で風呂に入ることもやめてしまった。
だから、俺はこの機会は逃すまいと、必死に目を血走らせているのだ。
「み、みないでっ!…帰る!」
涙目になりながら、テレポートで消えてしまうウツギ。
あーあ。もっと見たかったなぁ…
ああいう初心な反応はこの宇宙の女では相当珍しい。なかなか良いものが見れた。
>鼻血出てるよ。みっともないからはよ拭け
>目血走らせすぎだろwww
>あのさぁ…まあ、あなただもんな。仕方ないか
>それにしても、あっという間に来て、爆速で帰ったなあ…
>なんで口止めされてたか教えようか?
俺は鼻血を拭きながら、気を取り直してコメントと会話する。
「そうだなあ…別に口止めされてるんだったら伝えなくていいぞ?どうせウツギとは明日会うことになるだろうからな。そのときに直接聞くよ。あ、俺もウツギにちょっと言うことあったんだけど、言うの忘れてたわ。メールで伝えるか」
【明日お昼にヨヒラの家に集合】
送信っと。これでオッケー。
明日が楽しみだな~。
さて、明日、ある秘密の計画が実行される。それはなにか。
それは…
ウツギのサプライズ誕生日会だ!
そう、明日はウツギの誕生日なのだ!この日のために裏で密かに準備してきた。楽しみにしておけよ!ウツギ!
あ、ちなみに、今日の探索の結果は、クスネの暴走により散々な結果となった。こんな日もあるよね。うん。
次回予告:一同、突撃ぃ!!!




