探索共有!炎と氷の共存!
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ブオオオオオオォォン。
空中から小型船の飛ぶ音が聞こえてきた。
「お、ちょうどいいところで、トリカがここにやってきたみたいだ」
プシュー。
トリカが小型船から降り、俺と合流する。
「さて、あなたの表情を見るに、成果はあったようですね。では早速お互いの探索結果を共有しましょうか」
「そうだな。じゃあ、手っ取り早くチップさん。よろしく!」
俺達はチップを用いてお互い見てきたこと、感じてきたことを共有した。
頭の中に膨大な情報が入ってくる。ふむふむ、なるほどなるほど…
トリカは、大まかにここに生息している生物や地形、植生、金になりそうなものを調べたようだ。
情報が多いので、まずは生物に焦点を当てて整理していこう。
俺は視聴者にも説明しながら情報をまとめていく。
この時期はペンギンやアザラシやシロクマなどが多く観測できるようだ。とても大きなフッサフサのマンモスなんてのもいる。どの生物も寒さに耐えるためか、脂肪を沢山蓄えていて、丸っこい。
さらに、洞窟の中などに隠れ住むように、自らの身体から炎を発する生物なども多くいるようだ。炎を発する成人女性くらいの大きくて優しそうなたぬきだとか、中学生くらいの大きさのイケメンな狐だとか、その他にも様々だ。
その炎系の生物の周りには、弱そうな小型生物が体温で暖をとっている姿なども見て取れた。炎系の生物が子供を見守る親のような目をしているのが印象的だ。
シマエナガという小さな丸っこい鳥が、安心した表情でスヤスヤと寝ているのが特に可愛い。見ててとってもほのぼのする。
「まとめると、ここには氷に強い生物と、炎のような生物が共存している場所ってことだな」
>だいたい分かった
>炎と氷。真反対な性質なのに仲良くしてるの凄い
>受けと攻めってこと!?
>言葉だけじゃなく映像で見せてくれ!見たい!
まあ、それは後々だな。それこそ観光に来てくれよな。
俺は続きを視聴者に説明しながら整理していく。
この雪の下には沢山の植物や虫が居るらしい。どうやら土の栄養がとっても豊富なのだそうだ。分厚い雪に覆われているので分からなかったが、ここも自然が豊かな場所なんだな。
特に虫は数え切れないほどの種類がいるようで、この寒さでも深い土の中で活発に動いているようだ。
「お前らって虫は大丈夫なのか?現代っ子って虫苦手じゃん」
>余裕だろ。見るくらいなら楽しめてるし。実際には虫を見たこと無いからしらんけど
>テントウムシくらいならギリセーフ
>私の惑星には一切の虫がいないからわからん。でも、見てる感じキモくて無理かも
>黒光りするあいつだけはNGな。あれは本能的に無理だ。地元ではブラックデビルインセクトって呼ばれて忌み嫌われている
>ワイは昆虫大好きな変わり者なので!是非そこに行きたい!
色々な視聴者がいるが、見る分には大丈夫という人が多そうだ。
でも、ホントに大丈夫かな?虫には色々いるからなぁ…
例えば、この雪の下にはデカいミミズとかミルワームとかがいっぱい蠢いているらしいが、そういう虫は大丈夫なのだろうか?
俺は前世では田舎出身なのである程度平気だ。田舎には虫なんてどこにでもいるからな。
そういえば、俺もこの惑星に来る前は、虫なんて一匹たりとも見たことがなかった。虫は前世のように身近な存在では無いからね。
大体の惑星では、管理された自然の中だけで虫は暮らしている。
逆に言えば、虫という生き物は決められたスペースでしか生息を許されていないということでもある。なんなら、過去にすべての虫を駆除してしまい、一切の虫が存在していない惑星もこの宇宙にはあるらしい。
だから、虫には自分から進んで見に行かないと出会えないのだ。前世で言う動物園に動物を見に行くのと同じ感覚だ。
個人的には、それは少しどうなんだとも思うこともあるが、実際虫がいなくとも、暮らしになんの問題も起こってはいない。虫の存在意義をなくしてしまうとは、高度な技術は恐ろしいな。
まあ、この惑星では虫なんて大量にいるから、関係のない話だ。
そんなことより、さっさと情報をまとめてしまおう。
次に、地形と植生を見ていこう。
この場所は基本的に高度が高い場所にあるようで、少しだけ空気が薄いようだ。
このあたりの土地の特徴としては、高低差が全体的にとても激しく、谷や峡谷や、数々の山がたくさんあるみたいだ。
さらに、大きな川や池、湖や滝や海など、水系の地形も多い。
水が多いのと、ここの栄養豊富な土の性質が合わさった結果、ここには苔系の植物が育ちやすいようだ。冬が終わると一面苔だらけになるらしい。
「一面苔だって。その景色はさぞ綺麗だろうなあ…」
>わかる。苔ってなんかいいよね
>ワイのおばあちゃんが苔育ててるわ
>何故か私の曽祖母も苔好きだわ
>…歳をとると好きになるのか?
別に若者でも苔は魅力的だと思うが…どうやら歳を重ねるとより魅力的にうつるらしい。
あ、ふと横を見ると、トリカが手持ち無沙汰になっている。俺の方が情報の内容が薄いし、トリカは視聴者への説明なんてしていないからな。
「トリカが待ってるからさっさと説明終わらせるぞ。トリカはクスネとでも遊んでおいてくれ。クスネ。ゴー!」
「わん!」
「えっ、ちょっと」
クスネがトリカへ突撃していく。
この芸は最近覚えたのだ。突撃すれば撫でられるので、クスネも嬉しそうだ。
「じゃあ、トリカが金になりそうって感じたものを見ていこうか」
>トリカ様ペロッペロに唇をなめられてるけどいいの?
>まあ、クスネきゅんも嬉しそうだし
>トリカ様も困惑しつつもちょっと嬉しそうだしまあええか
そりゃ、あれだけ懐かれたら可愛く思ってしまうだろう。さすがクスネだ。犬の唇を舐める愛情表現、凄い可愛いよな。
さて、トリカが一番の目玉だと感じたのは、炎と氷のフェニックスのような大きな鳥が仲睦まじく飛んでいる姿を見たことらしい。
とても珍しい生物らしく、なかなかお目にかかれることはない。あれを見た人には幸運が訪れるという言い伝えまであるほどだ。
次に、変わった色の苔。ある特殊な条件の場所だと、苔が緑だけではなく、白や黒色になるらしい。黒や白の苔は人工的に育てるのが難しく、出来ないことはないが維持に沢山の金がかかるので、あまり見られない光景らしい。
渓谷の奥の方に自然化でその特殊な条件を満たす場所があり、そこはとても神秘的な光景とのことだ。
次に、海の底にある貝。よくある品種の貝だが、ここの貝は普通のものより一回り大きい。しかも、やたら数多くあるので、この貝は大量に売ればそこそこの金になると見積もったらしい。
最後に、大きな川。王道な娯楽だが、ラフティングをするのにちょうどいい条件が全て揃っているらしい。川の長さや水の綺麗さ、ロケーション、周りの景色など、手を加えなくとも十分に楽しめるとのこと。
他にも様々な自然の観光スポットがあるらしいが、これはあくまで何も手を加えなくとも金になると思った場所だそうだ。まだまだ工夫次第でいくらでも稼ごうと思えば稼げるとのことだ。
例えば、一面鏡のような洞窟や、とても大きくて壮大な滝があったらしいが、何も手を加えないとアクセスが悪かったり、時期が悪かったりなどの問題点が多くあり、すぐには観光地とはならないと判断されたようだ。
「これで、だいたい説明し終わったかな。トリカ、終わったよ」
「クスネ。おすわり。お手。くるんと回って…ジャンプ!はい、よくできました」
「わん!」
…なんか、いつの間にかクスネが躾られている。
俺がなんとか教えられたのは一つ、突撃だけだ。どうやら、クスネはこの短時間で新たに芸を覚えたようだ。
「クスネくんはなかなか賢いですわね。…もう一匹の犬であるあなたより賢いのではありませんか?」
「いやいや!俺のほうが上手にお手とおすわり出来るぞ!」
「…」
トリカが呆れた顔で俺を見る。
あ、そうか。ムキになるところを間違った。犬扱いされたことを怒る場面だった。
…別に犬としての誇りみたいなものは俺には無いからな?ちょっと間違っただけだぞ?
「…では、少し問題点などを会議した後、SCエネルギーを使って問題点を解消していきましょうか」
優しい表情を浮かべながらトリカはそう答える。俺の返答はスルーすることに決めたようだ。
スルーするのは一見優しいように見えるが、全然優しくなんてないからな!こういうのはツッコんでくれた方が助かるのだ。
まあ、気を取り直してと。俺達は何事もなかったかのように、会議を始めた。
数十分後。無事話がまとまり、方針が決まった。
とりあえず、まずは各々で見つけた場所の問題点を解決していく方向に決まった。
なので、また別れて作業することに。
あ、しれっとクスネを持って行くな!俺の相棒だぞ!クスネもちょっとは抵抗しなさい!
「さてと。クスネも無事取り返したし、問題点其の一、宿泊施設がない問題に対処していこうか」
俺達のつくろうとしているバーチャル空間は、あくまでも現実のコピーだ。だから、現実でしっかり宿泊施設を作らないといけない。
「よーし!どんな宿泊施設が良いか、みんな沢山コメントしてくれ!」
次回予告:神にでもなった気分だ




